18 元・婚約者の悪口が掲示板に書かれていますわ!?
●
【悲報】アルフォンス殿下、また変なものを「聖女様のため」とか言って買わされる
42:名無しの騎士
昨日のパレードはすごかったな。
パレードと言ったら昼間にやるもんだと思っていたが、まさか夜にもやるとは。
夜のパレードでは、大量の照明が使われていたな。
あの魔道具の魔石代だけでも、相当な費用がかかったんじゃないか?
43:名無しの令嬢
馬車や演出ももちろんですが、なんと言ってもリリア様の衣装の素晴らしさ!
お召し替えは昼間に三回、夜は二回だったかしら?
夜の部の最後の衣装は、全身にたくさんの小さな照明をまとって、まるで星空のように大変神々しいお姿でした。
44:名無しの令息
あの悪趣味な衣装のことか?
昼間の衣装も、あれは見る者が見ればわかる。
清楚さを強調するようなデザインだったが、その実、数カラットのダイヤが三桁個も使われていた。
ダイヤだけじゃなくて真珠も目玉が飛び出るような高級品だったぞ。
あのドレス一着でいくらかかったんだか。
45:王室ウォッチャー
速報。殿下が例の「ホワイト・ファー」のロングコートをリリア嬢にプレゼントしたらしい。
しかも値段、相場の10倍で吹っかけられてたぞw
46:次期国王
ふん、下世話な民どもめ。
リリアの笑顔のためなら金など惜しくはない。
あの毛皮は素晴らしいぞ。リリアの清らかな肌を包むのに相応しい。
前の婚約者から巻き上げた金が、こんなに有意義に使われるとはな!
スカンピアの田舎者も、間接的にリリアの役に立てて光栄だろうよ。
●
ある日の夕方、私は【セカンド・チャンネル】で王都の情勢を観察していました。
……聖女リリア様の人気(?)は急上昇しているようですね。なんというか、言葉が出ません。
私たちがあんなに苦労して稼いだお金がこんなことに使われているなんて……。
私は、ハンドルネーム次期国王さんの投稿のタイムスタンプが、深夜であることに気づきました。この方、ずっと張り付いているのかしら?
お口直しに、私は他の楽しそうな話題を読んでみることにしました。
「あら、これはクロウリーさんのお店の枝ですわ」
専用の枝があるなんて、クロウリーさんは人気の商人さんのようです。私はおっかなびっくり、葉に刻まれたメッセージを読んでみます。
●
【神出鬼没】謎の行商人クロウリー&取扱い商品総合スレPart3
1:名無しの得意客 王都の裏路地や貴族街の「影」からヌルっと現れる、ペストマスクの怪しい商人「クロウリー」氏と、その取扱い商品について語るスレです。
最近は「極上バスソルト」や「ホワイト・ファー(白き毛皮)」といった美容・服飾系アイテムが、王妃様もご愛用との噂で持ちきりですが、
もともとは「歪な魔石」や「呪いの壺」などを扱うゲテモノ……もとい、希少品専門のバイヤーです。
ラインナップが「入浴剤」から「魔物素材」まで闇鍋状態ですが、店主の趣味と「イイモノ」であることは共通しているので、ジャンル違いでも仲良く語りましょう。
【基本ルール】
・店主の正体詮索はNG(「深淵を覗くことになる」と警告されます)
・次回の出没場所・時間の共有は推奨(神出鬼没すぎて捕まらないため)
・転売屋・荒らしはスルー推奨
・「とある殿下」による買い占め報告があっても泣かない
・次スレは>>950が影に向かって祈ってから立てること
125:名無しの伯爵夫人
ねえ皆様、例の「ホワイト・ファー」手に入れた?
あれ本当にすごいわよ。ワインをこぼしてもシミにならないし、いつまでもフワフワなの! クロウリー商店に入荷しても瞬殺で売り切れるらしいわ。
128:王都の華
私はバスソルト派ですわ!
お風呂上がりのポカポカ感が全然違いますの。
お肌もしっとりしますし、何よりこの「青い粒」の香りが素敵……♡
135:草マニア
失礼。そのバスソルトの成分について少しよろしいか?
入手困難だったが、裏ルートで現物を確保し、先ほど成分分析を終えたところだ。
結論から言うと、これは「異常」だ。
136:名無しの令嬢
えっ? 異常って、お肌に悪いですの!?
137:草マニア
逆だ。良すぎる。
まず塩に含まれる魔素濃度が、王都近郊の岩塩の約50倍。
そして配合されているハーブだが……この青い粒、絶滅したはずの「古代ミント」の亜種のエキスじゃないか?
さらにこの白い結晶……まさか「ダンジョン産ミョウバン」か!?
おいおい、これを風呂に入れるだと? エリクサーの風呂に浸かるようなもんだぞ、正気か!?
140:名無しの令嬢
何言ってるかわからないけど、すごそうなのはわかったわw
142:草マニア
落ち着け私。特定を急ぐぞ。
高濃度の魔素を含んだ塩(=海沿いの高魔素地帯)。
ダンジョン産の希少鉱物(=未発見、あるいは新興のダンジョン)。
極めつけは、梱包材に使われていたこの「おがくず」。
これの材質は、北の果てにしか生えない「鉄にじみ杉」だ。
北の果て、海沿い、高魔素地帯、最近ダンジョン疑惑がある場所……。
まさか……スカンピアか?
143:草マニア
いや、あそこは草一本生えない死の大地のはず。
だが、植物の声が私を呼んでいる気がする。
今から荷物をまとめる。現地調査に向かう。さらばだ。
144:名無しの伯爵夫人
えっ、ちょっと待って。
スカンピアって、オルダー領の? あの「不運令嬢」が飛ばされた場所じゃなくて?
あの方がこれを作ってるの? まさかねぇ。
●
私たちが作った商品は大人気のようです。これはみんなに知らせてあげなくては!
しかし……なんだか怖い人がいましたね。
あの商品たちが、スカンピアで作られていることが特定されてしまったようです。
もしかして、この方は本当にいらっしゃるのでしょうか?
私は「まさかねぇ」と、144のコメントと同じ言葉を繰り返します。
「お嬢様、蒸し風呂の準備が整いました」
ヴィオが呼びに来ます。スカンピアはすっかり冬になって、サウナは寒さをやわらげる日常の一部となっていました。
「すぐ行きますわー!」
私は【セカンド・チャンネル】の接続を切りました。
ここまで読んでくださってありがとう!
下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくださると励みになります。
【★★★★★】が一番嬉しいですが、【★☆☆☆☆】や【★★☆☆☆】でも嬉しいです!




