15 まさかの血税の使い道!?
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一週間後。私はクロウリーさんを呼び出して商品を引き渡していました。
アルミラージの毛皮をミョウバンでなめした「ホワイト・ファー」。
食用の天日塩と、塩に薬草やミョウバンを混ぜて作ったバスソルト。
スライムゼリーと薬草で作った、下級回復ポーション。
お肉の燻製や保存食作りには、ドガンさんが軽銀で作った保存容器やお鍋が活躍しました。
「素晴らしい。これは王都でも高値で売れるでしょう」
商品を見たクロウリーさんは、太鼓判を押してくれました。
とくに毛皮とバスソルトは、王都の貴婦人が競いあうように買うに違いない、と。
「やはり私の目に狂いはありませんでした。期待に応えてくれたお嬢様に、いいことを教えてあげましょう」
クロウリーさんがもったいぶったように言います。私は興味を引かれ、身を乗り出して耳を傾けます。
「ゴッズが『辺境特別税』と呼んでいるお金ですが、実態は王子妃を受け入れるための支度金として、王家から徴収されているお金のようです」
「……は?」
「ゼジリアお嬢様が婚約破棄された今、その金は、アルフォンス殿下とリリア嬢の『聖なるパレード』および『婚礼衣装』に使われています」
「はぁぁぁ!? 私のお金で、元婚約者と浮気相手の結婚式を!?」
クロウリーさんがもたらした情報は、とんでもないものでした。私は淑女としてのマナーも忘れて叫びました。
「もう払いません! 一ゴールドたりとも! その分は、この村の復興に使います!」
「お怒りはごもっとも。ならば、この商品とともに、私に手紙をお預けになるおつもりはありませんか?」
「……今年分はお支払いしますわ。ゴッズに難癖をつける隙を与えないために。ですが、これが最後です」
私はすぐにヴィオを呼び、便箋と筆記用具を持ってきてもらいます。
「来年以降、オルダー領は不当な『辺境特別税』の支払いを一切拒否する。文句があるなら、私の前に来て説明なさい――そうお伝えして!」
私はその旨を手紙にしたため、封蝋を押しました。
「クックック……承知しました。最高のタイミングで、殿下にお届けしましょう」
クロウリーさんは私が叩きつけた絶縁状を丁寧に書類入れに入れ、商品を魔法鞄に収納しました。
そして今年の辺境特別税を支払った後の余剰な金貨を残し、影の中に消えていきました。
「得体の知れない男。ですが、少なくとも今は我々の味方のようですね」
ヴィオはクロウリーさんが消えた後を見つめて言いました。
私は怒りが冷めませんでしたが、重要な仕事が一区切りついた解放感と安心感を覚えていました。




