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妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?  作者: 木山楽斗


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第26話 王城での舞踏会

 エフェリアお姉様とレフティス様の婚約というものは、程なくして決まった。

 アドルグお兄様は最後まで難色を示していたが、それは無視された。まあ多分、アドルグお兄様も心の奥底では納得しているだろうし、それは問題ないだろう。

 そんな婚約が決まってから、私はエフェリアお姉様、オルディアお兄様とともに王城に行くことになった。ロヴェリオ殿下から、招待状が届いたのである。


「いや、まさか婚約が決まっているなんて思ってはいなかったが……」

「あ、知らなかったんですね?」

「まあ、招待状を作った時というか、今回の舞踏会の開催が決まったのはもっと前だからな」


 今回の招待は、エフェリアお姉様の婚約とはまったく関係ないものであるらしい。

 しかし、今回ここにはレフティス様の方も招待されている。どうやら偶然、直近で婚約した二人が招かれたようなのだ。

 せっかくの機会ということもあって、エフェリアお姉様とレフティス様はその舞踏会に参加することになった。婚約したということを大々的に示すためにも、二人で踊るつもりであるようだ。


「まあ、俺もあのお茶会でレフティス伯爵令息とは挨拶した訳だからな……」

「ああ、そういればそうですよね。あの場にはロヴェリオ殿下もいましたもんね」


 ロヴェリオ殿下が今回の舞踏会に招いたのは、あのお茶会に参加している人も含まれているようだ。周りを見渡してみると、見覚えがある人が何人かいる。

 それはあのお茶会が、不本意な形が終わったからかもしれない。一応主催であったディトナス様が癇癪を起したことによって、結構ぐだぐだとした感じで終わってしまったのだ。

 これは、そのやり直しなども兼ねているのかもしれない。ロヴェリオ殿下は気遣いができる人なので、その可能性はある。


「ちょっと変な人だとは思っていたけど、まさかエフェリア様と婚約するなんてな……」

「まあ……ちょっと変な所はあるけれど、レフティス様は良い人ですよ。私にも優しいですし」

「そうなのか……それは良かったな」


 私の言葉に、ロヴェリオ殿下は笑顔を浮かべてくれた。

 彼は私のことを、かなり気に掛けてくれている。きっとレフティス様がディトナス様のような人ではなかったことを、喜んでくれているのだろう。


「……それでさ、今日の舞踏会、クラリアは一緒に踊ってくれるか?」

「え?」

「いやその、せっかくだから踊りたくてさ」


 そこでロヴェリオ殿下は、少し遠慮がちに言葉を投げかけてきた。

 それに私は、笑顔を浮かべる。その言葉は私にとって、とても嬉しい言葉だったからだ。


「もちろんです。ロヴェリオ殿下とご一緒できるなら光栄です」

「そんなに改まる必要なんて、ないんだけどな」


 私はロヴェリオ殿下に対して、力強く頷いて見せた。

 彼の存在というものが、本当に心強い。今回の舞踏会は、なんだか楽しいものになりそうだ。




◇◇◇




 私は、ロヴェリオ殿下ともに踊っていた。

 正直な所、こういったダンスというものにはまだ慣れていない。平民だった時も祭りなどで踊ることはあったが、それはここで行われるものとは大きく違うものだ。

 もちろん、ヴェルード公爵家において指導はされている。最近はイフェネアお姉様も教えてくれているので、以前よりは様になっているとは思うが。


「クラリア、大丈夫か?」

「あ、はい。大丈夫です」


 ロヴェリオ殿下は、私のことを気遣ってくれているようだった。

 動きなども恐らく、私に合わせてくれている。これは私からしてみれば、とてもありがたいことだ。お陰様で、一応はきちんと踊ることができている。


「ロヴェリオ殿下、ありがとうございます」

「うん? 急にどうしたんだ?」

「いえ、こうやってサポートしていただけるのが、とてもありがたくて」

「そんなことは、気にする必要はないさ。誰だって通る道だ」


 私の言葉に対して、ロヴェリオ殿下は笑顔を浮かべていた。

 彼も彼で、誰かにこういったことを習ってきたということなのだろうか。

 そういえば、彼にもお兄様やお姉様がいると聞いている。もしかしたらそういった人達から、習ったのかもしれない。


「……そういえば、この王城にはロヴェリオ殿下のお兄様方がいらっしゃるのですよね?」

「うん? ああ、それはそうだな」

「私はまだ挨拶もしていない訳ですが……」

「まあ、その辺りは仕方ないさ。兄上達も忙しい身だからな。俺なんかは結構、自由にやらせてもらっているが……」


 ロヴェリオ殿下以外の王族の方々とは、まだ挨拶を交わしていない。

 そういった機会は、特に設けられなかったのだ。もしかして、ロヴェリオ殿下以外は私のことを受け入れてくれていないのだろうか。

 いやそれよりも、言っている通り、忙しい身であるということが関係しているのかもしれない。


 社交界に詳しくない私でも、王族の方々が何をしているかくらいは知っている。

 よく考えてみれば、この王城にいない人もいるため、きちんと挨拶できる場などは設けにくいのかもしれない。やはり年の初めとか終わりとかくらいではないと、一同が集まれないのではないだろうか。


「とはいえ、もしかしたら今日辺り誰か会いに来るかもしれないな」

「え? そうなんですか?」

「暇だったら来るとは思う。皆、クラリアとは会いたがっているからな。まあ、俺が色々と言っているし……」

「そ、そうですか……」


 ロヴェリオ殿下の言葉に、私は少し緊張することになった。

 口振りからして、私に対して敵意などはないようだが、それでも身構えてしまう。一体ロヴェリオ殿下の兄弟は、どんな人達なのだろうか。

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