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妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?  作者: 木山楽斗


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第19話 冷静な結論

「絞首台に送ってやるか」

「兄上、やるなら人道的にギロチンですよ」

「ウェリダン、鞭打ちくらいが丁度良いと思うわ」


 ドルイトン侯爵家の出来事は、お父様に報告した。

 そのお父様から話を聞いたらしいお兄様方は、以前と同じようなことを口にした。

 予想していたことではあるが、やはりお兄様方の思想というものは過激である。それに対して、私は苦笑いを浮かべることしかできない。


「まあ、お兄様方の気持ちがわからない訳ではないけれどね」

「オルディア? オルディアも結構怒っている感じ?」

「エフェリアはそうじゃないのかい?」

「もちろん、嫌だなって思ったけど、私は流石にお兄様方程ではないっていうか……」

「まあ、エフェリアは優しいからね」


 オルディアお兄様も、今回に関してはかなり怒っているようだった。

 以前と違って、実際に見ているということが関係しているのだろうか。

 一方で、エフェリアお姉様はそこまででもないらしい。元々大らかな人なので、そこまで過激にはなれないといった所だろうか。


「……そういえば、ロヴェリオ殿下はそろそろ王城に帰らなくても良いんですか?」

「うん? ああ、俺は大丈夫だ」


 そこで私は、隣で険しい顔をしているロヴェリオ殿下に話しかけた。

 彼は、ドルイトン侯爵家の屋敷からヴェルード公爵家の屋敷に帰る私達に同行してきた。その時はなんとも思っていなかったが、よく考えてみれば彼の家はここではない。

 結構長い間、王城を留守にしているだろうし、流石にそろそろ帰った方が良いのではないだろうか。


「父上だって、姪っ子の危機には駆けつけたいくらいだろうからな。その代わりに俺がいるということは、許してくれるだろう」

「危機って程では、ないと思うんですけど……」

「いや、そんなことはないさ。少なくとも、俺はクラリアを助けたいと思っている」


 ロヴェリオ殿下は、私との距離を少し詰めてきた。

 彼の存在は、正直とてもありがたい。ロヴェリオ殿下が傍にいてくれると、お母さんやお兄様方とは違う安心感があるのだ。

 問題がないなら、傍にいてもらってもいいのかもしれない。私はそんなことを考えながら、怒っているお兄様方の方に視線を向ける。


「……実際の所、難しい問題ではあるといえる。相手はドルイトン侯爵家だからな」


 するとアドルグお兄様が、冷静な意見を口にしていた。

 過激なことを言ってはいたものの、冷静な判断力というものを失っている訳ではないらしい。それは当然のことといえば当然のことなのだが、今回の相手であるドルイトン侯爵家のことを、きちんと考えているようだ。


「……まあ相手が侯爵家ともなると、ヴェルード公爵家を持ってしても、そう簡単にはいかないことでしょうからね。しかも相手は嫡子ともなると、流石にギロチンは難しいでしょう」


 アドルグお兄様の言葉で起こった沈黙の後に、最初に言葉を発したのはウェリダンお兄様であった。

 以前の二人の令嬢は、伯爵家と子爵家の令嬢であった。それでもすごい権力を持っていたはずだが、ヴェルード公爵家の敵ではなかったのだろう。

 しかし今回の場合は、別であるらしい。本気でやり合った場合、ヴェルード公爵家もただでは済まないのではないだろうか。


「といっても、クラリアに対して暴言を放ったということは問題にしなければならないことだわ。色々と事情はあるけれど、お父様はクラリアのことを認知して、ヴェルード公爵家の一員として認めているわ。そんなクラリアに暴言を吐いたということは、それがこのヴェルード公爵家に喧嘩を売っているに等しいことだもの」


 次に言葉を発したのは、イフェネアお姉様である。

 ディトナス様を許すということは、ヴェルード公爵家としてはない選択肢なのだろう。貴族として舐められないためにも、抗議は必要なものなのだ。


「そもそもの話ではあるが、心の中で何を思おうとも勝手だが、公の場で誰かを非難するということは問題だ。双方にどういった事情があったとしても、それを俺は許容するつもりはない。それを許容すれば、社交界というものの秩序はなくなる」

「アドルグ兄上は、ディトナス侯爵令息に対してどのような罰を与えるつもりですか? あるいはドルイトン侯爵家に賠償金でも求めますか?」

「今回の場合は、後者の方を選ぶべきであるだろうな。ドルイトン侯爵家には、他に子供もいない。ディトナスに侯爵としての資質があるかはわからないが、大きな罰を与えられる訳ではない」


 色々と過激なことを言っていたお兄様方だったが、結局はとても合理的な結論に着地していた。

 そういった所は、やはり流石である。これが公爵家の考え方というものなのだろうか。


「さてと、今回の件については俺が赴くとしよう。エフェリアとオルディア、お前達にも同行してもらう」

「え? 私?」

「僕もですか?」

「当時にその場にいたお前達がいた方が、話が早いというだけだ。話は俺が取りまとめる」

「まあ、別に僕は構いませんよ」

「あ、うん。私も大丈夫です」


 例によって、今回もアドルグお兄様が話をつけに行ってくれるらしい。

 それなら特に問題はないだろう。エフェリアお姉様とオルディアお兄様も一緒な訳だし、なんだかんだ寛大なアドルグお兄様は、良い着地点を見つけてくれるはずだ。

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