三つ巴のドラマ。
《郊外・ボロボロな一軒家・夜》
【???】
「――アンタさぁ……? 聞いたわよぉ〜?」
【神崎】
「うぐっ――す、すいませ――?!」
――ヒュッッ!! ドガッッ――!!
【神崎】
「ガッ――ハッ――?!」
ガクッ――ドサッ……ガクガクッ……。
――ドゴっッ!! グリグリぐりぃ〜〜!!
メリメリッ――グググッ――!!
【???】
「アンタさぁ……今みたいに無様に倒れてなに?」
【???】
「情けなく床に沈んで、転げ回ってんの?」
――バンッッ!! ドゴッッ!! ドンッッ!!
【神崎】
「がぎゃぁッ゙――?! ひ――ひぃっッ゙――?」
【???】
「アンタにお小遣い渡した、アタシがバカだったわ……?」
【神崎】
「ひっ――すいま”せん、ずいまぢぇん!!」
【???】
「――ほんっと……弱いわアンタほんっと……」
【???】
「アタシに蹴られて、グリグリされて――」
【???】
「頭抑えて泣いてんだもんね……?」
【神崎】
「は――はひっ、ずいま”ぢぇん!!」
【???】
「いつまで謝ってるの……?」
【神崎】
「はひっ――?」
【???】
「あぁ……もういいや――くたばれひょろガリ……」
――ヒュッ……!!
【神崎】
「ひぇ――?」
ブワッッ――!!
ドッがぁアァアッッ!! メリメリメリッッ!!
【神崎】
「ガッ――――――」
……グラッ――ドサッ……。
【神崎】
「ふぅ……アンタにはボコボコの顔がお似合いよ」
カチャッ……きぃいぃ……パタンッ――。
【???】
「あら……おっほほ――これはこれは、お見苦しい場面を……」
【???】
「ふふっ……なにコレ。“失敗した”のかな?」
【???】
「ゴメンナサイね……ちょっと使えないヤツを行かせちゃって――」
【???】
「ううん、いいよ。ただ……“分かってるよね”?」
【???】
「えぇ……“頂いたお代”分はしっかり、オシゴトさせてもらいます」
【???】
「うふふっ――ならいいんだけど」
【???】
「それはもう、“プロ”ですからコチラも」
【???】
「それじゃ、引き続きオシゴト頑張ってね?」
【???】
「はい……頑張らせていただきます」
――タッタッタッ……。
ガチャッ――きぃいぃ……バタンッ――。
【???】
「……ふぅ。嫌な場面、見られちゃったわね?」
【???】
「……コクッ――」
【???】
「悪いけど……“このゴミ”、どこかに捨ててきてくれるかしら?」
――ゲシッ!! ゴロゴロゴロッッ――。
【???】
「分かった……」
――ガシッッ!!
……ズズズズズッッ――ズズ――。
ガチャッ――きぃいぃ……バタンッ――。
【???】
「ふぅ……ん――森……“燈馬”ねぇ……」
【???】
「アタシが出るコトにならなきゃイイけど……」
【???】
「ハァ……やだやだ、アタシはなるべく、手を出したくないってのに――」
【???】
「まぁ……その時は“アタシが可愛がって"アゲなきゃねぇ――」
【???】
「まぁ……“殺さない程度”にね……?」
《主人公サイド・繁華街・ファミレス・夜》
【守】
「で……“森燈馬”と話をしたと――?」
【葵】
「う……うん――アイツ……なんかヤバそうだった」
【守】
「それで、実際――会ってみた感想は?」
【葵】
「そう……だね――なんか……“とにかく怖かった”」
【守】
「なんだそりゃ? 抽象的で分からないよ……」
【葵】
「あの時……少しだけ、話をしたんだよ」
【守】
「それで……?」
【葵】
「ダルそうな感じでタバコ吸いながらさ、普通に会話をしてたんだ」
【守】
「うん」
【葵】
「その時、恋に近づくなよって言ってやったの」
【守】
「なるほど、お前らしいな」
【葵】
「それで、近づかない代わりに、アタシを差し出そうとしたんだ」
【守】
「なにいってんだお前……分かってんのか?」
【葵】
「分かってるよ、森燈馬は噂で聴く限り、凄く強い男だってこと」
【守】
「だったら、なんでそんなことを……」
【葵】
「“恋がアイツに喰われないため”にだよ」
【守】
「どうしてそうなる……意味が分からないよ――」
【葵】
「アタシさ……前にアイツの行動見てたこと、あったんだ」
【守】
「は……はぁ……それで?」
【葵】
「アイツ……メチャクチャ可愛いくて、綺麗な女の子と楽しくやってた」
【守】
「あぁ……あの二人な?」
【葵】
「ほら……恋はあの二人に負けないくらい、可愛いでしょ?」
【守】
「ま……まぁ――な? それは間違いないな」
【葵】
「それに、恋は最近、“アイツのコト”、気になってるみたいでさ……」
【守】
「あぁ……喫茶店でも恋はチョッカイ掛けに行っていたな」
【葵】
「でしょ……?」
【守】
「あぁ……でも、なんでアイツが気になるんだ?」
【葵】
「それも聞いたけど、なんか……“あの連中が楽しく見えた”んだってさ」
【守】
「なぜだ……? あんな悪のグループに……?」
【葵】
「わかんないよ……恋の気持ちなんて」
【守】
「それで、アイツとなにがあった?」
【葵】
「アイツはアタシに言った。俺から恋に近づくことは無いと……」
【守】
「そ、そうなのか? ならよかった」
【葵】
「それから物凄く……拒絶されたんだアタシ」
【守】
「まぁ……良かったんじゃないか?」
【葵】
「でも……その時、本当に怖かったよ」
【葵】
「“本気の拒絶”だったから……」
【守】
「でも、良かったじゃないか。お前が無事で」
【葵】
「ううん……アタシはいいよ、別に」
【葵】
「ただ……“恋がアイツに接近”しないかが心配」
【守】
「はぁ……注意はしたんだけどな……恋に」
【葵】
「はぁ……全く、困った娘だよ……」
【守】
「前から、なんか恋って天然っぽいよな」
【葵】
「うん、ただ……そこが魅力でもあるけどさ」
【二人】
「はぁ…………」
《マンション・瞑の秘密の部屋・お昼》
――朝は本当にバタバタした。瞑は無限に俺の体で遊び、酷い有り様になり――。
その途中で葉子が瞑の部屋に合鍵を持って、様子を伺いに来るわ……。
ぶっ壊れた瞑は様子を伺いに来た葉子を――。
【燈馬】
「うぅ……こ――腰がいっててっ――アガッ……」
――ズキンっ!! ズキッズキッ――!!
【葉子】
「はぁ……燈馬ぁ……アダダッ――エラい目にあったわよ……私も……うぐっ――ゲホッ、ゴホッ――ゔぇ」
【瞑】
「ふぅ……“スッキリした”わホントに」
【二人】
「“お前だけな”……瞑」
……謎に俺達はハモっていた。
実際、元気なのは瞑だけだった。
【瞑】
「さてっ――と……午前、学園サボっちゃったし、今から行きましょ?」
【二人】
「ゲッ――?!」
俺達は見事にボロボロだった。
瞑のあんなことやそんなこと。
その全部をぶち撒けられ、ボッコボコのギッタギタのバッキバキの、デッコボコにヤラれたのだ。
【瞑】
「アナタ達の制服、まだ乾いてないけどいいよね?」
【葉子】
「うぐっ――よくないけど、仕方ない……」
【燈馬】
「あぁ……しばらく地獄を見るだろうぜ……」
俺達の汚れた制服は洗濯機にぶん投げられ、ガシャガシャと、ウィーンと綺麗に洗われ、そのまま乾燥中だった。
【葉子】
「シワになるのは仕方がないけど、縮んで無いといいな……」
【燈馬】
「た……確かにな?」
普通、制服はクリーニングとかに出して、綺麗にするものだろう。
家の洗濯機でガシャガシャ洗って、大丈夫なモノなのか、俺は少しだけ不安だった。
心配そうに乾燥中の制服を眺めていると、葉子が手招きをし、少し屈めとジェスチャーしてきた。
そのまま俺は葉子に耳を貸す。
【葉子】
「アンタさ……“喧嘩でくたばる”前に、“瞑で死なないで”よ……?」
【燈馬】
「……お前もだよ――“オマエ”も、“瞑に目を付けられた”んだよ」
【葉子】
「ウゲッ――?! “そんな趣味無いって”……」
【燈馬】
「いや……お前……すんごかったぞ……?」
【葉子】
「ま――まぁ、それは“事実”だったけどさ……」
【葉子】
「――アンタも……“私みて”――“興奮してたじゃん”」
【燈馬】
「うげっ――?!」
――ドンッッ!!
シーン…………。
【瞑】
「なぁ〜に、下着姿でアナタ達、いつまでもヒソヒソ話……してんのよ?」
瞑は一人、壁ドンをしていた。
俺達はすぐにヒソヒソ話をやめる。
【葉子】
「いや……瞑、下着姿なのはアンタのせいよ……」
【燈馬】
「うん……それはそう」
【瞑】
「さ〜て、学園に行きましょ? 二人とも!!」
【二人】
「は〜〜い……ハァ……」
こうして異世界な未完のWEB小説の中――。
初の学園に出向く。




