聖剣
ある村の広場には、昔から聖剣が突き刺さっていました。それを抜けた者は勇者の証を得るといいます。今までに村中の者はもちろんのこと、遠くからはるばる腕に自慢の者が幾人も来ては剣を抜こうと挑戦しましたが、誰一人成功しませんでした。
ある晩、村に住む一人の少年がコッソリと広場に行き、ダメ元で挑戦しようとしました。少年はいつもまわりからひ弱なことをバカにされてたからみんなを見返してやりたかったのです…。ですが広場に来てみると、驚いたことに聖剣はすでに抜けていて、その場に倒れていました。何故そうなっていたかはわかりませんが、少年は誰も見ていないことをいいことに、これを自分が抜いたことにしようと思いつきました。
翌朝、少年は村中のみんなに、抜けた聖剣を見せびらかして自慢しました。するとそこへ国王の使いの者がやって来て、「この剣を抜いたのはお前か?」と尋ねました。少年は誇らしげに「はい、そうです!」と元気よく答えました。そして少年は使いの者に有無を言わさず馬車に乗せられ、そのまま連れて行かれてしまいました。そして二度と帰ってくることはありませんでした…。