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俺の気持ちは……

 フゥ……ようやく昼ごはんの時間か。


 どうする?

 やはり、かなり眠い。

 早めに食べて、すぐに寝るか?

 そうすれば30分は寝れるはず……。


「そうと決まれば……」


「侑馬、今日は眠そうだけど大丈夫か?」


「昇、サンキュー。少し寝不足でな」


「昨日、発売日だって言ってたもんなー。それで夜更かしか?」


「まあ、そんなところだ。悪いが、今日は軽く食べて仮眠するから、一人で行ってくる」


「はいよー。俺は、お前と違って友達沢山いるから大丈夫だ」


「ほっとけ。全く、会社に何しに来てんだか……」




 その後食堂にて、肉うどんを注文する。

 うどん系はすぐに出来上がるので、こういう時は助かるな。

 腹にも溜まるし、すぐに食べ終えることができるし。


「はいよー」


「ありがとうございます」


 適当な席に着き、食べ始めようとすると……。


「水戸さ〜ん、ここ良いですかー?」


「はい?森島さん?」


 目の前には、会社のアイドルと言われている森島恵さんがいた。

 今時の子らしく、茶髪でゆるふわパーマをかけている。

 背も小さく、小動物系の女の子と言われてるらしい……昇の情報だと。


「今日は、お一人なんですね〜?」


 そう言いながら……すでに座っているのだが?


「ああ、そうだけど……どうしてここに?」


 一緒に飯を食いたい奴なんて山ほどいるだろうに。

 現に視線を感じる……殺気のこもった。

 俺は急いでうどんをすする……!

 面倒なことになる前に、ここから離脱しなくては……!


「えー、良いじゃないですか〜。私は水戸さんと仲良くしたいなぁって」


「そう……悪いけど、俺はもう行くから。じゃあね」


「え?ちょっと!?水戸さーん!?」


 俺はその場から足早に去っていく!

 ごめんね、俺は目立ちたくないんだよ……。




「フゥ……一体なんだったんだ?普段は絡んでこないのに」


 係長といい、森島さんといい……どうなってるんだ?


「……さて、問題はどこで寝るかだな」


 四月に入ったばかりで暖かくはあるが……。

 風が強いから外のベンチはまずいし、休憩室じゃ邪魔になるだろうし。


 すると、後ろから声をかけられる。


「やあ、水戸君。どうしたんだい?こんな何もないところで立ち止まって」


 この方の名前は田村課長。

 俺の部署のトップの方だ。

 50代の、どこにでもいそうなおじさんと言われている。

 いつまでたっても昇進出来ない、永遠の課長とも呼ばれている。

 俺からしたら、課長に昇進しただけすごいと思うのだが……。


 そして松浦さんに逆らえない情けない上司とも。

 もしくは愛人だとか。

 もちろん、俺はそんなことは思っていない。

 入社当初から優しい方で、俺は色々教えて頂いたものだ。


「これは、田村課長。お疲れ様です。いえ、少々考え事をしてまして」


「ふむ……今日は顔色が良くないね。昨日は遅くまでゲームかな?麻雀かな?私の予想だとモンハ○の新作かな?ごめんね、うちもそういう休暇が取れれば良かったんだけどね」


「実は、まだ買えてないんですよ。でも、ああいうのは良いですよね。昨日はプライベートで色々ありまして……そのためか、昨日は少々寝つきが悪くてですね」


 さすがに、松浦係長と飲んでたとは言えない。


「おや?珍しいこともあるね。君がそれ以外のことで疲れてるとは……」


「俺だって、そういう時もありますよ。すみません、仕事には支障出ないようにしますので……以後、気をつけます」


「いやいや、君は頑張りすぎなところがあるからね。それくらいのことは気にしてないよ。では、長話をするのは可哀想だ。いや、すでに邪魔にしてるね。おっ、そうだ……この鍵を使うと良いよ」


「これは?」


「管理職専用の空き部屋でね。そこで僕は、仮眠なんかをとったりするんだよ。もちろん、会社には許可を得てるから。管理職になると色々とあるからね……ストレスが」


「心中お察しします。いつもお疲れ様です」


「いや、良いさ。君みたいな優秀な部下もいるからね。さあ、そこで少し寝てくると良い。時間をオーバーしても、僕がどうにか言っておくから」


「過分なお言葉ありがとうございます。しかし……それは、あまりよろしくないのでは?」


「君がサボるとは思ってないから平気だよ。それに、そのままの状態で仕事される方が困るかな?」


「……仰る通りです。申し訳ありません、では有り難く使わせて頂きます」


「うん、それで良い。じゃあ、またね」


 課長にしっかりお礼を言い、俺はその場所へと向かう。



 そこには鍵付きの扉があった。


「なるほど、そういや聞いたことあったな」


 確か、管理職専用のフロアがあるって。

 ここのことだったのか。

 渡された鍵で、とりあえず中に入る。


「静かでいいな。鍵番号は……この部屋だな」


 鍵を開けて中に入ると……。


「おおっ……!寝っ転がれる大きいソファーに、くつろげそうな椅子、癒しの観葉植物……少しだけ出世したくなってきたな」


 時間もないので、すぐにスーツを脱いで、ソファーに座る。


「いやー正直言って助かった……さすがにあのままだと危なかった」


 昨日は、本当にきつかった。

 係長の色気が凄くて。

 柔らかいし、良い匂いしたし……。


「自惚れでなければ、俺は気に入られてるのか?ハァ……なんで、上司なんだろう?」


 そうじゃなければ……俺だって……あっ……急に来た……。


 俺はその感覚に身を任せ……意識を手放す……。





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