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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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白状する

 そういうことか……。


 昇が能力があるのにやる気がなかったのは……これが原因なのか。



「で、どうしたいんだ?」


「あん?」


「俺に言うってことは、何か考えというか……」


「ああ、そうだな……会社を続けるかどうかで悩んでいる」


「それは……辞めて料理人なるってことか?」


「辞めた場合はそうなるな。ただ、全然未定だけど」


「そうか」


「お前に触発されたっつーか……情けないことに、お前がいることで安心してたんだ。俺だけじゃないってな」


「それは……俺のセリフだ。俺もそう思っていた」


「へへ……なんかはずいな、俺たち」


「だな……いい年した大人だってのに」


「でもよ、悪くない気分だ。もしかしたら、どっかで待っていたのかもしれないな」


「いや、わかる気がする。俺も、誰かが背中を押してくれるのを待っていたかも」


「へっ、お互いに情けないことだ」


「ああ、そうだな。じゃあ、まだまだ未定ということだな?」


「とりあえずは仕事しながら考えてみるさ。料理学校に行くのか、それとも何処かで修行をするのか……はたまた、その両方か」


「レストランやホテル系に行きたいなら、学校には行ったほうがいいと思うぞ。街の料理屋や個人店なら、そのまま働いた方が早いかもな」


「おう、サンキュー。参考にしとくぜ」


 するとタイミングよく、次々と頼んだ品がやってくる。


「よし、まずは食うとしよう。せっかくの美味しいお店だからな」


「刺身か……」


「安心しろ。お前にも分けてやるから」


 来た品を、まずは取り分けることにする。


「おっ、サンキュー。お前のそういうところが良いよな。男子とか嫌がる奴が多いんだよ。自分で頼めとか、女子じゃあるまいしとか」


「まあ、特に気にはしない。ただ、姉貴がいるせいかもしれないな。ありとあらゆるものが取られる運命にある」


「ははっ! なんだそれ?」


「笑い事じゃないんだよ……お菓子を買ってくればいつの間かなくなり、アイスを買えば半分個という名の略奪にあい、ケーキもダイエットだからいらないって言ったのに食べるし」


「愉快な姉ちゃんだな? いくつだっけ? というか、独身なのか?」


「今年で三十歳だな。独身で一人暮らしだが、それは俺のせいでもある」


「ああ、例の親父さんの件か?」


「まあ、そんなところだ……よし、食べるとしよう」


 その後は食事に集中する。




 そして満足したところで、話を再開する。


「ところで、姉ちゃんは綺麗か?」


「なんだよ、急に」


「いや、なんか真面目な話ばかりっていうのもアレだと思ってさ」


「まあ、それは言えてるな……綺麗? うん、まあ、客観的に見て器量は良いと思う」


「写真とかないのか?」


「あるが……まあ、お前なら良いか。言っておくが笑うなよ?」


 スマホにある写真を見せる。


「ははっ!」


「おい」


「いや、すまん。仲が良いのが伝わってくる写真だな」


 その写真はソファーで隣り合わせになり、姉貴が俺の腕を組んでいる状態だ。


「そういうのは彼氏にやれってんだ。弟は別なのよって意味がわからん」


「綺麗だし楽しそうな姉ちゃんだな」


「姉貴は昔からモテるからなぁ……雰囲気美人?だし、愛嬌と面倒見が良いから」


「でも、独身なんだよな? 俺、立候補しちゃおうかなー……」


「…………」


「おい、黙るなよ。怖いから。お前がシスコンなのはわかったから」


「いや……」


 案外悪くないと思った自分がいた。

 昇ならいいかなとは思うし……。

 料理人になりたいか……いや、うちの店はないな。

 あのクソ親父に、大事な友人を壊されるわけにはいかない。


「というのもだ……お前、最近女の匂いがするな?」


「やっぱり突っ込まれるか……」


「実を言うと、署の女子に聞かれちまって面倒なんだよ。水戸さんは彼女いるんですか?とか、森島さんとか係長とどうなっているんですかとか」


 ……女子ってすげえ。

 見られたわけでもないのに、もう話が大きくなってる。


「すまん、昇。迷惑をかけてしまった」


「いや、謝ることはないけどよ。ただ、軽くていいんで事情を説明してくれると助かる。そしたら、適当に誤魔化しておくからよ」


 話すか迷ったが、迷惑をかけてるんじゃ駄目だな。


「そういうことか……実は、個人的に係長と会う機会があってな。それで仲良くなったというか……。森島さんについてはよくわからないが、何やら相談を受けている」


「へぇ……いつの間にそんな面白いことに」


「おい?」


「いやいや、お前だぞ? 会社の人間とは最低限の付き合いにすると言っていた」


「……返す言葉もない」


「まあ、良いんじゃねえの? それでハメを外すような奴じゃないし」


「むしろ逆だな。そう思われないためにも、今まで以上にやる気だ」


「それもあって仕事を熱心にしてると……わかった、俺の方で適当にやっておく」


「悪いな」


「気にすんなよ。俺が助けられることのが多いし。付き合ってるわけじゃないんだな?」


「ああ、それはない。まずは目の前の仕事を終わらせてからだ」


「まあ、何かあれば相談に乗るとするか」


「その時は……お願いする」


 自分ではわからない客観的意見が欲しいとは思っていた。


 こうして、昇との飲みは終わった。


 楽しい時間だったが……何より、胸のつかえが取れた気がする。


 やっぱり、誰かに話すって大事なことなんだな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 続き楽しみにしてます!!
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