表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/63

みんな色々ある

 その後、テーブルに戻るが……。


 ん? やけに静かになっているな。


「どうした? みんなして黙って……」


「い、いえ……」


「なんでもないんです……」


「別に気にしてなんていませんから……」


 ……ああ、そうだよな。

 自分のところの部長が来てたんだよな。

 そりゃ、気にならない方がおかしい。


「三船部長なら上手くやっているようで安心したって言ってたよ」


「え? ああ……良かったぁー!」


「私、心臓が止まるかと……これで失敗とか思われたら」


「ほっ……いえ、別に気にしてませんけどね」


 初めての仕事だし、彼らにかかるプレッシャーは相当だろう。

 いくら事前に失敗して良いとは言われているとはいえ……。

 俺はなにをしていた? 自分の事ばかりで、彼らのことを考えいないじゃないか……!


「きっと君らに失敗しても良いと伝えても無理だろう」


「「「え???」」」


「だから……責任は俺がとるから、君達は伸び伸びとやると良い。もし何かあれば、俺も謝るし」


「「「…………」」」


 あれ? 三人とも黙ってしまったぞ?

 俺が上司に言われたら嬉しいことを言ったんだが……。


「えっと……」


「水戸先輩! 俺、感激っす!」


「水戸さん! 私もですっ!」


「……来たのが貴方で良かったです」


「はは……そう言ってもらえると嬉しいよ」


 その後、少し打ち解けた雰囲気の中、話し合いが進む。


「よし……今日はここまでにしよう」


 それぞれが俺に挨拶をして、解散となるが……。


「帰ったら色々調べてみるか……」


「調べることをメモしなきゃ……」


「顧客のニーズに応えるには……」


 それぞれが真剣にメモを取っている。

 俺にもあったな……つい、このあいだの事のようだ。



 懐かしさを感じつつ、俺は部屋を出て給湯室に入る。


「……フゥ、疲れたな。自分一人のことでさえ大変なのに、三人のことも考えないとだし」


 でも、なんだか嬉しい自分がいることに気づく。

 きっと、彼らから少しは信頼を得られたからかもしれない。


「少し休憩してから行くか……」


 俺は椅子に座って、眼鏡を外し目をつぶる……。




 ん? ……いかん、うたた寝したか?


「水戸先輩〜?」


「……森島さんか。すまん、寝てたか?」


「はい、寝てましたねー。貴重なワンショットをゲットですね」


「そんなん見ても何も面白くないだろうに……」


「そんなことありませんよー。眼鏡を外してるのは初めて見ますし」


「あんまり見ないでくれるか? 好きじゃないんだよ。目つき悪いし……」


 昔は、よくヤンキーに絡まれたっけ……。

 何睨んでいるとか因縁をつけられて……。

 しかも、親父に似てきたから尚更嫌いになる。


「えー? かっこいいですよー? 草食系から少しだけワイルド系になる感じで」


「そ、そうか」


 お世辞だとわかっていても嬉しいものだな。

 俺も、大概単純なものだ。


「おや? 照れてます?」


「あんまり年上をからかうんじゃないよ」


「ふふ、随分と気安くなってきましたね?」


「ん? ……まあ、そうかもな。嫌ならやめようか?」


 口調なんかも砕けてきたような気がする。

 きっと、森島さんが話しやすいからだろう。


「いえいえー。ふふーん、良い傾向ですね〜。さて、もう少し居たいですが邪魔者が来る前に戻りましょうかね」


「邪魔者?」


「水戸先輩、もう三時半ですよ?」


「げっ!? それじゃ!」


「あとでお茶を持っていきますねー」


「ありがとう!」


 俺は眼鏡をかけて、急いで自分の部署に戻るのだった。



 部屋に戻り、まずは麗奈さんの元に向かう。


「松浦係長、申し訳ありません」


「いえ、問題ないわ。貴方が居なくても回るようにしておいたから」


「わかりました。ですが、以後気をつけます」


「ええ。こちらのことは気にせずに、あちらに専念しなさい」


「はい。では、仕事に戻ります」


 俺がデスクに戻ると、あちこちから声が聞こえる。


「あんな言い方しなくても……」


「水戸先輩、頑張っているのに……」


「自分の地位が危ないから焦ってるんだよ……」


 ……いや、それは違うと思うのだが。


 今度飲み会があったら参加しようかな。

 そして、麗奈さんの誤解を解かなくては。


「多分、俺が気にしないようにああ言ったんだと思うけど……」


 俺は麗奈さんに視線をチラリと向ける。

 すると……目が泳いでオロオロしている……。

 どうしよう、可愛いのですが。


「おそらく、違うのよって言いたいんだろうなぁ……」


 俺は眼鏡を外し、視線を合わせ軽くウインクをする。

 これで、わかってますよということが伝わるだろう。


「っ——!!」


 ガタガタッ!と音がして、デスクから物が落ちる。


「あれ? 大丈夫かな?」


 何やら睨まれてしまったので、俺は大人しく仕事をすることにする。



 昼寝をしたが、それが返って良かったのか……。

 定時上がりで帰ることができそうだ。


「よう、侑馬。今日は暇か?」


「うん? 昇か……今日、飲み会があるのか?」


 だとしたら参加しようかな。

 ちょうど良いタイミングだし。


「いや、違うぜ。二人でどうかと思ってな」


「珍しいな……」


「たまにはいいだろ?」


「ああ、そうだな」


「よし来た。じゃあ、上がるとしようぜ」


 俺は昇と共に、会社を出るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ