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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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二面性

 ……俺もあんな風になれるかな?


 落ち着いていて、怒鳴ったりせず、部下のために頭を下げられる大人に。


 ……いや、なれるかなじゃない。


 なろうと思わなくてはいけない……でないと、近づけもしない。




「水戸君?」


「え?」


「どうしたの? ぼーっとして……」


 いけないいけない。

 今は、麗奈さんとお昼ご飯を食べてるんだった。


「すみません……課長は立派だなと思いまして」


「さっきの台詞よね? ふふ、ああいうところは相変わらずね。私が主任になった時も言ってくれたっけなぁ」


「なんであんなに落ち着いているんですかね? そういう人柄ってことですかね?」


「うーん……水戸君になら平気よね。課長はね……以前、期待していた部下を辞めさせてしまったことがあるらしいの」


「え? あの課長が?」


「相当昔の話らしいけどね。私も同じ質問をしたら……期待してたが故に、無意識にプレッシャーをかけてしまったって……だから、それ以降は本人の自信がつくまで待ってから期待するって……それまでは辛抱強く見守るって」


「なるほど……人に歴史ありですか」


「ふふ、それは誰にだってあるわよ。それにしても……この唐揚げ美味しい!」


「あっ、ほんとですか?なら良かったです」


「なんか……前より油っぽくないというか、それでいてまだカリッとした食感がある……何か特別なことをしたの?」


「普通は小麦粉で揚げるところを、米粉で作ったんです」


「へぇ……! 米粉で作るとこうなるのねっ!」


「ええ、油っぽくならないし冷めても美味しいのでお弁当向きですよ」


「ほんとに美味しい……あっ——タコさんだぁ……!」


 おい、可愛いな。

 なんだ、タコさんだぁ……!って。

 いや、確かに今日もタコさんウインナー作ったけど。


「お弁当が少し可愛く見えるかと思いまして……」


「うん! 可愛い!」


 いや、可愛いのは貴女ですけど?


「そ、そうですか……」


「うわぁ〜今日もあるなんて……小さい頃、憧れだったんだぁ……ウインナーってそもそも値段が高いし……」


「……では、ウインナーを入れる日はそうしますね」


 麗奈さんの顔がパァっと明るくなる。


「嬉しい!」


 やれやれ……次はりんごウサギさんでも作ろうかね?

 喜ぶ顔が見たいし……。



 その後、楽しい食事を終えると……。


「はぁ……美味しかったぁ〜。水戸君、今日もありがとうございました。とっても美味しかったです」


「いえ、その顔が見れれば良いです。麗奈さんの笑顔さえあれば」


「え……? そ、それって……」


「料理人とってはそれが一番の幸せです」


「そ、そういう意味ねっ!ア、アブナイアブナイ……」


 ん?何故焦っている?

 至極当然のことしか言っていないが?


「さて……この後はどうするのですか?俺はこのまま調理室に行きますが……」


「うん? もう時間ね……コホン! では、私もついていくとしましょう」


 あっ——松浦係長になった。


「視察ですね……わかりました」


「緊張しなくていいわ。私は口を出さずに見守っているだけだから」


 ……それが一番怖かったりするんです。




 麗奈さんと一緒に部屋を出て、調理室に到着する。


 そして新人社員の三人と、調理場にいる二人の女性に挨拶をする。


「えっと……その女性の方は?」


「東郷君だったな……うちの課の松浦係長だ。今日は俺の仕事振りを確認に来ただけだから、君達は安心して仕事するといい」


「あっ……噂の……」


「わ、わたし、聞いたことある……」


「僕もですね……」


「あら——何か?文句があるならはっきりと言うことよ」


 氷の女王によるブリザードが吹き荒れる。


「「「…………」」」


 あっ——完全に萎縮してしまった……。


「松浦係長、そんなに怖い顔してはダメですよ。せっかく可愛いのだから、もっと笑顔でいきましょう」


「え?……な、何を……」


 麗奈さんの顔が見る見るうちに赤くなっていく……。

 ……生意気言って怒ってるのかもな。

 でも、ここは強くいかないと。


「もったいないですよ。松浦係長は、ほんとは優しくて可愛い方なんですから」


「「「勇者がいる……」」」


「っ〜!! そ、そう……善処するわ」


「ええ、それで良いと思います。生意気言ってすみませんでした」


「い、良いわよ、別に……」


「「「おお〜……照れてる」」」


「——何か?」


「「「いえ! なんでもありません!」」」


 やれやれ……課長、俺には難しいかも。

 でも、麗奈さんの良さを知ってもらうためにも頑張らないと。



 挨拶も済んだので話し合いをする。


「それで……各自、一つは考えてきたかな? まずは東郷君」


「俺は、付け合わせ系が良いと思います。母ちゃんがあと1品が足りない、作るのがめんどくさいって言ってたを思い出しました」


「なるほど、それは良い案だね。確かに、時間が足りない主婦には助かるかもな」


「は、はい!」


「じゃあ、天野さんは?」


「わ、わたしは……スープ系かなぁって……」


「なんで自信なさげなんだい?良いと思うよ?結構手間がかかるしね」


「は、はい!ありがとうございます!」


「最後は奥村君だね」


「僕はあえてメインでいきたいと思います。ボイルで温めるだけで食べれるような」


「うん、それも良いね。最近は、美味しい物も増えているし。ただ、各自意見が違うようだから、ここから擦り合わせていこう。それぞれどんなメリットがあるとか、デメリットがあるかとかね」


「「「はい!!!」」」


 ふぅ……中々大変だ。

 のびのびと仕事してもらいたいし……。


「水戸君」


「は、はい?」


「……良いと思うわ」


 ほっ……どうやら、ひとまず合格点のようだ。


 その後は話し合いをし、各自でまとめたものを明日以降に提出することになった。


 ……人に教えたり、導いたりするのって大変なんだな。

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