麗奈視点
ハァ……楽しかったなぁ……。
水戸君を見送りながら、私は今日の出来事を思い出します……。
……今日は、水戸君とのお出掛け……。
初めての……デート……で良いのよね?
男女が二人で出かけたら……。
「だ、男性とデートなんて初めて……」
ど、どうしよう……心臓の鼓動が……。
「ドキドキする……まだ、会ってもいないのに……」
どんな格好したら良いかな……?
可愛い格好したいけど……引かれないかな?
化粧とかも可愛くしたい……。
「……うん!水戸君は、そんな人じゃないわ!」
初めてのデートだもん!
可愛いって思ってもらいたい……!
「えっと……お化粧はナチュラルに……薄め……洋服はスカート履きたい……外に行くのに髪を下ろすのは何年振りかしら……?」
み、短すぎないかな……?
足出ちゃってる……!
でも、これ気に入って買ったけど……着たことないのよね。
「……え!?もうこんな時間!?」
気がつけば、12時を回っていた。
朝の9時から支度してたのに……!
「き、着るしかないわね……!」
私は、覚悟を決めて洋服を着替えました。
「あぅぅ……スースーする……良い歳して良いのかな……?」
で、でも!まだ、28歳だし!
い、良いよね……?
「さ、最近は、歳上の人でも可愛い格好してるし……」
自分に言い訳をしつつ、最後の仕上げに入ります。
「サイドテールって……これで良いのかしら?いや、変更する時間もないし……」
車なら靴はヒール……でも、高すぎると嫌がるかな?
水戸君と5センチくらいしか違わないし……。
うぅー……なんで、私はもっと小さくないの……?
私も、森島さんみたいになりたかったなぁ……。
「……いけない!こんなネガティブじゃ、水戸君も嫌に決まってる!」
それでも、出来るだけ低めのヒールを用意しておく。
「ストッキングを履いて……これで準備は万端ね」
時計を見ると……一時まで、15分ほど時間があった。
何も食べないのもあれなので、お茶漬けを食べることにしました。
「五分前……あっ——」
車が止まる音……水戸君かな!?
「い、急がないと……!あっ!窓閉めなきゃ!」
もう!私のバカ〜!
どこが準備万端なのよぉ〜!
急いで窓を閉め、最後に玄関横の窓を閉めようとして……。
私は……そこから一歩も動けなくなってしまいました……。
「か、カッコいい……!」
水戸君が車に寄りかかり、私を待っています……。
ただ、それだけなのに……なんで?
「洋服も……オシャレ……ジャケットの腕をまくってるところとか……」
……あれ!?時間……キャ——!!
「ち、遅刻……!」
急いで窓を閉めて、家を出ます!
挨拶に失敗しちゃったけど……。
水戸君は少しも嫌な顔をすることなく、挨拶をしてくれました……。
素敵だけど……むぅ……慣れてるのかしら?
私は初めてだけど……むぅ……複雑だわ。
でも……いいの……似合ってるって言ってくれたから……。
その後のカラオケでは……。
「良い声……それに……」
歌に集中しているからか、水戸君は私の視線に気づいていない。
カラオケの音により、私の声も聞こえていない。
「横顔……素敵ね……鼻筋が通ってて……顎のラインが好きかも……」
そんなにイケメンとかって感じではないけれど……個人的に良いなって。
それを、こんなにじっくり見れる機会はそうそうない……。
私は、低くて心地よい声を聞きながら、横顔を堪能するのでした……。
……楽しかったなぁ。
カラオケを終えた私は、久々の感覚に酔いしれます。
もちろん、水戸君といられるのもあるけれど……。
カラオケってこんなに楽しかったのね……また来たいな……水戸君と。
……ど、どうしよう……!?
事件ですっ!由々しき事態ですっ!
み、水戸君が……私の脚を……見つめています……!
ふ、太いかな!?短すぎるかな!?
あ、熱い……モジモジしちゃう……。
でも……似合ってるって……うれしぃ……。
その後、ボウリング場に着きました。
ほっ……どうやら、私の勘違いだったみたい。
ボウリングに行くから、気にしてくれたみたい。
水戸君ってば……紳士さんねっ!
「水戸君のパーカー……」
えへへ……ぎゅっとしたい……。
気がつけば、私は匂いを嗅いていました。
洗剤の匂いと、人の家の香りがします。
……これが、水戸君の家の匂い……。
ボウリングって難しいのね……。
は、恥ずかしぃ……!
こんなはずじゃ……!
「あぅぅ……」
でも、水戸君が優しく教えてくれたから……結果オーライねっ!
て、手とか肩に触れられちゃうし……心臓が止まるかと思ったぁ……。
ボウリングが終わり、会計に向かった時……。
いきなり、水戸君が私の手を取り歩き出します!
え?なに!?手……意外と大きいのね……違くて!
混乱する私をよそに、水戸君は壁際に私を追い込みました……。
あ、アレはなによぉ〜!!
トイレに逃げ込んだ私は、一人悶えます。
「き、キスされるかと思った……男性にあんな距離で……はぅぅ〜!」
わざとなの!?
そういうことなの!?
ああいう時……どうしたらいいの……。
へ、変な勘違いしちゃうし……。
「むぅ……私ばっかりドキドキしてる……」
どうしたら、水戸君をドキドキさせられるかな?
そのあとは……一緒にお買い物ですっ!
こ、これって新婚みたいよねっ!?
……なんだろ……?ずっと思ってたけど……。
黙ってても、水戸君となら苦にならない……。
好きだから?ドキドキするから?……わからない……。
初めてのことだらけで……思考が追いつかない……。
楽しい時間はあっという間に過ぎます……。
私の家に到着して、料理を作ることになります。
水戸君の体温が伝わってきて……私の鼓動は早くなって……。
気づかれてないかな?ドキドキしてるの……。
水戸君を振り返ると……熱い視線を向けてきます。
あれ?これって……さっきと一緒?
でも……なんか違う気が……。
キス……されちゃうの……?
「麗奈!」
「ひゃい!?」
「いつまで玄関でぼーっとしてるの?」
「あれ?水戸君は……?」
「今、帰ったじゃない。ほら、お話がありますからね」
「う、うん……」
もう……良いところだったのに……。
結局……それは分からずじまい。
お母さんがやってきて、そんな場合じゃなかったから……。
あのままだったら……どうなっていたんだろう?
で、でも……初めてのデートでキスは——早いと思うのですよ……?




