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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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デートその二

 ……麗奈さんが——可愛い。


 歳上だが——とにかく可愛い。


 先程から、俺の心臓がおかしい。


 苦しい……これは——なんだ?


 感じたことのない痛み……。




「水戸君!」


「……はい?」


「大丈夫?胸を押さえて……苦しそう……どこか、具合悪い……?」


 俺を心配そうに見つめる目を見てると……痛くなる。

 だが、心配をかけるわけにはいかない。

 俺は無理矢理押さえ込み、平静を装う。


「いえ、大丈夫ですよ。少し張り切り過ぎましたね」


「そ、そう?無理しないでね……?」


「ありがとうございます、相変わらず優しい方ですね」


「べ、別に……普通です……」


 相変わらず、こういうのは言われ慣れていないようだ。

 俺が褒められ慣れてないと同じように……。





 再び車に乗って、移動を開始する。


「ふふ……」


「ん?どうしました?」


「え?」


「いや、微笑んでいたので……」


 運転中に、思わず見惚れてしまうところだった……。


「う、ううん!なんでも……た、楽しいなって……」


 少し恥ずかしそうに、麗奈さんは言う……。


「そ、そうですか……それなら良かったです」


 何をつまんない返し方を……!

 もっと気の利いた言葉は出てこないのか!俺は!




 その後、少し気まずくも、何故だか居心地が悪くない沈黙が続く……。


 そして、赤信号で一時停止をすると……。


「次は、ボウリングよね?」


「ええ、そうですが……」


 そして……俺は思わず、太ももを見てしまう。

 あのミニスカートじゃ……投げる時見えちゃうよな?

 綺麗な脚だなぁ……何を想像してんだ、俺は。

 あっ——俺のアレがあったな。


「あ、あのぅ……」


「え?」


 いつのまにか麗奈さんが……スカートの端を両手で押さえていた……。

 モゾモゾしながら、必死に脚を隠そうとしている……。


「あぅぅ……」


「す——すみません!!」


 いかん!ガン見してしまったっ!

 完全なるセクハラだっ!


「う、ううん!気にしないでっ!あっ!前!」


「え?……あぶねっ!」


 信号が青になるところだった……。

 しっかりしろ!運転中だぞ!


「ご、ごめんね……みっともないよね……いい歳して……」


「え?」


「す、スカートなんて……履くの大学生以来だから……」


「……麗奈さん」


 俺は運転に集中しつつも、気合いを入れて声をかける。


「は、はぃ……」


「先程も言いましたが……とても——良く似合っています」


「…………」


 あれ?気合い入れて答えたんだけど……。

 返事がない……よそ見するわけにもいかないし……。


「麗奈さん?」


「あ、ありがとぅ……」


 とてもか細い声が聞こえてきた……。

 ……どんな顔をしているのだろうか?





 そして……ボウリング場に到着する。


 車を止め、中に入る。


「へぇ〜……今ってこんな感じなんだ……」


「確かに……綺麗ですね。なんか、俺らの学生の時って、言い方は悪いですが……」


「少しさびれた感じだったよね?」


「そうです。それで、いつ潰れるかわからないような感じで……」


「わかる!幽霊とか出そうで、肝試しとか!」


「あー、やりましたね。ただ、悪い連中の溜まり場でもあったので……」


「いたわね……今って、そういう人減ったよね?」


「たしかに……ヤンキーとかって死語らしいですし……」


 そんな同年代あるあるを話しながら、受付を済ませる。


 その間にも、麗奈さんは……男女問わずに視線を浴びている……。

 やっぱり、美人だもんなぁ……。

 きっと慣れているのだろう……堂々としている。

 よし!見た目は釣り合わないにしても、少なくとも姿勢だけは正しておこう。




 そして靴を履いて、いよいよとなったので……アレを渡す。


「麗奈さん、良かったら使ってください」


 俺は袋からパーカーを取り出す。

 寒さ対策に持ってきたが、役に立ちそうで良かった。


「えっと……」


「その……投げる時に、スカートがですね……」


「え……?あっ——だ、だから、さっき……?」


「ええ……見えてしまうかなと」


「は、恥ずかしぃ……私ったら何を勘違いして……水戸君は、脚が好きなのかなぁって……」


 ……好きです。


「……などと言えるわけがない」


「え?」


「いえ……よければお使いください」


「あ、ありがとうございます……えへへ……」


 何故、パーカーをぎゅっと抱きしめているのだろうか?

 ただのパーカーなんだけど……変な匂いでもしたのかな?

 きちんと洗ってあるはずなんだが……。




 麗奈さんは腰にパーカーを巻き、二人ともボールを選び終える。


 しかし……すぐに取り替えることになった。


 ゲームが始まってすぐに……。


「かっ!?」


「だ、大丈夫!?」


「は、はい……重っ!」


 14を取ったのだが……投げてみるとキツイ……。

 完全なる運動不足だな……絶対に筋肉痛が来るやつだ。

 13に取り替えて、なんとかスペアをとる。


「わぁ……!すごい!」


 ほっ……良かった。

 密かにボウリングは得意だったからな……。

 投げ方自体は、鈍っていなかったようだ。


 ところで……イェーイとかやった方がいいのか?

 麗奈さんを見ると……拍手をしている……。

 うーん……ノリとかよくわからないが……麗奈さんとは、これでいい気がする。


「では、麗奈さんの番ですね」


「よ、よーし……!」


 麗奈さんの立ち姿は、まるでプロボーラーのようだ。

 背筋を伸ばし、背中からやる気が伝わってくる……。

 これは……すごいスコアが出そうだ。

 ボウリング場の人々も、その姿に魅了されたのか注目を集める……。


 そして……麗奈さんが……投げた!


「えいっ!」


 とてつもなく綺麗なフォームで投げられた球は……。


「はい?」


 ……吸い込まれるようにガーターに入っていた……。

 麗奈さんの綺麗な投げフォームとは裏腹に……。


「…………」


「…………」


「おい、あの美人固まってるぞ?」


「すんごい綺麗なフォームだったのに……」


 ……どうしよう……かける言葉が出てこない。


「…………」


 麗奈さんは真面目な表情のまま、静かに戻ってくる……。

 そして、何事もなかったかのように椅子に座り……。


「……あぅぅ……!」


 両手で顔を覆い、可愛い声で俯いてしまった……。

 ボウリング場内が静まりかえる……。

 たが……多分、皆の心は一つだろう。


(おい、可愛いな、おい)




 その後、落ち着いた麗奈さんが言い訳を始める。


「ち、違うのよ?アレはアレでアレだから」


「何も答えになってませんが……?」


「むぅ……イジワルです……」


「そんな膨れなくても……」


 めちゃくちゃ可愛いけど。


「お、おかしいわ!いくら10年ぶりだったとしても……」


「いや、忘れますって」


「……じゃあ……水戸君が、教えてくれる……?」


「え?」


「だって上手だったもん」


「わ、わかりました……」


 ひとまず自分の番なので、投げると……。


「ストライクだっ!すごいすごい!」


 うん、なんだかとても嬉しいな。

 たかがゲームだけど褒められるのは。


「ありがとうございます。では、やってみますか」


「よ、よろしくお願いします」


 麗奈さんの後ろに立ち……あれ?


「どうしたらいいかな?」


 これって……まずいのでは?

 密着しないといけない……。

 いいのか?ありなのか?

 いや、意識してるのは俺だけか……なら、自然な感じで。


「失礼します」


「っ——」


 ん?何か漏れた?

 ……気のせいか。


「投げる時は真っ直ぐを意識して、姿勢を崩さずに。力は大していりません。むしろ大事なのは、力を抜くことです」


「は、はぃ……」


 めちゃくちゃ良い匂いがするが……我慢しろ!

 俺のアレも大変なことになっているけど……中学生かっ!


「良いですか、このまま腕を上げて……投げる!」


「えいっ!」


 投げたボールは……レーンの最後まで到達した!

 パコーン!と小気味良い音が鳴り、いくつかのピンが倒れる。


「ヤッタァ!」


「やりましたねっ!」


 気がつけば……自然とハイタッチをしていた。


 ……どうする?


 相変わらず緊張はしてるし、心臓は痛いけど……。


 ……めちゃくちゃ楽しい。



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