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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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ゴールデンウィークは波乱

 ゴールデンウィーク前の、最後の仕事を終えた俺は、久々に真っ直ぐ家に帰る。


 無事にマンションに着き、家に帰ることが出来た。


「フゥ……良かった。今日は何もなくて……」


 誰からも誘われることなく、自分の時間が持てる。


「嫌とかではなく、少々キャパオーバーだし、考える時間が欲しかったからな……」


 さて……松浦係長とデートすることになった。

 ……なぜ?ホワイ?どうして?

 ……いつの間にやらそういう流れに……。

 後悔はしていないが、いまいち状況を飲み込めてない自分がいる。


「あんな美人とデートとかしたことないぞ?せっかくなら、楽しませてあげたいが……」


 俺に出来るだろうか?

 こんな俺に……つまらないと言われ、好きだった彼女に振られた俺に。


「……我ながら、ウジウジしててイラつくな。とりあえず、飯を食べるか」


 今日は、色々あったから作る気力がない。

 なので冷凍してあるビーフシチューに、焼いたパンとサラダで済ませる。

 その際に行儀は悪いが、ネット小説を読む。


「うん、美味い……へぇ、最近のラブコメ小説はエロが強いのか……いや、エロいだけじゃないな……きちんとした話の上でのエロってことか……みんな、色々凄いなぁ……」


 そんなことを考えつつ、食事を終え、ソファーにもたれかかってると……。

 どうやら……ゆっくりもしていられない状況のようだ。


「森島さんから電話か……出ないというわけにはいかないか……もしもし?」


『もしもし、お疲れ様です。今、大丈夫ですか?』


「ああ、大丈夫だよ。どうしたんだい?」


『あのですねー、月曜日に私とデートしません?』


 ……今、なんと?

 デートと聞こえたような……。

 いやいや、そんなわけが……さっきラブコメを読んでたからって。


『あのー、聞こえてますかね?やっぱり、迷惑ですかね?』


「いや!そんなことは……って、本気かい?」


『ふふ……そんなに構えないでくださいよー。相談に乗って欲しいんですよー』


 なるほど、そういうことか。

 経験が浅いから、そういう冗談ともよくわからないんだよなぁ。

 ……だから、つまらないとか言われて振られるんだろうな。


「そういうことなら、まあ……」


『ほんとですか?助かりますよー』


「ただ……」


『大した時間はかからないのでご安心ください。貴重なゴールデンウィークですからねー』


「なら問題ないよ」


『では、時間と場所は前日に送りますねー。失礼しますねー』


 電話が切れる……。


「ふぅ……相談か……一体、なんだろうな?」


 ……電話もしつこくないし、用件のみで楽だったな。

 話しやすいし良い子だし、相談くらいなら力になるとするか。


「ん?あれ?」


 着信がきてる……松浦係長からだ!


「か、かけなおさないと……!」


 慌てて電話をする。


「もしもし?」


『あっ——ご、ごめんね?かけても出なくて……何かしてたかな?忙しいなら……』


「いえ、大丈夫ですよ。少し……」


 あれ?森島さんから電話だって……何故言えない?

 別におかしなことじゃないよな?

 松浦係長と付き合ってるわけじゃないし……。


『水戸君……?』


「いえ……日曜日のことですね?」


『う、うん……お任せしても良いのかな……?私、そういうのわかんなくて……』


「お安い御用ですよ。一応、予約を取っておきますね。ゴールデンウィークですから」


『あ、ありがとうございます……頼りになるのね……』


「いや、これくらいは……」


 まあ、一応教訓として覚えてはいるけどな。

 前の彼女に、なんで予約してないの?とか言われたからなぁ……。

 言わなくてもわかってとか……ハァ……女性って難しい。


『ううん!そんなことないよ!』


「あ、ありがとうございます……」


 なんというか……真っ直ぐ言われるとテレるな……。


『え、えっと……わ、私は何をすれば良いかな……?』


「いえ、そのままで大丈夫ですよ。明日、予定が決まり次第連絡しますから」


『そ、そういうものなんだ……よ、よろしくお願いします……』


「ええ、お任せください」


『じゃ、じゃあ……きるね?あれ?そっちがきるの?え?え?』


「クク……気にしなくていいんじゃないですか?」


『わ、笑われちゃった……』


「あっ——す、すみません……」


『う、ううん!いいの!えっと……お休みなさい……』


「ええ、お休みなさい。では、俺が切りますね」


 通話を終えて、ソファーにもたれかかる……。


「ハァ——緊張した……」


 松浦係長と話すのは緊張するな……。

 いや……ドキドキすると言えばいいのか……?

 俺は乙女かっ!


「2人の違いはなんだろうな?……よくわからない……」


 松浦係長と話すより、森島さんのが楽な気はする……。

 だが、楽しいのは松浦係長な気がするし……。

 すると、再びスマホが鳴る。


「おいおい、今日はなんだ?……姉貴か」


 ちょうど良いと思い、電話に出る。


「もしもし?」


『お姉ちゃんですよー』


「当たり前だろ」


『あら、ノリが悪いわね』


「悪かったな、つまらない男で」


『あらー……相変わらず、重症ね。アンタは……』


「ほっとけ。で、どうしたんだ?」


『明日、予定はあるかしら?』


「ゲームをする予定だったけど……」


 だから、松浦係長にも日曜日が良いと言ったが……。

 色々と状況が変わってきたからな……。


『なら、やめとくわね。買い物したいから男手が欲しかったけど』


「いや、予定を変更する。良いよ、付き合うよ」


『……事件ね。学生時代に遊べなかった反動で、大人になってからゲームや小説にのめり込んだアンタが……』


「……何も否定ができないな……いや、相談があるのと、明後日に車を貸して欲しいんだよ」


『へぇ……珍しいわね。いつもなら溜め込むだけ溜め込んで自爆するアンタがね』


「まあ……少し、心境の変化というか……変わっていかなきゃと思ってな」


『良い傾向ね、それは。アンタは真面目過ぎるし、もう少し楽に生きなさい』


「姉貴……サンキュー」


「ふふん、お姉様と呼んでも良いわよ?』


「却下します」


『ふふ……でも——良かったわ。そう思える日が来たってことね……良いわ、貸してあげるから……ただし、覚悟しなさいね?』


「わかってるよ、事情は説明するから」


『あら?それまた珍しい……』


「というか、それが相談内容に関係あるし……」


『そういうことね……わかったわ。じゃあ、明日の昼過ぎに行くわ』


「ああ、わかった」


 通話が切れ、ようやく静かな時間が訪れる。


「なんか、立て続けに起きたな……色々なことが」


 一ヶ月前まで、何も変化がなかったのに……。


 少々、キャパオーバーなのは否めない……。


 ただ——嫌な気がしない自分に気がついたのだった……。


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