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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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ゴールデンウィーク前

 翌朝、少し早く起きた俺は、2日に一回のお弁当を作っていた。


「さて……今日は洋風にしようかね」


 昨日のビーフシチューを食べたせいか、帰ってからずっとそんな気分になっていた。

 まずは、昨日から仕込んであるハンバーグのタネを焼く。


「その間に……ご飯はオムライスにしようかな。玉ねぎは仕込んであるし……」


 俺は一度飴色に炒めたものを、冷凍庫にストックしてある。

 それを、昨日の夜に冷蔵庫に移動させてある。

 これがあると、料理がとっても楽になる。


「炒めたベーコンに、ご飯に玉ねぎを混ぜて……」


 デミグラスソースも冷凍してあるし……。

 ハンバーグには、そのソースでいいだろう。


「スープは……魔法瓶を使うか」


 買ったは良いが、使ったことがないし……。

 これに、コンソメスープを入れていこう。


「ケチャップを入れて……これでよし」


 できたそれを弁当箱に詰めていく。


「次は、卵を溶いて……」


 熱を入れて、バターを溶かしたフライパンに卵を投入。

 こっからは勝負だ……10秒から15秒の間を……今!

 フライパンの柄を軽く叩き、丸くしていく……。


「よし、完璧だな。これを乗せれば……」


 オムライスの完成だ。

 ……麗奈さん、喜んでくれるかな……。

 やっぱり、楽しいな。

 誰かの喜ぶ顔を想像しながら料理をするのは……。


「トマトやレタスを付け合わせにして……作り置きのトマトペンネを入れて……あとは、ポテトサラダも入れて……」


 麗奈さんには感謝しなきゃな……。

 嫌いになりそうだった料理が、また好きになってきた。

 来週からアドバイザーの仕事もあるし。


「何か、お礼がしたいところだが……」


 お弁当箱に詰めながら、考えてみる……。

 食事やお酒までも奢って貰ってるし……。

 お金がないにもかかわらず……何か返したいよな。

 何が良いだろうか……?

 仕事を手伝ったり、足を引っ張らないことは当然として……。


「そういや、麗奈さんの趣味ってなんなんだ……?聞いたことないな……」


 俺はゲームや小説、マンガやアニメも好きだし……。

 お笑いやドラマも嫌いじゃない……。


「そういや……全然——知らないし、知ってもらってないな……」


 いや……会社での付き合いなんだから、それで良いはずだ。

 昨日だって、そうした方が良いと思ったじゃないか……。


「我ながら迷走しているな……いや、お礼をするのは変なことじゃない。あくまでも、世話になったりた上司にお礼をするだけだ……変じゃないよな……?」


 そんなことを考えつつ、お弁当が完成した。

 癖っていうのは恐ろしいな……。

 他のことを考えながらでも、手元は勝手に動いている……。

 それが……良いか悪いかは別として……。





 その日の午前中は、指導の時間となる。


「ど、どうですかね……?」


「うん、良いんじゃないかな。手元を見ずに打っても、ミスがなくなってきたね」


「ありがとうございます!言われた通りに、この指はこのキーを押す専用って決めていったらできたんです!」


「結構、慣れると楽だろ?ピアノを弾くのと似たような感じだし」


 小野君は、小さい頃にピアノを習っていたようだ。

 なので、これが良いんじゃないかとアドバイスをしておいた。


「はいっ!これなら、なんとかなりそうです!」


「そっか、なら良かったよ。人それぞれやり方や、向き不向きがある。もし、小野君が教える立場になったら、そのことを考えるといい。決して、自分には出来たからといって——それを押し付けてはいけない……わかったかな?」


「はいっ!もちろんです!」


「よし……なら、この調子で仕上げちゃおうか」


 後ろで見ながら一安心する。

 もちろん、まだまだ言うべきことは沢山あるが……。

 一度にいっぺんに言ってしまったら、相手はパンクしてしまうし、やる気も出なくなる。

 俺が、そうだったように……。

 だが、ひとまずゴールデンウィーク前に形にはなってきた。

 これなら、とりあえずは平気そうだ。


「水戸君、どうかしら?」


「これは、松浦係長。大分、形になってきたかと」


「へぇ……?小野君、やってみてちょうだい」


「は、はぃ……!」


「緊張しなくて良い。松浦係長は、理不尽に怒る方じゃないから。さっきと同じようにやってみるんだ」


「水戸さん……よし、やってみます」


 オフィス内が静かになる……。

 皆が仕事の手を止めて、それを見守っている。

 そんな中、カタカタカタっという音だけが響く……。


「……もう、いいわ」


 相変わらず不器用というか……。

 そんな冷たい言い方したら……。


「え?そ、そうですか……」


 やっぱり……勘違いしてるな……。

 えっと……フォローするには……。


「小野君、松浦係長は……もう十分に出来てるから良いよって言ったんだよ。ねっ?松浦係長?」


「え?」


「……そうよ。それなら、とりあえずは平気でしょう。引き続き、その調子で頑張りなさい……よく頑張ったわね」


「は……はい!ありがとうございます!」


 周りから拍手が起こる。


「よくやったな!」


「いやー!緊張した!」


「ドキドキしたよな!」


「あなた達——人の心配をしてる場合なのかしら?」


 拍手が一斉に止まり、皆が仕事に戻る。


 ……あらら……不器用な方だな。





 その後、昼休みになり……麗奈さんとお弁当の時間となる。


「わぁ〜!美味しそう!」


 うん、相変わらず可愛い方だ。

 さっきまでとは、まるで別人のようだ。


「どうぞ、召し上がってください」


「頂きます!……うん!美味しい!このデミグラスソース……マスターのと違うけど、美味しい……甘い?」


「良かったです。ええ、俺は甘めのワインを使って作りましたからね。マスターのは渋みのあるやつを使っているのではないかと……」


「へぇ……そういうのもあるんだ……奥が深いんだね……」


「まあ……俺もプロではないですから、詳しくはないですけど……料理の世界は、一生勉強とも言いますからね」


「大変なのね……あっ——オムライスも美味しい……!」


「良かったです。ほんとは、出来立てを食べてもらいたかったですが……卵のふわふわ感やなどは、どうしても出来立ての方が美味しいですからね」


「え?……た、食べてみたいな……」


「はい?」


「その……出来立てを……」


 なんで、出来立てを食べたいのに……モジモジしているのだろうか?

 いや……まてよ。

 お礼か……俺に出来るのは料理を作ることくらいだ。


「良いですよ。出来立てを食べますか?」


「え……?良いの……?」


「ええ、構いませんよ。麗奈さんには感謝していますから。お礼をしたいと思っていたとこきろです」


「私……何かしたかな……?」


「俺の料理を、美味しく食べてくれましたよ。おかげで、料理が好きなことを思い出しましたし、嫌いにならずに済みましたから……」


「そ、そうなんだ……えへへ……じゃあ、いつお邪魔したら良いかな……?」


「はい?」


「えっと……食べさせてくれるんでしょ?日にちとか……休みの日の方が良いかな?」


 ……あれ?

 ちょっと待てよ……。

 えっと……どういうことだ?

 お礼に出来立てを作る……そのためには……部屋に呼ぶ必要がある?

 ……しまったぁぁ——!!


「いや、その、えっと……」


「明後日からゴールデンウィークだよね……私は、土曜か日曜なら……」


 待て待て……なんか話が進んでしまっている……。

 今更、断れる空気じゃないぞ……。


「えっと……日曜日の方が良いですかね……」


「じゃ、じゃあ、それで……時間とかは、後でいいよね……?」


「え、ええ……」


「ふふ……楽しみだなぁ〜」


 ……適切な距離を保つはずが……。


 いや、俺が墓穴を掘ったのは理解しているが……。


 それでも……どうして——こうなったのだろうか?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今の所美人上司と勘違い平社員とのラブコメですよね [一言] この話とても面白いです、アイドルちゃんのどうこうも気になります
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