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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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夜の街を歩く

 その後も、2人の言い争い?は続くが……。


 そんな時、救世主が現れた……時間という。


「はい!皆さん!時間もいいので、お開きにします!」


「ウェーイ!」


「明日、会社行きたくない〜!」


「飲み足りない!!」


 うん……やっぱり、あんまり参加しないようにしよう。

 俺は酒に強いから、介護役になりそうだし……。

 とりあえず、嫌われていないことはわかったしな……。


「水戸先輩!もう一軒行きましょう?」


「いや……」


「いえ——水戸君は帰らせます。明日から、大事な仕事がありますから」


「えー!?こんな時も仕事ですかー?」


 え?あの仕事はまだ先なんじゃ……?

 それとも、後輩の育成の話かな?

 とちらにしろ、助かった……。


「悪いね、森島さん。明日から、色々あるんだ。じゃあ……」


「あっ——水戸先輩!?」


「なあなあ!俺は、もう一軒いけるぜ?」


「えっと……」


 すまん、森島さん……俺には飲み会は荷が重い……。

 というか……やっぱり、静かなのが好きなんだな……俺は。


「昇、俺は帰るわ」


「ああ、お疲れさん。色々大変だったな?」


「ハハ……よくわからんが……まあ」


「両手に花ってやつだな?」


「勘弁してくれ……」


「ハハ!まあ、こんな感じだけど……たまには出てみるか?」


「……たまにならな」


「それで良いと思うぜ?別に、無理することもないし」


「ああ、そうするよ……じゃあな」




 俺は店を出て歩き出す。

 すると……後ろから、声がする……係長の。

 まさか……二軒目とか言わないよな?

 それは……色々な意味でお断りしたい……。


「君……水戸君!」


「松浦係長……どうしたんですか?」


「こ、この人彼氏です!」


 いきなり、腕を組まれる……が。

 柔らかいものが……え?これって……。


「あ?なんだよ、いたのかよ。チッ!」


 えっと……何がどうなった?

 とりあえず、柔らかいのと良い匂いがすることだけはわかる……。


「あ、あの……?」


「ご、ごめんなさい!」


 あっ——離れた……って!何を残念に思っているんだ!!


「い、いえ……何があったんですか?」


「み、水戸君が出ていくのを見て……私も方向一緒だから、歩いてたら……そ、その、ナンパされちゃって……こういうところ、あんまり来ないし……」


 俺は意識して周りを見てみる……なるほど。

 それらしいホテルがいくつかある……。

 まあ、飲んだらそのまま行けるようにだろうなぁ……。


「それは……すみません」


「別に水戸君は悪くないわよ!わ、私もごめんなさいね!か、彼氏だなんて……」


「いえいえ、あの手の輩を追い払うには適切かと。まあ、俺では釣り合いが取れませんが」


「むぅ……そんなことないもん」


「はい?」


 もんって……可愛いか!


「そ、それより!随分と、森島さんと仲が良いのね?」


「いや、そんなことはないですよ。たまたま、俺が珍しくいたので気になったんでしょう」


「うぅー……これじゃ、私もどう攻めればいいの……あっ!」


「どうしました?」


「こ、ここは危ないところよね!」


「え、ええ、まあ……」


「ど、どうしたらいいかしら……?」


 ……まあ、そうなるわな。

 何かあったら困るし……。

 これは不可抗力だ……俺は、誰に言い訳しているんだ……。


「では、掴まっててください。送っていきますから」


「う、うん!」


 ……何をそんなに嬉しそうに……。

 いや、まあ……うん。


 そのまま、夜の街を歩いていく……。

 道を通るたびに、男達から視線を感じる……。

 ……そりゃ——綺麗だもんな……。

 今だって、横顔とか鼻筋が通ってて綺麗だし……。


「な、何かついてる?」


「い、いえ、赤いなと……」


「少し飲みすぎちゃった……でも、なんとか体裁は保てた……よね?」


「ええ、いつもの係長でしたよ」


「今はプライベートです……」


「え?さっきと言ってることが……」


「アレはアレ!コレはコレです!」


「ククク……」


「わ、笑われちゃった……」


「す、すみません……面白い方ですね、麗奈さんは」


「あぅぅ……」




 その後、タクシーが通る道まで出る。


「さて……じゃあ、一緒に乗りますか?」


「え?」


「俺は原付で来てるので。方向もそこまで違いませんしね」


「そ、そうよね……」




 無事にタクシーをつかまえ、2人で乗り込む。


「それで、どうしたんですか?」


「え?」


「いや、飲み会に来るなんて……自分が言うのもなんですけど」


「べ、別に……たまには良いかなって思って……」


「俺と一緒ってことですか。まあ、課長にも言われてましたもんね?」


「うっ——そうなのよ……難しいわ……威厳がないのもどうかと思うし……かといって、なあなあになっても困るもの……」


「確かに……その辺りはさじ加減が難しいですね。課長なんか上手いですもんね」


「そうね……あの人は昔からそうみたい。ああ見えて、上からも信頼されているみたいだし」


「へぇ……そうなんですか。まあ、俺は好きですけど」


「ふふ……水戸君は、課長のお気に入りだから」


「 あぁ——言われましたね……君は、私の部署に入れるって……」


「私もお呼ばれしたんだけど……早いわね……もう、30歳になっちゃう……」


「まだまだ、お若いですよ。この間のすっぴんとか、俺より年下で通じますし」


「な、な、なっ——!」


 ……やばいな。

 可愛い……。

 さて……どうしたものかね?




 そして、松浦係長の家の前に到着する。


 俺は窓を開けて、松浦係長に挨拶をする。


「お疲れ様でした。また明日から、よろしくお願いします」


「え、ええ……あのね!あとで携帯を見てて!」


「はい?」


「いっていいですかねー?」


「は、はい、すみません」




 聞き返す暇もなく、タクシーは走り出す。


「美人な彼女さんで良いですね?」


「いや、そういうわけじゃ……」


「え?そうなんですか?どう見ても……いえ、そうですか」


 ……俺なんかと、釣り合いが取れないだろうに。


「ん?知らないアドレス……?なぁ!?姉貴のやつ……いつの間に……」


 そこには『お姉さんからメールアドレスを聞きました。勝手に知ってしまいごめんなさい。もし、嫌だったなら返事は結構です。私もアドレスを消します。今日は、送ってくれてありがとうございました』


「……嫌……?そんなわけがない……」


 ……なんで、上司なんだよぉぉ——!!

 チクショ——!!俺だってな——!!


 ……落ち着け、俺。



 とりあえず俺は……お休みなさいと一言だけを返したのだった……。




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