保科 良空②
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良空は、帰り道を独りで歩いていた。
否、一人ではなかった。その少し前を、華江と焔華とが歩いている。
しかし、ある意味ではそれも否──三人は、一つの集団ではないからだ。良空は二人の後を、勝手についていっているだけ──それが、偶然なのか、自発的になのかは、忘れた。ただ良空は二人の後をついていっている。
焔華は、後ろを歩く良空のことを気にかけていた。良空とは最近急速に仲良くなったが、まだ分からないことが多く読めない相手だ。
今ついてきているように見えるのも、ただ偶然一致しているだけなのかも知れないし、そもそも向こうは、こちらに気づいているかも不明瞭だ。
というか──顔色が、少し悪いような?
華江は、そんな焔華の気を引くべく、話題を絶やさないようにしていた。
最近、焔華と良空が仲良くなってから、世界がおかしくなっていく。
もう──よく分からない。
ただ、考えていることがあった──焔華と離れたくない。その想いのみを行動理念に、正しくあったつもりだった。
でも、それすら間違っていく気がして。
もう──何も。
良空は、
焔華は、
華江は、
「らすくちゃん、危ない!」
「!?」車道にふらふら進入していた良空は、焔華によって歩道に引き戻された。直後、盛大なクラクションと共に一台のワゴン車が二人の隣を過ぎていく「うわ、えっ、あ、ありがとうございます」
「危ないよ、しっかり歩かな──
キキキイイイィィィッ。
ドンッ。