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碧-aoi-  作者: いでっち51号
~服部碧~
14/20

~第4幕~

 市川女子一心高校柔道部発足から一週間が経ち、その存在に目をつける高校が出てきた。本家本元の公立高校である市川高校柔道部だ。その部員数は男子含め一心高校の倍はいる。顧問の森田より出稽古の話を持ち掛けられ鳥谷は快諾した。



 しかし柔道部の幸先は良いものでなかった。碧、愛琉納は乱取りで仲間と組む中で柔道の面白さにのめり込んでいったが、真琴は練習途中で音を上げてへたり込んでしまい動かず。マネージャーの渚へ自身の趣味の話をするばかり。そして明らかに悪い態度をとっていたのは妙子だった。入部間もない3日ぐらいは最も真剣に練習に取り組む姿勢をみせていたが、飽きたのか怠そうな練習態度をとりはじめ、市川高校が来る3日前に決定的なことが起きる――



「妙子、やる気がないならあそこで真琴と休んでいなさい」

「はぁ? やっているのだけど?」

「そんな中途半端な組手じゃあ、アンタか相手がケガする」



 鳥谷は我慢しきれず、妙子へ指摘を入れた。それまで部員の自主性を重んじて、注意することはあまりせずにいた。少ない部員数である。厳しくし指導するより褒めて伸ばす以上にやる事がなかった。



「大体ね、こんなでかいデブの相手をさせられて、おっかない外人の相手をさせられたり、気持ちの悪いヲタクの話し声を聴かされたり、病人に気遣ったりさ、何の部活ですか? ここは? こんなところで一生懸命になったって何の思い出にもならないですよ! 辞めたくもなるわ!」

「妙子……」

「おい、お前!! 何てこと言う!!」



 愛琉納と組んでいた碧が前に出てきた。そして鳥谷を払いのけて妙子をおもいきり殴った。



「痛い! 何するの! アフリカ人が! 私は帰る!」



 妙子は道着の上着を投げ捨てて帰る。鳥谷は即座に怒鳴ったが、彼女には何も響かなかった。振り向くと、俯いた碧が「先生、あんな奴はほっといて、練習を続けよう」と言った。あまりに一瞬で起きた出来事に彼女は言葉を失った――



 この翌日から嘉子と真琴も部活に来なくなった。市川高校柔道部が3日後にはこの道場にやってくる。鳥谷の心に焦燥が生まれ始めた――



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