三異一体
「行くぞ! ゼロ! まずはじいちゃんの技! 食らえ! スキル【ツボ押し】」
そう叫んでぼくは、超越者ゼロの懐へ飛び込んでいった。
「ふんたかがそんな初級スキルで私を打ち倒せると思うな。」
そう言ってゼロはスキルを放つときに必要な構えを用意せず、ぼくに十三連撃のスキルを瞬時に浴びせてきた。
そのスキルの一つ一つが、並の鎧なら貫通してしまうほどのすさまじい威力だ。
「やめろ! ルカ。そいつにスキルで挑むのは危険だ」
必死に警告するコバルト。もちろんそれはぼくもわかっていた。
「わかってる! だからぼくはこうする。【ツボ押し】からの魔術【ヘブンズ・ゲート】」
「なに!」
ゼロは、ぼくからスキルが飛んでくるものだと考えていたようだが結果は違った。
ぼくから放たれたのはスキルではなく、魔術。
当然そのことに無警戒であったゼロは、避けることができず攻撃が直撃してしまった。
「グ、グワアアアアアアアアアア!」
そしてぼくは畳み掛けるように、魔法【ファイアボール】をゼロへと放った。
「二度は同じ手をくらわん!」
そう言ってゼロは魔法と魔術を防御する姿勢を構えた。
それを見たぼくは、今度はスキル【ツボ押し】を放った。
「ギャアアアアアアアアアッ! 馬鹿な。なぜ私の強力な異能がお前には通じない! なぜお前が三つの異能を使うことができる!」
ゼロはすさまじい剣幕で叫び声をあげた。
それに対しぼくは落ち着いた声で返した。
「強力な武器にはそれなりのデメリットがあるものさ。お前の異能はたしかにすごい。だけれども、強力過ぎて攻撃する際のすきが大きいのさ。
そして二つ目の質問の回答だ。なぜぼくが三つの異能を使えるのか? それは三つの世界でそれぞれ助けてくれた人がいて、その人達から習ったからさ」
その答えを聞いて、ゼロは乾いた笑い声をあげた。
「ハハハ。お前のようなミジンコのような力が私の神の如き異能を上回るとは。それにお前には仲間がいたというのか」
「そうだ。だが一つ勘違いをしていることがある。お前もぼくたちの仲間だ」
「なぜ……?」
「それはお前の中に眠る【勇者】がぼくの仲間だったからだ。さあ帰ろう。一緒に」
「馬鹿……な」
そう超越者ゼロになげかけると、なんと合体していた三人が分裂を始めた。
それを見て覇王は魂の抜けた顔をして脱力した。
「終わった。これで、私の夢も野望もすべて終わった」
「ああ、終わったさ。だが始まりでもあるよ父さん」
「なに?」
「今まで迷惑をかけてきた人たちに償いをするための始まりさ」
「ああ、そうか。そうだな」
こうして覇王の野望は一日も持たずして崩れ去った。




