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超越者

 地響きが収まり、空間の歪みがおさまりだすとぼくはどこか真っ白い空間の中にいることに気がついた。


 その真っ白い空間は端から端が果てしなく、入り口も出口もまるでないようであった。


 しかもまずいことに、その空間の中に人はぼく以外おらず仲間とはぐれてしまった。


 ──まずい。このままでは【覇王】が【超越者】を手に入れて、野望を叶えてしまうことだろう。


 口では、ぼくの母親を蘇らせると言っていたが、そのために【スキル】の世界の住人を虐殺した極悪人だ。


 そんな【覇王】が、【超越者】を手にしたらどんなことになるのかは恐ろしくて考えたくもない。


 彼の野望を阻止するため、ぼくは出口を求めてなにもない真っ白な空間を走り回った。



「はぁ……はぁ……はぁ……」


 どれくらい走り回っただろうか?


 とにかくこの空間では、距離感というものが掴みにくい。


 なので自分の感覚に頼らざるを得ない。


 ぼくの感覚でいってこれだけ息切れするほど走ったということは、おそらく二十分程は駆け回ったのだと思う。


 そうして走っていると、ぼんやりと像のようなものが浮かんできた。


「これは一体……?」


 ぼくが目を凝らしてみると、そこには見たことのない世界が広がっていた。


 その世界は【魔法】、【スキル】、【魔術】の世界どれとも違うそれらが入り混じったような外観をした世界であった。


(もしかしてこれが【覇王】の言っていた【かつての世界】なのか?)


 ぼくは更に走って、そのぼやけた像を追いかけた。


 走れば走るほど、その像がはっきりと見えてきた。


(これはもしかして、出口に近づいているということなのか?)


 ぼくはそんな疑問を抱きながら、更に走っていった。


 するとぼくは、とある光景を目にした。


「あれは! コバルト、ルビー!」


 そしてその二人の前には、金色に輝く人型の物体が存在した。


「なんなんだあれは……? もしかしてあれが超越者なのか?」


 これは非常にまずい。敵意があるのかはわからないが、このままでは二人がどうにかされかねない。


 とにかく急いでここから出ないと、そんなことを考えているとコバルトの話し声が聞こえてきた。


「おい! お前が【覇王】の言っていた【超越者】なのか?」

「いかにも。私こそ【超越者】ゼロだ」

「そうかお前が【超越者】か。なら話は早い、俺の故郷の仲間達を蘇らせろ!」

「よかろう」


 そう言ってゼロと名乗る【超越者】はニヤりと笑った。


「ただし、お前達が私を退屈させないに値する相手ならばの話だがな」


 そう言って【超越者】は、いきなりスキル【ゴッドスマッシュ】を放った。


 それを間一髪で避けるコバルト。


「なんのつもりだ?」

「私は強いものが好きだ。弱き者の指示には従わん。お前達はみたところ【スキル】を使えるようだな? ちょっとした小手調べをしただけだ」

「わかった! ならばお前を俺達の力でねじ伏せるまでだ。行くぞルビー!」

「はい!」


 そう言って【超越者】ゼロと【スキル】使いの二人の戦いが始まった。

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