反撃
「ここは危険だ。とりあえず【覇王】から距離をおこう」
そう言ってぼくは、シャロを抱きかかえて距離を置こうとした。
しかし、それを【覇王】が見過ごすはずもなく【魔術】の連撃をぼくに放ってきた。
「させん! 【ヘブンズ・ゲート】」
「くっ……!」
まずい。あの光はすこし浴びただけでも致命傷になりかねない。
頼みの綱であるシャロも今は戦える状態ではない。かといって【聖女】であるマゼンタも記憶を失っていて
【魔法】を使えるかは怪しい。
これは万策尽きたかと思った時であった。
「【ブラック・ホール】」
なんとブラックが、【覇王】の【魔術】に対し自分の力をぶつけて打ち消したのであった。
「ブラック!」
ぼくは叫び声をあげた。
「はぁはぁ……なんて強さだ。最高火力の【魔術】を使ってようやく五分だなんて」
「当たり前だ。ひよっこのお前と私を一緒にしてもらっては困る」
最高火力の【魔術】である【ブラックホール】を放ち息切れを起こすブラックに対して、まったく余裕の表情
の覇王。
ぼくは恐ろしいまでの実力の差というものを感じた。
しかしブラックのとった行為は決して無駄ではなかった。
ブラックが攻撃をしかけている間にぼく達は間合いをあけることができた。
そしてその間にぼくはシャロに対して【魔法】の【回復】で怪我を治した。
「大丈夫かい? シャロ」
「ええ、なんとか」
とりあえずシャロは一命をとりとめることができた。
しかし、ブラックが時間稼ぎをすることができるのも後もう少しの間だけであろう。
このままでは全員がやられてしまうことは確実だ。
その時ブロンドがこんなことを言い出した。
「ねえあなたって【魔術】は使えないの?」
「え?」
ぼくはあっけにとられてしまった。
「ぼくが【魔術】を? いきなりどうしてそんなことを?」
「【覇王】はあなたのお父さんなのでしょう? だったらあなたも【魔術】を使えてもおかしくはないわ」
「……なるほど。確かにぼくが【魔法】を使えるのは、おばあちゃんとお母さんのおかげだし、【スキル】を使えるのはおじいちゃんのおかげだ」
思い返してみると、単純なことであった。
もしそれぞれの異能が遺伝によって引き継がれるものなら、ぼくも【覇王】と同じく【魔術】を使えてもおかしくはないはずなのだ。
「わかった。やってみる、いややってみせる!」
ぼくは腹をくくって【魔術】を使えるという可能性にかけて作戦を練り始めた。
「ねえマゼンタ。ぼくと一緒に戦ってくれるかい?」
「んーわかった」
「ならこう動いてほしい」
ぼくは詳細な指示をマゼンタに伝えた。
すると皆はざわめいた。
「え! それってちょっと危険なんじゃ?」
「危険だけれどもブラックを放ってはおけないよ。それにこの方法でしか【覇王】は倒すことができない」
「うーん」
みんなの表情は暗かった。
しかし【聖女】であるマゼンタの力を借りるほかない。
「よし! 作戦は決まった【覇王】を倒すぞ」
ぼくは威勢よく【覇王】に突撃していった。




