攻略
ぼくは必死になって【覇王】の対策を考えた。
(複数の異能を使える人間なんてぼく以外にも存在したのか……!)
今までぼくが戦えていたのは、【魔法】と【スキル】両方の力を使うことができたからだ。
しかし【覇王】も複数の異能を、所持しているとなれば話は別だ。
【覇王】の強力な【魔術】と【スキル】に怯えながら、戦わないといけない。
次はどのような【魔術】が飛んでくるのだろうか。
ぼくは背筋を凍らせた。
「終わりだ。呆気なく終わってしまったな。【ヘブンズ・ゲート】」
【覇王】はそういって神々しい光の【魔術】を、展開させぼくに攻撃をしかけてきた。
(クソッ……! 結局ここで終わりなのか?)
ぼくは圧倒的な力の差の前にひれ伏すことしかできなかった。
次の瞬間、【覇王】の放った【ヘブンズ・ゲート】が開き、閃光がぼくを包んだ。
(ッ……!)
ぼくは息を飲んだ。この攻撃をくらったら流石にひとたまりもない。
しかし、ぼくは一つ忘れていたことがあった。
「【マジック・バリア】」
後方からそう叫んだ者がいた。そうシャロだ。
そうだ。ぼくはすっかり忘れていた。【覇王】になくてぼくにあるもの。
それは信頼できる仲間だ。
一対一では決して勝てない相手である【覇王】にでも、仲間達となら渡り合うことができるはずだ。
そのことにようやくぼくは気がつけた。
「ほう、あの攻撃を防いだか」
一方の【覇王】はというと、最初の攻撃を防がれたことにとくに興味を示していないようだ。
しかしそんなことは関係ない。仲間達が攻撃をしかければいつか【覇王】を倒すことができるはずだ。
「そうよ、まだまだこれからよ。くらいなさい! 【ファイア・プリズン】」
そう言ってシャロは再び最上級魔法を放った。
「何度やっても同じことだ」
そう言って【覇王】は、【スキル】である【回避】を使ってのけぞろうとした。
【覇王】は【回避】の姿勢に入り、【ファイア・プリズン】から抜け出そうとしていた。
しかし、それをふせぐものが現れた。
「どこに行く気だ? お前に残された道などない」
そう言ったのはコバルトであった。
彼は【回避】に必要なモーションを的確に妨害して、【覇王】が【ファイア・プリズン】から抜け出せないように動いた。
「なにっ……! この動き【スキル】を使える者がいただと!」
【覇王】は驚きの声をあげた。
「そうだ。俺はお前が燃料のように扱った【スキル】の世界の住人コバルトだ。地獄の業火に焼かれながら懺悔するといい」
そうして、【覇王】はシャロが放った【ファイア・プリズン】の炎の中に包まれることになった。
「よっしゃ!」
ぼくはガッツポーズを決めて叫んだ。
コバルトも仲間達の無念を晴らすことができたのだ。
さぞ喜ばしいことだろう。ぼく達は【覇王】を攻略することができたと一時の喜びを味わうのであった。




