施術
(なんだろう今日は妙にボーッとしちゃう)
勇者が、あんな捨て台詞を吐い逃げていってから三日が経つ。
あの意地汚い勇者のことだから絶対仕返しにくるはずだ。
なにも変わらない日常に、ぼくはすっかり安心しきっていた。
ただ一つ変わったことがある。
「ねえ、ルカ! またあのスキル私にやって欲しいんだけれど!」
シアンがやたら、ぼくに【施術】して欲しいと頼んでくるのだ。
「そんなにぼくの【施術】って気持ちがいいの?」
「うん! とっても気持ちいいよ!」
(そういえばこんなことを爺ちゃんは言ってたな)
────
「ルカよ、女の子がお前の【施術】を受けたいと頼んでくれば是非受けなさい」
「え? どうして」
「馬鹿もん! そんなのラッキーだからに決まってるからじゃろうが!」
(相変わらずのすけべっぷりだな……)
「それにな、お前の【施術】には治癒効果だけでなく予防効果もあるんじゃ」
「へえ」
────
ぼくの【施術】が、彼女のためになるというならやってあげるべきであろう。
「分かった、シアン。そこに寝そべって」
「はーい」
「それと服脱いでもらってもいいかな?」
「え?」
「服着たままだとちょっと……やり辛くてさ」
「う、うん、わかった。ルカの頼みなら何でも聞くよ」
ぼくはシアンをうつ伏せに寝そべらせて、彼女の体に流れる魔力の流れをスキルで覗き見る。
(これは相当酷いな……、よーしなら)
ぱっと見た印象では、腰や肩のあたりに魔力の滞りが見える。
まずぼくは滑りをよくするように、全身にオイルを塗った。
その後ぼくは蒸しタオルを、彼女の体にかけた。
「あったかぁい……」
「気持ちいい?」
「うん、とっても。なんだか体がポカポカしてくるっ」
「じゃあまず、太腿から【施術】していくね」
ぼくは、下半身のタオルを剥がすと彼女の美脚が顕になる。
太腿は適度な太さで、膝から下にかけてはよく引き締まっており長い美脚だ。
ぼくは、オイルを絡ませながら滑らせるように太腿を【施術】していく。
「あっ……、あっ……」
シアンは息を荒くして気持ちの良さそうな声をあげる。
それを太腿から足の付根にかけて揉みほぐしていく。
血流がよくなるにつれ、彼女の体はどんどん火照っていく。
ぼくは下半身を、【施術】し終えると次は上半身へとうつった。
上半身は、魔力がより滞っている部位だ。
ぼくはまずお腹のくびれの部分の【施術】を始めた。
「ッ……!」
どうやらシアンにとってここが敏感な部分らしい。あまりの快楽にシアンは身を捩らせる。
その反応があまりにも可愛かったので、つんつんとつつく悪戯をする。
「もう……ルカったら意地悪は……やめて」
「でもとっても気持ちよさそうだよ?」
「うん……とっても気持ちいい」
ぼくはシアンの生々しい反応を楽しみつつ、今度は肩のあたりを【施術】した。
背中を内側から外側へ血流をゆっくり、ゆっくり流していくイメージで【施術】していく。
それを何往復も繰り返す。すると、ちょっとした拍子に彼女の胸に触れてしまった。
「あっ、ごめん」
「ぜ、全然大丈夫だよ! むしろちょっと──」
「え、なにか言った?」
「う、うん。なんでも! 続けて!」
(ちょっとさっきのはまずかったかなぁ、後で謝ろう)
────
ぼくがシアンへの【施術】を終えると、二人で隣り合ってベッドに座っていた。
「ちょっと近いよ……シアン」
「ううん。このままがいいの。駄目かな……? ルカ」
シアンは上目遣いで、ぼくのことを見つめてくる。
そんな可愛い顔をすると、ぼくは引き下がらざるを得ない。
「駄目……じゃないかな! 今日の……どうだった?」
「とっても気持ちよかったな。またやってほしいな」
【施術】を終えて、二人でくつろいでいてるとセバスが駆け寄ってきた。
「ルカ様、お嬢様! 大変です。敵が! 敵がやってきました」
「え!?」
もうちょっとシアンの元にいたかったけれど、どうやらそうもいかないようだ。
ぼくは戦いの地へと足を運んだ。
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