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城内

 ぼくはブラックの誘導のもと覇王のいる部屋へと急いだ。


 城内は長い廊下が複雑に入り組んでおり、彼の案内なしではっても抜けられる気はしなかった。


 それでもぼくは、攫われた仲間を救い出すために足早に歩みを進めた。


 しかし、ある時ブラックが妙なことをいいだした。


「待て、一旦ここで休憩しよう」

「え? どうしてさ」


 ぼくはブラックの不思議な提案に疑問を投げかけた。


 一刻も早く覇王を倒して、ぼくの仲間を助けだしたい。


 それをどうして彼は止めようとするのであろう?


 ぼくは真意を彼に問いただした。


「ちょっと待ってくれよブラック。どうしてこんな中途半端なところで休ませるのさ」

「ここは敵からも見つかり辛い場所だ。あと半分程歩かないとならない」

「もう半分まで来ているなら、このまま進もうよ!」


 ぼくはブラックを急きたてた。


「少し落ち着けリーダー。周りをよく見てみろ」


 そう言って彼は、焦るぼくを諭してきた。


 周りを見たぼくは、思わずハッとなった。


 後ろからついてきていた仲間達は、長時間の移動で疲れた表情の仲間達が目に浮かんだ。


「わかったか? お前は少し急ぎすぎている。皆疲れきっているんだ。このまま進むと覇王の元に辿り着く前にバテてしまう」

「確かに。そっか。ごめんぼくが間違っていた」

「わかったならいい。ついでにどういう作戦で覇王を倒すか話し合おう」

「わかった」


 ぼくは気持ちを切り替えて、作戦をたてることに注力した。


「それで、覇王はどういう【魔術】を使ってくるんだい?」

「それは……」


 そういってブラックは、言葉を言いよどんだ。


「どうしたんだい? やっぱりまだ覇王に対しての忠誠心が残っているから言いたくないとか?」

「いや、それは違う。ただ私も覇王の【魔術】がいかなるものなのかは知らないんだ」

「え! そんな」


 ぼくは、驚いて言葉を失った。


 ブラックは元々は、覇王侵略軍の総司令官を担っていたものだ。


 そんな彼ですら、覇王の【魔術】がいかなるものなのか知られていないのかと。


「んーわかった。知らないならしょうがないや」

「力になれずすまない」

「いやいいよ! 自分の能力を晒したがらないってことは案外覇王の力って大したことないのかも?」


 ぼくはそんな希望的観測を述べたが、それをきっぱりとブラックは否定した。


「いや、それはない。覇王の実力は覇王軍の中で最も高い。さっき戦った教官が一度も手も足も出なかった程だ」

「そ、そんなになのか」


 ぼくはゴクリと唾を飲み込んだ。


 ならば余計に覇王を倒すためにはそれなりの作戦が必要となってくる。


 あの教官も手強かったが、覇王はそれ以上となると想像もつかない。


「いくら覇王の【魔術】が強力だからといって【魔法】に弱いことに変わりはないんだろ? そこを突けばどうにかならないか?」


 ぼくが平凡な意見を述べると、ブラックは顔を伏せてなにやら考えこんだ。


「確かに基本はそれで間違っていないはずだ。だが覇王の力を少しばかりなめている気がする」


 そういってブラックは、ぼくの意見をはねつけた。


「そうか……」


 ぼくは、少し落ち込むと同時にブラックがそれ程までに恐れる覇王の力はいかほどのものなのかと感じた。



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