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集結

 本気を出した教官の攻撃それは理解するのに時間を要さなかった。


 ぼくは教官の不気味な一言を聞いて、本能的にまずいと察して即座に身をよじらせて回避行動にうつった。


 しかしそれよりも速く本気を出した教官の一撃が飛んできた。


 本気を出した教官の攻撃それは、凍てつく【魔術】で空気中の水分を凍りつかせ槍を形成するものであった。


「くらえ!【ブリザード・ランス】」

「うわあああああああああああああ」

「ルカ!」


 この攻撃は先程のノロノロと敵を死に追いやるものとは性質が違う。


 一瞬にして、敵を葬り去る一撃必殺のものだと思わせる確信があった。


 それを察してブラックとブロンドもたまらず悲鳴をあげ、ぼくがやられる瞬間から目をそむけた。


(流石にこの攻撃はこんな至近距離からだとかわせない)


 ぼくも自分自身ここでやられてしまうものだと思い目を瞑った。


(ごめん、みんな……)


 そんなことを心の中で呟きながら、一瞬のときが過ぎるのを待った。


 しかし、おかしなことにあの【魔術】がぼくを攻撃してこないのだ。


(もしかして……打ち損じたか?)


 そんな淡い期待を抱きながら目を開けると、そこには信じられない光景が目にうつった。


 なんと先程まで氷槍を構えていた教官がぼくの目の前に倒れていたのである。


「どういうことだ?」


 ぼくはその奇妙な現象に驚いて、周りをキョロキョロと見渡した。


 するとそこには、シャロの姿があった。


「シャロ!」

「ルカ様! 間に合ってなによりですわ」


 なんとシャロが、攻撃が振り下ろされる前にぼくを助けに来てくれていたのだ。


「助かったよ! もうちょっとでぼくがその教官みたいにやられるとこだった」

「間に合ってなによりですわ」


 そう言ってシャロはニコりと微笑んだ。


 【魔術】に有利と言われる【魔法】とはいえ、一瞬であの強大な教官を倒してしまったのだ。


 周りにいた新米の兵士達は恐れをなして、我先に逃げようと必死で階段を駆け下りていこうとした。


 しかし、その抵抗もむなしく後ろから追いかけてきたぼくの仲間達と遭遇してしまった。


 それにより、ただでさえ士気の落ちていた新米兵士達にはなすすべなくやられていってしまった。


「ふう、これでひとまず片付いたかな」

「だな」


 ぼくは安堵して、【聖女】が幽閉されている塔の中へと入っていった。


 塔の中はまるで牢獄のような一室であった。


 そしてその中に、ポツンとマゼンタはいた。


「マゼンタ! 大丈夫か? マゼンタ」

「……?」


 マゼンタは不思議そうにぼくの顔を見ていた。


 そして次の瞬間衝撃的な一言を発した。


「あなた誰?」

「え……」


 その時の衝撃は、ぼくがパーティーから追放されたときのようであった。


(なんで……? ぼくのことを忘れちゃっている?)


「ルカ。きっと覇王が彼女になにかをしたのであろう」


 そう言ってブラックがぼくのことを慰めた。


「わ、わかってる。悪いのはすべて覇王のせいだ。彼女はなにも悪くない」


 そう言ってぼくはみんなに動じていないフリをした。


「急ごう! とにかくマゼンタは奪還した。【勇者】がいないのが気になるけど、今は覇王のもとへ向かおう」


 ぼく達は、塔の階段を駆け下りて覇王のもとへと向かった。 

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