幽閉
「しょうがありませんわ。私あなた達についていきますわ」
「よろしくね。ブロンド」
ブロンドと名乗る魔術の【聖女】は、不満げにぼく達についてくるようになった。
それに対してぼく達は、笑顔で彼女を迎えいれた。
「早速で悪いんだけれど尋ねたいことがある。」
「な、なんですの?」
「君と同じ顔をした、【聖女】と呼ばれる少女がいるはずだ。彼女達の居場所を教えて欲しい」
「そ、そんなことまで言わないといけませんの?」
「仲間になったんだろう?情報の共有は当然だとおもうけど」
不満そうな顔を浮かべる彼女に、ぼくは優しい言葉で彼女気をなだめる。
ブロンドは、少しの間沈黙する。
そして、少しの沈黙があけるとしぶしぶといった様子でぼくの質問に答えた。
「この覇王城には、西と東に二つの塔があるんですけれどその塔の西側に私は閉じ込められていましたの」
「閉じ込められていた? 君は覇王軍に所属する兵士なのに?」
「そうですわ! だから私覇王を見返してやろうと思って、戦場で功績を立てようと考え抜け出してきたんですの」
(噂に違わぬおてんば娘だなぁ……)
ぼくは、ブロンドと名乗る魔術の【聖女】のおてんばっぷりに呆れてしまった。
それとは別にぼくは何故仲間であるはずのブロンドを、西側の塔に閉じ込めておいたのだろう?
そんな疑問が沸いてきた。【聖女】と【勇者】を使って、各世界を侵略しようとしているのならば、塔に幽閉しておく必要はない。
むしろ実戦にどんどん投入して、経験を積ませておいた方が得なのではないのだろうか? とぼくは考えた。
(いや、もしかして覇王は【聖女】達の反乱を恐れているのかもしれない。だからあえて実戦には投入しないのか?)
答えは覇王にしかわからないが、そんなことをぼくは考えていた。
だがどちらにしろ関係ない。ぼくがやることは一つだ。
まずマゼンタを解放して、その後覇王を倒して野望を阻止する。
それを成し遂げるためにぼくはまず、マゼンタがいるであろう東の塔へ向かうこととした。
「わかった、話してくれてありがとう。君の話を信じてまず東の塔に向かうことにするよ」
「あら本当ですの? まあ私を素直に評価してくれるところは覇王よりも、素直に褒めてさしあげますわ」
そう言ってブロンドという少女は、ぼくのことを評価した。
(まあぼくのことを悪くは思っていないようだし、まあいいか)
ぼくはとりあえず気持ちを切り替えて、東の塔へと走り始めた。
「あ、待ちなさい! どこへ行きますの?」
「決まっているだろう? 東の塔さ。そこにぼくの仲間、マゼンタがあ閉じ込められている。その子を助けに行くのさ」
「そうなんですの? だからって走らなくたって」
「競争さ! そんなに功績を立てたいんだったらまずぼくより先に東の塔に辿り着くことだね」
「なんですって! 私負けませんから」
ぼくは彼女のやる気を引き出すため、あえてこんなことをやりだした。
しかし、それを見ていたブラック達の反応はひややかだった。
「まったく、ガキか。こいつら」
「本当に。まったくしょうがありませんわね」
そうブラックと、シャロは呟いたのが聞こえた。
しかし誰にどんなことを言われようとも関係ない。
ぼくはただ目標に向かって走り続けるだけだ。
「おいおい、あんまり前を走りすぎるなよ? 私の【隠密】の範囲の対象外になってしまう」
そう言って渋々とブラックもぼくの後を追いかけて、走ってきた。
それに釣られて、【隠密】の範囲外から出ないよう走り出すぼくの仲間達。
この瞬間が、ぼくがリーダーとして一番皆を率いているのだと感じた。




