表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/83

拳士

「その勝負受けて立ちますわ! さあ早くかかってきなさいな、それとも怖気づいて戦う気も起きませんの?」

「戦うさ。ただ一対一の勝負ということは、誰を代表者にするかが重要だろう? それを今相談しようとしているだけさ」

「あら、そうでしたの。でしたら好きなだけ考えればいいですわ。まあ私が勝つことに変わりはありませんでしょうけれど」


(随分と勝ち気で素直な子だなぁ……、ちょっと不思議な感じだ)


 ぼくは、ブラックがなんとなく言おうとしていたことが理解できた。


 おそらくは覇王によって、覇王軍こそが正義だと教え込まれてきた子なのは間違いないだろう。


 しかし、根はとても素直な子で決して悪い子ではない。


 そしてちょっと頭が足りていない。そんな感じの子だとぼくは分析した。


「それでだけれども、誰を代表者に据える? ここはぼくが行くべきなのだろうけれど」


 ぼくが誰を代表者にしようかと話し合いを始めた時、真っ先に手をあげた者がいた。


「私行きます!:


 それはなんと【拳士】のルビーであった。


「君が?」


 ぼくは普段おとなしめなルビーが、積極的に前へ出ることに驚いた。


「ダメですか?」


 ルビーは不安そうな顔を浮かべて、ぼくに同意を求めてくる。


「いや、ダメではないんだけれど」

「本当ですか? なら私行ってきます!」

「あ、ちょっと待って!」


 ぼくは今までの経験から、【聖女】には特殊な耐性があるということが予想できた。


 ただそれを伝える前に、ルビーは飛び出して行ってしまった。


「あら? あなたが相手ですの? いいですわ! まずはレジスタンスから私じきじきに制裁を下してあげますわ」

「望むところです。私が少しは皆さんの役二立てるところを見せてあげます」


 ルビーは、今までの旅の中でまだ一度も戦っているところを見たことがない人物だ。


 できることならば、もう少し相手になる敵と戦っているところ見てみたかった。


 しかし、一度言い出してしまった以上は引っ込みがつかない。


 なるべく大怪我を負わないよう祈りながら、彼女を見送ることしかできなかった。


「ルビー、無理だと思ったらすぐにギブアップを宣言するんだぞ!」

「ギブアップ? なんですのそれは?」

「もう戦えないってことさ。君が習ったかはわからないけれど、基本的に決闘でギブアップした敵をそれ以上攻撃したらいけないんだ」

「なるほど! そうでしたのね。でもそれじゃあ、バッジにすることはできませんわよ?」

「君の目的はぼく達をバッジにすることなのか? なら決闘なんて承諾せずに一方的に攻撃をしかければよかったのに」

「た、確かにそうですわね。私はただただ覇王軍にはむかう軍勢をこらしめてやろうとしただけですの」


 やはりこの【聖女】はどこか抜けているところがある。


 決闘の礼儀作法も知らないし、戦い方も素人のぼくより全然足りていない。


 これならばもしかすると、ルビーでも彼女を倒せるかもしれない。


 そんな淡い期待を抱きながら、彼女を見送った。


「もう一度言うけれど、ギブアップは早めにな?」

「わかっています。ただ私は勝つつもりでいるので!」


 そう言ってルビーは、いざ【聖女】との戦いへとおもむいた。


「それじゃあ私から攻撃しますわね! えい、【セイント・ドレス】」


(わざわざ攻撃するなんて宣言しなくていいのに)


 そんなことを心の中で突っ込みながら、ルビーの戦いぶりを見守った。


 彼女は、コバルトの言っていた通りならレジスタンスでも上位の実力者だ。


 この程度の攻撃なら避けることができるだろう。


 その予想通り、ルビーはスキル【回避】を使って身を翻して攻撃を避けた。


(ルビー……意外とやるぞ!)


 彼女の【回避】の速度は、さすがにコバルトよりも遅いがなかなかに素早い動きであった。


 そして自信満々に挑んで言った戦いだ。なにか対魔術師用の戦い方を用意しているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ