約束
「やった! やったぞ!」
ぼくはブラックを倒して、敗北を認めさせた。
デスマッチということになってはいるが、こいつを殺してしまってはきっと残党達がぼくの仲間を襲ってくるに違いない。
ぼくは、あえてこいつを生かしながら降参させるという理想的な形に追い込むことができた。
「さあまずぼく達の仲間を解放しろ、そして今後一切の侵略行為を辞めると宣言しろ」
「わかった、とりあえずお前達の仲間は解放する。ついて来い」
ぼくはフラフラになりながら、ブラックと共に闘技場を出た。
それを見て、侵略軍の魔術師達がぼく達に群がってきた。
「総司令官殿! いかがされました? もしやそのスキル使いに……」
「ああ、私は負けた。約束は果たさなければならない。ルカの仲間達を解放しろ」
「しかし……それでは、覇王様の命に背くことになるのではないですか?」
「そのことに関しては、後で説明する。今は人質の解放が先だ」
「……わかりました」
魔術師達は、ブラックの決定に何やら不服そうな顔を浮かべつつ、渋々命令に従った。
そうしてぼくは仲間達と合流できた。
「ルカ! もう不安だったんだから」
「シアン、ごめんごめん。でも約束通り勝てた!」
「本当! やっぱりルカったら凄いんだから」
シアンはぼくに飛びついて来て、まずぼくの無事を喜んでくれた。
他の仲間達も、解放された喜びや安堵でひとまず安心と言った表情を浮かべていた。
しかし心配なことに、ブラックはぼく達を一箇所に集めた後、魔術師達も同じ場所に集めた。
「おいおい、もしかしたらこの状況まずいんじゃないのか?」
「大丈夫だと信じたいけど……、もしかしたらまずいかもね」
コバルトは、ブラックが裏切ってぼく達に総攻撃を仕掛けてくると疑っているようだ。
ぼくもそのことは気にかけていたが、結果は違った。
「皆の者! よく聞いて欲しい。我々は今後一切この世界の侵略行為を中止する。私に従うものは従ってくれ、反逆者の汚名を着せられたくない者は帰還を許す」
「ブラック……」
ぼくは目をまん丸にして驚いた。
他の魔術師達も同様に、驚いた様子を見せていた。
そして魔術師の中でもざわめきが聞こえだし、命令に従おうかどうか話し合いが始まった。
「おいおい、どうする? 俺は覇王様の命令に背きたくない。だけど、総司令官殿の命令にも背けない。もう訳がわかんねえよ」
「お、俺は帰還するぜ。まだ反逆者として処刑されたくないからな」
「いや、私はたとえ反逆者の汚名を着せられようとも、最後まで信じた人に着いていきたい」
ブラックの突然の宣言に戸惑ったのは、ぼく達だけでなく魔術師達も同じなのであった。
しかし、総司令官から一転して反逆者になるとは。
一体何の心変わりがブラックの中であったのだろうか? ぼくはそれを彼に尋ねた。
「なあブラック。どうして侵略軍の総司令官である、お前がいきなり心変わりして俺たちについて来るなんてことを?」
「……正直言って君の言っていた言葉が響いたからさ。私もこの世界に来る前は、スキル使いはこちらの世界に侵略を仕掛けてくる敵だと覇王様に教えられてきた。しかし、実際にこの世界に来てみたらどうだ? 平和に暮らす一般市民達を我々が一方的にバッジにして、平和を脅かす存在となった。その矛盾にどうしても耐えきれなくなってな」
「ブラック……」
ぼくはそれ以上何も言うことができなかった。やはり彼も覇王の言い分には疑問を持っていたらしく、それが今回のぼくの決闘をきっかけに反逆者になったということらしい。
「それじゃあ君達もぼくの仲間になってくれるのか?」
「ああ、私と私に今も従ってくれる部下はもう君達の仲間だ」
ぼくは思わぬところから仲間が現れたことに驚くばかりであった。
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