激戦
ぼくは更に魔道具に魔力を込め、出力をあげていった。
「グワッ……グッ……」
ブラックはぼくの魔術の威力に押されて、ダメージを負っていく。
「クソッ! これは敵わん」
彼は素直に魔術での戦いを避けるため、持ち前の身体能力で後ろへとのけぞった。
「どうだ? もう降参したらどうだ?」
「降参? まだお前は俺の魔術の真髄を知らないな」
そう言って彼は、光の魔術の出力を高めて光の粒子を更に鎧のように纏わせた。
(なんだ……? さっきと同じじゃないか)
ぼくは彼の攻撃パターンを見て、奴の言っていることははったりをかましてきたなと感じた。
しかし、彼の言っていたことは本当なのだということがわかった。
彼の光の粒子の鎧は、まるで実体を持っているかのようなリアルさであった。
そして気がついたことがある。
彼の動きが鈍い。光の粒子の鎧の影響なのだろうか?
今までは、光属性の魔術師らしく光速で動き回るバトルスタイルであった。
しかし今は、どうだろう。
まるで熟練の重装戦士のような、腰の座った戦い方に変えてきた。
「さあここからが本気の戦いだ……!」
「い、いくら光を纏ったところでぼくはお前なんかに負けないぞ……!」
ぼくは必死に虚勢を張ってみせるが、それが今まで戦ってきた奴よりも遥かに異質なのは自分がよくわかっていた。
だが考えたところでしょうがない。
どうせスキルで彼の魔術に勝つことは不可能なのだ。
ならば闇の魔術で突っ込むまで!
ぼくはそう考えて、持てるだけの闇の魔術を纏わせ彼に正々堂々ぶつかっていった。
「勝負!」
ぼくは負けると薄々勘付きながらも、彼に勝負を挑んだ。
再び先程のような、衝突が起こる。
「グッ……!」
「うっ……!」
勝負は拮抗していた。
闇魔術と光魔術の相性差のおかげか辛うじて、持ちこたえることができた。
しかし、奴の光の質量はどんどんと増していく。
これではいつかぼくが潰されてしまう。
そんな時ぼくの脳裏にあることが浮かんだ。
(待てよ。魔術を纏わせた上でスキルを使ったらどうなるのだろう?)
ぼくは魔法をスキルで強化した時のことを思い出した。
確かあの時はうまくいった。ならば今回も……!
ぼくはそう考えて、闇の魔術を纏わせてスキル【ツボ押し】を放った。
「ふん……! 魔術にスキルを使うなど血迷ったか! 私の光で押しつぶしてくれる」
彼は自信満々に、光の鎧でぼくの攻撃を受け止めようとした。
しかし、その判断は大いなる間違いであった。
なんと闇の魔術を纏ったぼくのツボ押しは、彼の光の鎧をすり抜けて直接体へとクリーンヒットした。
「ガハッ!」
「初めてだな! ぼくの【ツボ押し】をお前に食らわせるのは」
初めて受けたぼくの攻撃に、彼は一瞬怯んでしまった。
当然生じる隙にぼくは、動じずに【ツボ押し】の連撃を食らわせた。
「ギャアアアッ!」
やはりぼくの本気の攻撃を食らうと、あの強靭な肉体を持つブラックでさえ悲鳴をあげるようだ。
しかし、これはデスマッチだ。
どちらかが倒れるまで、戦いは続く。
彼には今までの侵略行為の報いをたっぷりと受けてもらう。
ぼくの一撃、一撃が当たる度に彼は悲鳴をあげる。
彼の肉体的な痛みは相当なものだろう。
しかし、彼の受ける肉体的な痛みなどレジスタンスや、スキルの世界の住民達が受けた心の痛みと比べたらどうということはない。
ぼくは彼らの怒りを攻撃力に変換し、奴に連撃を食らわせる。
それにはたまらず、あのブラックもその場に倒れ込んでしまった。
「グッ……! 私の負けだ」
「ああ、ぼくの勝ちだ!」
ぼくは激戦をせいしてブラックから勝利をもぎ取った。
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