安堵
「コバルト、それにレジスタンスの皆。落ち着いて聞いて欲しい、実はぼくのお父さんマギスト=ルアは侵略軍で呼ばれてるところの覇王らしいんだ」
「らしい……? それはどういうことだ?」
「ぼくも小さい頃の記憶しかなくて。でもお父さんは覇王と呼ばれるような人じゃない……と思ってる」
「思ってる? だと。そんな不確かなことを口に出すんじゃない!」
コバルトは予想通り声を荒げぼくを非難した。
だけれども、これはいつかは知られることであろうし知らせておかなければならいことだ。
非難は覚悟の上で、コバルトやレジスタンスのメンバーに告げた。
コバルト以外のレジスタンスのメンバーは、なんと言っていいのやらわからないようで沈黙していた。
「コバルト、どうする?」
ルビーが不安そうな声をあげ、コバルトに意見を求める。
「すまない、ちょっと考えさせてくれ。少し頭が痛い」
コバルトは頭を抱えて、今の状況に悩んでいるようであった。
ぼくだって同じ状況なら、彼と同じような状態になっていただろう。
この状況で、果たしてコバルトはどんな対応をするのだろうか。
ぼくは、唾を飲み込んで見守った。
しかしコバルトのとった行動はとても突飛なものであった。
「ハハハ」
「どうしたんだコバルト!」
コバルトは急に笑いだして、ぼくの方を見つめた。
普通の反応ではない、一体どうしたというのだろう?
「いやいやルカ。他にもう隠していることはないか?」
「いや、別にもうないけれど」
一体何が言いたいというのだろう?
ぼくはコバルトの言いたいことがよくわからず呆然としてしまった。
「いや本当になんでもいい。隠していることはもうないのか?」
「一体どうしたんだい? コバルト、何が言いたいのか一体全体わからないよ」
「いや、取り乱してすまんな。俺は、君が来てからというもの驚かされてばかりでな。だから、もうこれしきのことじゃ驚かんょ」
「それでさっきの笑い? よかったあまりの驚きでおかしくなったのかと思ったよ」
「まあ驚かなかったと言えば嘘になるがな。お前は何か特別な存在だとは思っていたけれど、ここまで変わっているとはな」
「よかった」
ぼくは一瞬またコバルトとぶつかることになるのかとビクリとしてしまったが、それは無駄な心配で終わったようだ。
周りの人達も一瞬のピリついた雰囲気から解放され、ホッとした様子だ。
ぼくは話を逆戻り、グレタとグランデが言っていた魔術を使う方法について尋ねた。
「それでなんだけれど、どうすれば魔術って使うことができるの?」
「魔術の使い方か、それはちょっと難しいかもしれないわ。ねえ、グランデ」
「ああ、ちょっと手こずりそうな気もするな、グレタ」
「それはどうして?」
「魔術を使うには特殊な魔道具が必要なんだ、ここにはそれがあるのか?」
そう言って、二人はぼく達に魔術を使うための魔道具を見せてきた。
確かにこのような特殊な魔道具はぼく達は持ち合わせていない。
しかもこれを作るためには何か特殊な素材を集めなければならないだろうし、それを使って制作をしないといけないだろう。
そんな機材はここには残念ながらない。
駄目かと思いかけた時であった。
「あの……私実はその魔道具持ってます」
「え! それは本当か? ルビー」
、彼女は信じられないことに本当にその魔道具を持っていて、ぼく達に見せてきた。
「一体どうしてこんなものを持っていたんだ?」
「皆からは止められていたんですけど、倒した魔術師が持っていた道具をちょっと拝借して」
彼女は少しハニカミながら、ぼくにそのことを伝えてきた。
とんだ悪女がいたものだ。と思いつつも彼女が大切にそれを持っていてくれたことに今は感謝した。
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