対立
ぼくが出来事の急変に対応できずに突っ立っていると、コバルトがチクリと釘を刺してきた。
「おい、ルカ。もしかしてその女魔術師達を基地に連れ帰るんじゃないだろうな?」
「一応ダメージを負っているし、抵抗する意思もなさそうだしぼくは彼女達を信用するよ」
「わかった。それなら基地に連れて帰ることはできない」
「え……」
ぼくは、せっかく二人の仲間が増えたと思った矢先に、レジスタンスと対立することになってしまった。
コバルトとしては、彼女達が裏切る可能性や仲間達をバッジにされた恨みから、どうしても手を組むことができないと考えたのだろう。
ぼくもパーティを率いる者として、同じ立場になったならコバルトと同じ判断を下すだろう。
だが、だからといってここで食い下がることを止めるぼくではない。
「コバルト! 君の考えていることや気持ちはわかる。だけれども、ここでみすみす戦力を削るような真似は……」
「わかっている! お前に言われなくてもわかっているさ! だがな……」
コバルトは、涙を流し強い感情の揺れを見せた。
ここまでコバルトが強い感情を見せたことは、短い付き合いではあるが初めてであった。
それほど苦しい決断を、彼は迫られたのである。
「わかったさ、コバルト。でもきっとぼく達はいつかわかりあえると思っている」
「……だといいな。とりあえずお前だけでも基地に戻って仲間を呼んでこい。俺はこいつらを見張っている」
「わかった」
いくら彼女達が疲弊していて、コバルトが手練れのスキル使いとはいえ一人にしておくのは不安だ。
ぼくは、そこらにあったロープを引っ張りだし彼女達を縛ることにした。
「ちょっときついかもしれないですけど、我慢してくださいね」
「ちょっとこれ、拘束プレイってやつからしら? ねえ、グレタ」
「いや、ただ単に敵に捕まってしまっただけだろ。なあ、グランデ」
彼女達を縛りあげた後ぼくは、急いで仲間を迎えに基地に戻った。
★
基地へと戻るとそこには、ぼく達の帰りが遅いのを心配していた仲間達がいた。
「ルカ! 一体どこに行ってたのよ? とってもとっても心配したんだからね」
そう言って一番にぼくを出迎えてくれたのは、シアンであった。
彼女達にはかなり心配をかけてしまったが、これから更に心配をかけることになる。
そう思うと口を開くのも辛いが、伝えるべきことは伝えなくてはならない。
「ごめん、落ち着いて聞いて欲しい。今から良い知らせと悪い知らせ両方がある」
「良い知らせの方から聞かせて!」
「まず良い知らせとしては、ぼくとコバルトは無事だ。そして仲間として女魔術師が二人加わることになった」
その報告を聞いた皆は、ガヤガヤと動揺した様子を示した。
「そして悪い報告は、シルバーとゴールドはバッジにされていた。そして、ぼく達クルセイダーズとレジスタンスは別行動をすることになった」
「え。えええ! シルバーとゴールド、彼らはレジスタンスとして生きている身ですからいつかはこうなることを覚悟していたでしょうし、しょうがありません。しかし、クルセイダーズとレジスタンスが別行動をすることになるっていうのはどういうことでしょうか?」
ぼくが助けた少女ルビーが、質問を投げかけてきた。
「さっき女魔術師が仲間に加わると話したと思う。けれど、そのことでコバルトと意見が対立してしまったんだ。それでこれ以上こじれる前に、縁を切ろうという話になった」
「ルカさんはそれでいいんですか? ルカさんは三界戦争を静めに来たと聞きましたけど、最終的にはどうしたいんですか?」
「ぼくは本来なら、三つの世界が憎んだり侵略をしたりするようなことは起きてはいけないと思っている。だから、三界戦争を終わらせて平和が戻ることを願っている」
「それは無理ですよ……」
そうポツンと一言残したルビーの顔は重く、暗かった。
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