紹介
コバルトから情報収集を終え、ぼく達は各々自己紹介をすることになった。
「色々聞かせてくれてありがとう。紹介が遅れたねぼくはルア。職業は【回復術師】であり【施術師】だよ」
「【回復術師】であり、【施術師】? お前二つも職業を持っているのか!」
コバルトは驚いた様子で、ぼくのことを見つめてきた。
それはコバルトだけでなく、ルビー達レジスタンスの皆も同じであった。
「魔法の世界では、職業を二つ持っているのが普通なのか?」
「いや、それはぼくが特殊というか、まあ【回復術師】はあんまり得意じゃないんだけどね」
ぼくは自嘲気味に言った。
【回復術師】をやって、冒険をしていた期間は楽しいものであった。
しかし、それを裏切ったやつらがいる。
それをぼくは今も許してはいない。
少し暗い雰囲気になったのを察してか、シアンが自己紹介を始めた。
「えーと、私は、シアン。職業はスキルの【聖女】」
「スキルの【聖女】か。さっきはすまなかったな、それとさっきから気になっていたんだが、そっちの髪が赤いのとそっくりなんだが、姉妹かなにかなのか?」
「マゼンタのことですか? いいえ、私に姉妹はいませんよ。ただ彼女も【聖女】です。ただし魔法のですが」
「あーちょっと待ってくれ、なんだかこんがらがりそうだ。少し整理させてくれ」
コバルトは、頭を抱えてぼく達の素性を整理し始めた。
ぼくは、二つの職業を持っている特別な存在。
そして、シアンとマゼンタはそれぞれ世界に一人しかいないはずの職業に、同時についている。
ぼくも最初にこんなことを説明されたら、混乱してもしょうがないだろう。
コバルトが整理をし終えて、一旦落ち着いたところで最後にシャロが自己紹介を始めた。
「私はシャーロット。シャロって呼んで下さいまし。職業は【魔神】、こちらの世界で言うところの【神の手】といったところでしょうか」
「おお、それは凄い。それで他に何か特別な能力とかはあるのか?」
「いいえ、ありませんわ。魔法一本勝負です」
「よかった。これ以上何か特別な能力とかあったら頭がパンクするところだったぜ」
コバルトはホッと胸を撫で下ろした。
しかし彼は知らない。彼女がぼく達のパーティの中でおそらく一番の戦力になるということを。
ぼく達が紹介を終えると、今度はコバルト達が紹介を始めた。
「俺は、コバルト。レジスタンスのリーダーを務めている。職業は【念動力者】だ」
「私ルビー、さっきは助けてくれてありがとうね。職業は【拳士】よ」
まずぼく達と関わりのある二人からレジスタンスのメンバーの紹介がはじまった。
そしてそこからサブリーダー、末端のメンバーに至るまで次々と紹介された。
一見あまり意味のない行為のように見えるが実はそうでもない。
自分の職業をバラすということは、相手に情報というアドバンテージをかなり渡すことになる。
つまりはそれを覚悟で、ぼく達にそれを伝えたということはそれだけぼく達を信頼してくれたということだ。
そして、メンバー紹介は最後にこの場にいない者の紹介へとうつった。
「最後にこの場にはいないが、補給担当のシルバーとゴールドがレジスタンスにはいる」
「リーダーちょっと疑問に思っていたんですが、二人が帰って来るの少し遅くないですか?」
「──確かに。言われてみればそうだ、いつもならばこの時間帯にはもう既に帰ってきているはずだ」
時計こそないもののレジスタンスの時間感覚は確かだ。
それによって、作戦を実行にうつしまた互いが安全かどうかを確認しているからだ。
だからその二人が、時間になっても戻ってこないというのは少しおかしい話だ。
「ちょっと様子を見に行こう。ルアついてきてくれるか?」
「勿論」
ぼく達がこの世界に降り立って初めてする仕事、それは仲間の安否確認であった。
数ある小説の中からこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます!
良ければ、ブクマと★をいれて頂ければ幸いです




