仲間
ぼくはコバルトを倒し、仲間として手を組むことになった。
「よろしくお願いするね」
「ああ、皆もこれでいいんだよな? 仲間と決めた以上なにがあっても対等に扱う。それがいいことでもあっても悪いことでもだ。いいな?」
コバルトはぼく達だけでなく、彼らの仲間達に確認をとるように言った。
正直これだけの短時間で沢山の仲間が加わることになるとは思いもよらなかった。
「そういえば、先程使ってたルカさんのスキルってもしかして──」
「え? ぼくのスキルがどうしたの?」
ルビーがぼくのスキルについて尋ねてきた。
もしかしたら、スキルの世界においてぼくのスキルは何かまずいことがあるのかもしれない。
「いえ、まさかとは思うんですが【神の手】と同じスキルだなと」
「おい、ルビー。それ以上はよせ」
コバルトが、ルビーが何か良いかけていたのを制した。
どうやら【神の手】はこの世界でも有名なようであった。
しかし何やら訳ありのようなので、ぼくは素知らぬ振りをして彼らに尋ねてみた。
「あの……、【神の手】とは何なのでしょうか? それは人の名前ですか? それとも職業名とか?」
「神の手は──いわばこの世界に伝わる伝説の人物のことだ。職業名でもあるけど、とにかく凄い人だったとは聞いている」
コバルトは、ぼくの爺ちゃんである【神の手】について語りだした。
やはり爺ちゃんはこの世界でも伝説級の人物だそうだ。
しかし、それならばこの世界で尊敬されることはあれど、何かはばかられることでもあるのだろうか?
「そんな凄い人と同じスキルだったんですね! でもどうして、皆さんはあまり名前を出したらないんですか?」
「それは【神の手】が、裏切り者だからだよ」
(爺ちゃんが裏切り者? 一体どういうことだ?)
ぼくはコバルトから語られた事実に戸惑いを覚えた。
これはどういうことなのか詳しく聞く必要がありそうだ。
ぼくは更に深掘って聞いてみることにした。
「そんな凄い人が裏切り者だなんて。もしかしてこの街もその人がそんなふうにしちゃったんですか?」
「──いいや違う。街をこんな風に変えちまったのは、侵略軍のせいだ。ただ、【神の手】はその侵略軍と通じてる可能性が高いって皆言ってるんだ」
「それはあくまで噂では? 何か根拠でもあるんですか?」
「【神の手】は、ある日突然【ゲート】から現れた魔術師と駆け落ちしたんだ。もし、【神の手】がいたらこの世界もこんなことにはなっていなかったはずだ」
「……そうなんですね。でも、それだけで【神の手】を悪者と決めつけるのは早いかと」
「やたら【神の手】の肩を持つな。一体どうした?」
「いえ、同じスキルを使っている者同士少し親近感を覚えて」
ぼくは、そう言ってうまく誤魔化したつもりであったが、彼らはぼくのことをなにやら疑いの目で見ている。
ぼくが【神の手】の孫であることがバレてしまったら、おそらくは彼らと仲間でいられなくなるだろう。
珍しくぼくは、爺ちゃんの孫であることを恨めしく思った。
しかし、彼らの話を聞く限りやはり爺ちゃんの話していた内容と一致している。
ぼくの爺ちゃんが、この世界でも【神の手】と言われていることはたしかであろう。
そして、この世界では爺ちゃんの孫であることがバレてはいけないことも確かそうだ。
爺ちゃんが、魔術師の内通者で世界を救うはずの英雄が敵前逃亡したと思われているからだ。
せっかくレジスタンスとの皆と打ち解けあえたと思ったのっだが、またこんな腹の探り合いをしないといけなくなるとは。
ぼくは、この世界で生きていくことの難しさを実感した。
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