念力
ぼくは、これから戦う男に名前を尋ねた。
「最初に聞いておく、なんて名前なんだ? ぼくはルア」
「……コバルトだ。だが、貴様と馴れ合うつもりはない」
コバルトと名乗る男は、更にぼくを睨みつける眼光を強くした。
このコバルトという男が、どんな戦い方をするのかはわからなかった。
しかし、数十人規模のレジスタンスを率いるリーダーであり、強敵である侵略軍を退け続けた男だ。
相当な手練なように思える。
ぼくは油断せずに、挑むこととした。
といってもぼくに出来ることは二つしかない。
スキル【施術】を頼りに、突っ込んでいって相手を倒すこと。
もしくは、魔法【回復】などを絡めて長期戦を狙うことだ。
だが、体力や魔力の消耗を考えると、長期戦はあまり賢くない。
ならば短期決戦をしかけるまでだ!
ぼくは、スキル【施術】を使うためコバルトの懐へと突っ込んでいった。
しかし、このコバルトという男はぼくが動いたのを察知すると手を前に掲げて何やらスキルを使い始めた。
この男、スキル使いでありながら遠距離攻撃ができるのか!
ぼくはまずそのことに驚いたが、次の瞬間更に驚く展開が待ち受けていた。
ぼくはコバルトという男の懐に向かって、突っ込んでいっているはずなのに体が動かない。
(どういうことだ? わけがわからない!)
困惑するぼくに、コバルトという男は声をかけてきた。
「つくづく間抜けだな。足元を見てみろ、そこがお留守だ」
「な!」
ぼくが、足元に目を向けるとなんとぼくは宙を浮いていた。
この男どうやらスキル【念動力】の持ち主のようだ。
「大丈夫? ルカ!」
「大丈夫! とにかく皆は手を出さないで! ここは一対一の真剣勝負だから」
そう言って助太刀しようとする皆をぼくは制した。
直接攻撃ができないのならば、こちらがやることも同じだ。
「くらえ!【気功】」
「なにっ! グッ」
ぼくがスキル【気功】を放つと、コバルトという男は跳ね飛ばされた。
そのことにより、【念動力】の力が弱まりぼくは着地することができた。
そしてそのままの勢いで、ぼくはコバルト目掛けて突き進んだ!
「くらえ! 【ツボ押し】」
「なに!」
ぼくは彼の懐に潜り込むことへ成功した。
そしてそのまま、彼の上半身のいくつかに【ツボ押し】を叩き込んだ!
「ぐわっ」
そう言って、彼は低く声をあげてその場に倒れ込んだ。
「リーダー!」
レジスタンスの者たちは、コバルトを助けようとした、しかし──
「やめろ! これは一対一の真剣勝負だ! 手出し無用、それにもう勝負はついた」
そう言って彼は、ゆっくりと立ち上がりながらいった。
「お前、なぜ手加減をした? ここが戦場だったらそんな情けは命を捨てることになるぞ」
「ここは戦場じゃない。言っただろ? ぼく達は対等な立場で話し合いをしに来たって」
「……わかった。お前達の話少しだけ聞いてやろう」
そう言ってコバルトは、戦うのをやめぼくの話を聞いてくれることになった。
「さっきも言った通りぼく達は、魔法の世界からやってきたクルセイダーズ。侵略者である魔術の世界との戦争を止めるためにやってきた」
「……そんな少人数でか? 個々の実力が高いことは認めるが、魔法の世界も人手不足なのか?」
「実は、魔法の世界も魔族と人間との戦いで人手不足なんだ。だから、スキルの世界にやって来て、共闘する話を持ちかけにきたんだ」
「……なるほどな。一応の話の筋は通っている、皆この者達と手を組むことに賛成のやつらは手をあげろ」
コバルトがそう言うと、一つ二つとまばらながら手があがった。
その数はだんだんと増えていき、過半数がぼく達を受け入れると認めてくれた。
「……なるほどな、いいだろう。お前達いや君達と手を組むことにしよう」
そう言ってコバルトは、ぼく達と手を組むことに賛成した。
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