基地
ぼく達は怪我をしていた少女に連れられ、レジスタンスの基地へと向かった。
レジスタンスの基地へ向かう中、ぼくの心情は複雑だった。
もしかすると、ぼくのお父さんが侵略軍のトップであるかもしれないこと。
そして、一体なんのために人をバッジに変えているのか? それがわからなかった。
(たまたま名前が同じだけで、ぼくのお父さんが侵略軍のトップなわけないよな)
ぼくは、小さい頃にいなくなってしまった父さんとおn記憶を思い出しながら、考えていた。
小さい頃のぼくとお父さんとの記憶。
父さんは、【神の手】の息子でありながら【回復】魔法が使えないことにずっと悩んでいた。
しかし、今考えればそれは当然のことかもしれない。
爺ちゃんはスキルの世界の血族、婆ちゃんは魔術の世界の血族だからだ。
つまり魔法の世界の血族が入っていないため、魔法である【回復】は使えなくてもしょうがない。
爺ちゃんも、国王陛下を救った英雄という建前。
そして、三界が存在するという事実を隠すためにあくまで【神の手】は【回復術師】の最高職だと言い続けていたのだろう。
そのせいで父さんは、魔法を使えないという魔法の世界においては不名誉な立場であり続けた。
もしかしたらそのことが、父さんを歪ませてしまったのか?
──いや。それは断じて違うはず。ぼくのお父さんはいつもお母さんと一緒に笑っていた。
そうお母さんといつも一緒に。だけれども、お母さんは死んでしまった。
それと同時期にお父さんもいなくなってしまった。
もしかしたらそれが何か関係あるのだろうか?
そんなことを考えていながら、ぼくは足を進めた。
「つきました」
そう言って少女が指差したのは、古びた教会の地下室への入り口であった。
ぼく達は少女に言われるがまま、中へと入っていった。
中には、レジスタンスの男女が数十人いた。
「……ルビー、そいつらは誰だ?」
「えと、私を助けてくれた人達です」
リーダー格と思われる男が、ぼく達を睨みつけてきた。
「本当にそいつらは味方か? 秘密基地を探るためにわざとお前を助けたんじゃないのか?」
どうやらぼく達は敵だと思われているらしい。
それに対してシアンが、猛烈に反論した。
「なんて失礼な! 私達魔法の世界kから、あなた達と共闘するためにやってきたクルセイダーズですよ!」
「クルセイダーズだと? にわかには信じられんな」
レジスタンスのリーダー格と思われる男の顔は、酷くこわばっており僕たちを睨み続けて離さなかった。
──これでは、話し合いにならない。ならば、取引するための切り札をこちらも切ろう。
「あなた達もご存知の通り、侵略軍が狙っているものは【聖女】と【勇者】です。そして、この子はスキルの【聖女】なんです」
「なにぃっ!?」
その言葉を聞いて、リーダー格の男は低い声を響かせた。
どうやら取引の材料として、効果覿面なように一時は見えた。
「ならば余計にお前たちには出ていってもらわなければならないな」
そう言って男は、グローブのようなものをはめてぼく達を威圧した。
「なぜだ! ぼく達は君達と対等な立場で話し合いに来た。それなのに──」
「黙れ。その女を差し出せば、俺たちの世界への侵略も収まるはずだ。俺とて、このレジスタンスのリーダーだ。仲間を守るためには、手段は選ばん。そいつ一人をさっさと引き渡して侵略行為をやめて貰う。それが、俺のやるべきことだ」
「それはできない! ぼくだってシアンは、仲間だ。君と同じように仲間を売ることなんて絶対しない」
正直言ってぼく達がここで争う意味は何ひとつとしてない。
侵略軍を喜ばせるだけだ。
しかし、こちらの主張を通すためにもぼくは戦うこととなった。
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