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覇王

 ぼくが、魔術を使う青年兵士に苦戦する中、後ろから助太刀をする者が現れた。


「ルカ様、ここは私が助太刀いたしますわ」


 そう名乗り出たのは、魔法の世界では【魔神】と言われる程莫大な力を宿したシャロであった。


「はん、まーた俺たちの餌食が一人増えたか」

「ああ、これだけの数献上できれば昇進確定だ!」


 そう言った直後であった、青年兵達が急に地面に突っ伏したのは。


 シャロの魔法【フレイムギア】が、彼らの魔術【コールドバリア】を貫通し攻撃が通ったのだ。


「そ、そんな……馬鹿な!」

「や、やりました! 大人ですら倒すのに苦労する兵士達を一瞬で」


 青年兵達を倒したことに喜ぶ、さっきまで怪我を負っていた少女。


「ありがとう、シャロ。助かったよ。でもこれ以上は痛みつけ泣けないであげて、ちょっと彼らに聞きたいことがある」

「わかりましたわ」


 ぼくは、青年兵達をロープで縛りあげると尋問を始めた。


「さあ、話して貰おうか。なぜ【聖女】や【勇者】を狙っているのか。ここで何をしているのか」


 ぼくは、青年兵達に尋ねるが口を割ろうとしない。


 これではらちが明かない。ぼくは、魔法【洗脳】を使って彼らに無理やり話をさせることにした。


「もう一度尋ねる、なぜ【聖女】や【勇者】を狙っているのんだ」

「は、はい。実は私達でもなぜ【聖女】や【勇者】を狙っているのかは聞かされていません。ただ覇王様が、連れてこいと命じたからそうしているまでです」


 魔法【洗脳】を食らった彼らは、嘘をつくことができない。よって、彼らが話していることはおそらく本当であろう。


 ただ彼らの話に出てきた覇王とは言った何者なのだろう?


 とりあえず覇王が誰なのかは置いておいて、ここで何をやっているのかを尋ねてみた。


「お前達は一体ここで何をしているんだ?」

「はい、俺たちは、覇王様の偉大な目的のために人々をこのようにバッジに変えています」


 そう言って彼らは、服の中から物凄いの数のバッジを取り出した。


「馬鹿な! 人間をバッジに変えるだって! そんなことをして何になる?」

「何になると言われましても……。ただ俺あちは、このバッジの個数をいくら集めたかを競って、それで昇進できるかを競っています」


 なんていうことだ。人をバッジに変えて、その数で昇進を競っているだなんて。


 到底人として許される行為ではない。


「なぜお前達はスキルの世界を攻めたんだ! 理由を聞かせろ」

「それは魔術が、スキルに圧倒的に有利だからです。逆に魔術は、魔法に不利でスキルは、魔法に有利です。だから、優秀なスキル使いは捕らえて魔法の国征服の兵士へと教育します。

そしてその準備は着々と整いつつあります」


 彼らがいうには、魔法と魔術とスキルはじゃんけんのような仕組みになっているようだ。


 だから魔術の世界の人間は、まず圧倒的に有利なスキルの世界を攻めたのだ。


 自分達よりも弱い立場の人間を踏みつけて、バッジに変えてハンティングゲームをするとはなんと非道な。


 ぼく達は怒りで震えてきた。


「最後に聞く、お前達の言う覇王とは一体誰なんだ? 名前を言え!」

「マギスト=ルアです」


 マギスト=ルア……? ぼくはその聞き覚えのある名前を聞いて驚いた。


 マギスト=ルアとは、ぼくが生まれた直後に失踪したぼくの父親の名前であったからだ!


 そして覇王と呼ばれる、マギスト=ルアの名前を言った直後青年達の体が光りだした。


「な、なんだこれは!」


 ぼくは突然の展開に呆気にとられてしまった。


 そして次の瞬間には、彼らの姿はもうそこにはなかった。


「どういうことなんだ……?」

「おそらく彼らは、元の世界へと強制送還されたんだと思います」


 怪我を負っていた少女が答えた。


 彼らは、負けた者や軍律違反を犯した者などは元の世界へと強制送還されるらしい。


 今回はおそらく、覇王の名前を口にしたことから軍律違反に引っかかってしまったのだろう。


 まさか父さんが、ぼく達の敵かもしれないとは。


 ぼくは、嘘であってほしいと願うばかりであった。

数ある小説の中からこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます!


良ければ、ブクマと★をいれて頂ければ幸いです

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