戦争
「ゆっくりでいい、ここで何があったのか教えてくれるかい?」
「わかりました、この世界は元々争いごとも少なく平和な世界でした。つい十五年程前までは」
「十五年前までは? その時に何があったんだ?」
「十五年前、彼らは【ゲート】から一方的にこちらの世界を攻めてきたんです。平和な世界で暮らしていた私達に抗う術はなくほとんどの人が、その……」
そう言いかけた時少女は、泣き崩れてしまった。
おそらくは殺されたか、奴隷にされたかのどちらかだろう。
どの道、そんな奴らにぼく達は負けるわけにはいかない。
「わかった、ありがとう。それ以上は言わなくてもいい。ちなみにだけど、その【ゲート】から攻めてきた敵っていうのは、魔術を使っていなかったかい?」
「あれは魔術というのですか? とにかく私達の世界では見られない特別な技を使っていました。それと、彼らはこうも言ってました。【聖女】と【勇者】を引き渡せと」
(やっぱり、狙いは【聖女】と【勇者】か。しかし一体なぜ……)
【聖女】と【勇者】を攫うことで奴らなに何の得があるというのだろう。
ただ、幸運なことにスキルの世界の【聖女】であるシアンはぼく達の手元にいる。
シアンだけは絶対に守られなければ。それが奴らの野望を打ち砕くことにも繋がる。
「色々話してくれてありがとう。信じられないかもしれないけど、ぼく達は魔法の世界からやってきたクルセイダーズだ。魔術、魔法、スキルこの三つの世界間での戦争を治めに来た」
「魔法の世界? クルセイダーズ?」
少女は、聞き慣れない単語に困惑顔を浮かべていた。
そんな時ぼく達に近寄ってくる不審な足音が聞こえた。
その足音を聞いて、酷く怯える少女。
足音は、ぼく達へとどんどんと近寄ってきた。
「どうします?」
「とりあえずは、息を潜めてやり過ごそう」
相手がよくわからないうちに戦うのは、あまり得策ではない。
ぼく達は息を潜めて、その足音が立ち去るのを待った。
今、潜んでいる場所はちょうど隠れるのには都合のよい場所だ。
足音を立てていた者達も、ぼく達に気がつかずにスルーしようとしていた時であった。
「うぐっ……うっ」
突然少女が、呻き声をあげだした。
彼女は、まずいと思い口を塞いだがもう遅かった。
「おいおい、今日はついてるぜ。ハンティング対象を見つけることができたぞ」
「ああ、しかも弱っているように見える。分前は半々でいいな?」
「ああ」
足音を立てていた者達は、やはり敵であった。
しかも、この世界の人のことをまるでハンティングゲームの獲物のように考えている。
これは、ぼく達も許せずに戦うことにした。
「ぼく達は、ハンティングゲームの獲物じゃない。今日狩られるのはお前達の方だ!」
「なんだぁ? このクソガキは」
「さあ、知らねえ。でも、向こうから狩られに来てくれるってんならますますついてるってわけよ」
「そうだな」
そんな邪悪な会話を交わしているのは、ちょうどぼく達と同じぐらいの歳の青年たちであった。
まさかこの青年達が、侵略の兵士として狩り出されているとは……。
こいつらの親玉は相当な悪だ。絶対に許すわけにはいかない。
「話していても無駄なようだね。悪いがすぐに片付けさせてもらうくらえ!スキル【ツボ押し】」
「へん。やっぱスキルの世界の住人はいいカモだな。くらえ魔術【コールドバリア】」
兵士の青年がそう唱えると、冷気を纏った壁が展開されぼくの攻撃を防いだ。
馬鹿な! この攻撃は、あの魔王すら倒すことができた攻撃なのに。
たかが一兵士が、ぼく達の世界でいう魔王かそれに匹敵する存在なのか?
ぼくはその実力の差に驚いてしまった。
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