異界
「ふう、スキルの世界に辿り着いたね。みんなちゃんと無事かな?」
ぼくは、点呼をとって確認した。シアン、マゼンタ、シャロ全員揃っていた。
「あれ? でもどうして魔法がきかないはずのシアンに【門】はきいたんだろ?」
「うーん詳しい理屈を説明すると長くなるので割愛しますが、【門】は対象の人物ではなく空間ごと移動させるからだと思いますわ」
「そうなのか」
小難しいことはよくわからなかったが、なんとかぼく達は世界を移動することができた。
そして、スキルの世界をよーく見渡して絶句した。
街らしきものがなく、そこらには瓦礫の山が積み上がっていたのである。
「なんだこれ……」
「酷い」
どうやらスキルの世界は、もう既に魔術の世界によって滅亡の危機が迫っていたのだった。
周りに人がいないかを探し回ってみるが、おかしい程に人影がない。
「クソッ……! 遅かったか!」
ぼくは廃墟と化してしまった街に、絶望感でいっぱいになっていた。
もうちょっと到着が早ければ、もしかしたら──
悔やんでもしょうがないことだが、ぼくは後悔を覚えた。
「ルカ様、落ち込む気持ちはわかりますが、ここは切り替えていきましょう」
「わかってる。わかってるけど……」
ぼくはやるせない気持ちを抑えきれなかった。
──しかし、ここは冷静にならなければ。ぼくは深呼吸をした。
「スーハースーハー、ん?」
「ルカ、どうかしました?」
「今どこかで呻き声が聞こえた気がするんだ」
「それは本当? なら行ってみましょう!」
ぼく達は、呻き声が聞こえた場所へとやって来た。
するとそこには、瓦礫の陰に隠れ重症を負った少女が倒れていた。
「マゼンタ、はやく【回復】をお願い!」
「オッケー、【回復】」
マゼンタが魔法【回復】を唱えると、少女の傷はみるみると塞がっていった。
「クッ……グッ……フゥ……フゥ」
しかし傷が治っても尚少女は苦しそうだ。
この呼吸が荒くなる症状どこかで見たことがある!
そうだ、これはシアンが受けた呪いとどこか似ている。
ならば、ぼくがスキル【施術】を行えば、治るかもしれない。
そう考えたぼくは、少女を横に寝かせた。
ぼくは、魔力の流れを見て彼女のどこに呪いがかかっているのかを探るが、見当たらない。
(どういうことだ……? もしかしてシアンの時とは違うのか?)
ぼくは必死になって彼女の体を触診して、呪いの箇所を探るが全く見当たらない。
万事休すか。そう思っていた時、上半身で一箇所だけ探っていないところを見つけた。
それは腋だ。腋だけは、どうしても遠慮してしまって探れていない。
「ハァ……ハァ……」
どうやら猶予はないようだ。
「すみませんね……」
ぼくは詫びを入れながら、彼女の腋の下を探った。
すると、黒い色の痣とともに魔力の滞りを見つけた。
ぼくは彼女の腋の下目掛けて【施術】を行った。
「ん!? んぐ……ん、はぁ」
彼女の腋は、呪いを受けていながらも尚色気を帯びていた。
微かな臭気は、少女が女性であることを主張していた。
「んーー、ちょっとこの娘の腋の下臭わない?」
「ちょっとマゼンタ! この娘に失礼だよ」
まったく、【洗脳】をくらったマゼンタは遠慮や配慮というものが欠けてしまっている。
いやかけたのはぼくなんだけれども。
ともかく彼女の腋は少しではあったが、女性の匂いを感じた。
しかし、それは生きているという証拠でもある。
ぼくはそのことに希望を感じながら、【施術】を続けた。
「ん……んっ……うん」
腋という敏感な部位を【施術】している都合上、ぼくは優しく撫でるように力を加えた。
彼女はそれに反応し、甘い吐息を吐き出す。
「よし……これで一応【施術】は完了だけれど」
ぼくは一通りの【施術】を終え、少女の顔色を見た。
「ふぅ……」
彼女は、すっかりととろけた顔をしていた。どうやら【施術】は成功のようだ!
その後彼女から、ここであったことが語られた。
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