三界
魔王を倒したことで、魔王城は一気に崩壊を始めた。
ぼく達は急いで、階段を上げ降りるがどうやら間に合いそうにない。
そこでぼく達は賭けに出た。
「皆! 窓から飛び降りよう。そうすればあるいは──」
ぼくはそういったそばから、自分から飛び降りてみせた。
ぼくが飛びりたことで、皆も恐怖心が薄らいだのか窓から飛び降りた。
結果その賭けは成功した。場外で待機していた【ドラゴン】がぼく達を背中に乗せてくれたのだ。
「よし! とりあえずは、無事みたいだね」
「そうね……それに魔王も倒したけれど……」
「えー、魔王を倒したんならいいじゃない」
マゼンタが空気を読まずに発言する。
それにより、少し空気が重たくなった。
ぼく達は無言を貫き通したまま、国王陛下にこのことを報告すべく城へと降り立った。
「おお、ルカ殿。【ドラゴン】を引き連れてのご帰還とは、凄まじい功績のあげっぷりですな」
「陛下、実は良い出来事と悪い出来事が一つずつあるのです」
「ほう、良い出来事の方から話してくれ」
「分かりました。良い出来事の方は、魔王を倒すことに成功しました」
「なんと! ルカ殿は、人間領を救った英雄じゃ。盛大にお祝いせねば」
ぼくのいい方の報告を聞いた、陛下はたいそう喜ばれた。
しかし、ぼくはどうもモヤモヤした気分でいっぱいだった。
「……そして悪い方の報告なのですが、【勇者】アベルとカインを連れ去られました」
「連れ去られた? 一体どこに?」
「それはわかりません。ただ魔王曰く、別の世界がどうとか……」
「別の世界、か。そろそろ隠すのも無理が出てきたようじゃな」
「どういうことでしょうか?」
陛下は意味深げな表情を浮かべ、大して驚いた様子はなかった。
そんな時、待っていたとばかりに爺ちゃんが、謁見にやって来た。
「陛下、その件に関しては私が話した方が早いと思いますわい」
「おお、【神の手】。是非ルカ殿に説明を頼みます」
「いいかルカ? 落ち着いて聞くのじゃぞ。ワシが確認しただけでも、世界は三つ存在しておる! そしてそれぞれの世界に【勇者】と呼ばれる者と【聖女】と呼ばれる者が一人ずついるとの伝承があるのじゃ」
「え……? ええ!」
ぼくは、いきなり語られる真実に頭が追いつかずもうフラフラだった。
「やっぱり混乱してるようじゃな……、だが話は続ける。そしてワシは気づいての通りスキルというこの世界には存在しないものを使える。それはなぜか?ワシはスキルの世界からやって来た異世界人じゃからじゃよ」
「えええええ! どうしてそんな大事なことを言ってくれなかったのさ」
「それはじゃな、もしかしたら三界を巻き込む三界戦争に発展する可能性があったからじゃ、ですな陛下?」
「いかにも。しかしもう既に魔術かスキルのうち、どちらかが魔王と繋がって侵略の尖兵としていたとは……」
ぼくは次々と明かされる衝撃の真実に、頭が追いつかなかった。
三界戦争? 魔術やスキルのうちどちらかが敵? 魔王は侵略の尖兵に過ぎない?
「爺ちゃんもうぼくには何がなんだか……」
「まあ置いてけぼりになるのもしょうがないかもしれんな。とにかくルカ、大手柄をあげたことには間違いない。魔王を倒したことにより、スキルか魔術どちらかの世界の侵略を未然に
防ぐことができたのじゃからな!」
「でも、ぼくのせいで【勇者】を二人も奪われちゃった……」
「ルカ! 男なら過ぎたことはクヨクヨと悔やむな! 奪われたら奪い返す。ただそれだけじゃ」
「分かったよ、爺ちゃん。それでどちらの世界が、何のために侵略を仕掛けているの?」
「そうじゃの……ワシが睨んでいるにおそらくは魔術の世界が、侵略を仕掛けているように思える。そして、侵略の目的は【勇者】と【聖女】にあるはずじゃ」
そうだ。奪われた仲間は奪い返すまでだ! アベルを奪い、しかも侵略の手先になったカインは絶対に許すことのできない敵となった。
ぼくの復讐は、まだまだ続く。
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