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魔王

 ぼくは今までの恨みをぶつけるため、百発程度はカインのことを殴った。


「ゲホッ! ゴホッ! クソォッ……! ルカのくせに」


 カインは、まだ負けを認めずに虫のように這って逃げようとしていた。


 その時であった。


 渦のようなものが現れ、そこから禍々しいオーラを纏った人物が飛び出てきた。


「ま、魔王様! すみません。ルカを倒すことができませんでした」

「大丈夫だ。お前は【勇者】を倒すことができた、あの御方のご子息は私自身が倒す」


(こいつが、魔王なのか! しかし話に出ていたあの御方のご子息とは一体どういうことだ……?)


 ぼくは、会話の内容について行くことができなかったがやることはただ一つ。


「魔王! 悪であるお前を今から討ち滅ぼす!」

「ルカよ、私の行っていることは決して悪ではない。むしろこの世界を、守るために必要なことなのだ」

「【勇者】を騙して、自分の味方につけることのどこが正義なんだ! どう見ても侵略行為じゃないか」

「分からんようだな。この世界は、別の世界に狙われていることを。それに対抗するには、【勇者】と【聖女】が必要なのだ」

「【勇者】と【聖女】が必要……? やはりぼくの仲間を奪う気か!」

「これ以上話しあっても無駄なようだな。いざ尋常に戦ってどちらが正しいか示そうではないか」


 望むところだ! ぼくは、強さSSSランクである魔王に戦いを挑むことになった。


 魔王……、一体どんな攻撃を仕掛けてくるのだろうか。


 想像もつかなかったが、ぼくは今更ながに怯えが出てきた。


(うっ……ガタガタ震える、なんでだ。止まれ、ぼくの震え)


 ぼくだけじゃない、周りの皆も震えていることに気がついた。


 もしかしてこれは、怯えから来るものではなく、冷気からくるものなのかもしれない。


 それに気がついたぼくは、声をあげた。


「皆! その場にいちゃ駄目だ。 冷気で脚を氷漬けにされるぞ!」

「なに!」


 皆は一斉に声をあげて、脚を振り上げて身体を動かした。


「あぶねえ! もうちょっとで氷漬けにされるところだった」


 マゼンタに【回復】してもらい、動けるようになったアベルが一言漏らした。


「全く、油断も隙もない卑怯な奴だ」


 ぼくはそんな感想を述べながらも、一つの勝機を見つけていた。


 それは、スキルと魔法の相性による差である。


 魔法は、スキルと違ってリキャストタイムというものがある。


 つまり連打することができないのだ。


 それに比べてスキルは、連打することが可能。


 魔法のように、広範囲かつ遠距離に攻撃はできないが、タイマンなら圧倒的に有利だ。


 相手が魔王と言えど、使ってくる攻撃が魔法だけならスキルを使えるぼくに勝ち目がある。


 そう感じてぼくは、魔王の懐に突っ込んでいった。


「ほう、中々無謀な賭けに出てくるではないか」

「無謀じゃない! 勇気だっ!」


 ぼくは、魔王の懐に入ると【ツボ押し】の連撃を魔王に浴びせた。


「クッ」


 さすがの魔王といえど、攻撃が通っているみたいだ。


 ──これならば倒せる。そう思っていた時であった。


(あれ……? 腕の感覚が鈍いぞ)


 本能的にまずいと感じたぼくは、魔王から離れた。


 そして、魔王の恐ろしさに震えた。


 なんと腕が氷漬けにされていたのだ!


「なんて奴だ……直接触れると、こんな風に返り討ちにあってしまうなんて」

「お前が、スキルを使えるということは知っているからな。当然このように対策はする。素直に降参するならば、命は助けてやるぞ」

「誰が降参なんてするか!」


 ぼくは、魔王の提案を断った。


 それと同時に、マゼンタに【回復】を唱えてもらい凍った腕を回復させてもらった。


 それと同時にぼくの中の闘志も燃え上がった。


(仲間を奪おうとする奴は絶対に許さない……! こいつはぼくが倒す!)


 しかし、どうやって奴に接触せず倒そうか。


 ぼくの前に魔王は高く立ちふさがる。

数ある小説の中からこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます!



良ければ、ブクマと★をいれて頂ければ幸いです


今日は、もう一話投稿予定なのでそちらもご覧いただけると幸いです。

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