痣者
「くらえ! 【デーモンスラッシュ】」
アベルが、魔族に弱点属性である【デーモンスラッシュ】をゴブリン達に放つ。
それによりゴブリン達は、一掃され道が開けた。
「急ぎましょう。また奴らが沸いてくるまでに」
「わかった!」
ぼく達は、魔王城の武器庫目掛けて沸いてくる雑魚を倒しながら進んでいた。
なぜ武器庫に向かっているかというと、彼らの着ている鎧を奪うことで仲間だと誤解させるためだ。
そのためにぼく達は、何度も戦闘を繰り返してようやく武器庫へと辿り着いた。
武器庫につくと、ぼく達は急いで鎧を着込んで魔王城の上層階を目指した。
おそらくこの最上階、そこに魔王とカインがいるはずだ。
ぼく達は、階段を急いで登った。
鎧の偽装のおかげか、途中で魔族に出くわしても怪しい顔こそされるも攻撃されることはなくなった。
「効果てきめんですね」
「そうだね、でも安心しちゃだめ。次は十九階だ、見たところこの城は二十階建てだからそろそろなにか着ても……」
ぼくがそう言いながら、十九階目の扉を開けた時だった。
悪い予感が的中した。
「よう、ルカ。久しぶりだな」
カインがそこには立っていた。
「カイン! なんで【勇者】をかたる真似をした! そのせいで君は、指名手配されたんだぞ」
「おいおい人聞きが悪いことを言うなよ。俺はれっきとした【勇者】だぜ? ほら見ろよ」
そう言ってカインは、【勇者】の証である龍の痣をぼく達に見せてきた。
「それ入れ墨かなにかだろ? それ以上嘘をつくのはよせ!」
「お前も人を信じないやつだなあ。本当に俺は勇者なんだぜ?」
そう言ってカインは、ケラケラと笑い声をあげる。
彼の言っていることは嘘に違いない。
なぜなら【勇者】は、代々受け継がれる仕組みで前の【勇者】が死ぬまで、次の【勇者】が現れない仕組みだ。
世界に二人【勇者】がいることは通常ありえないのだ。
──それに、カインは魔法が使えないのだ。
【勇者】は莫大な魔力を持った、アベルのような特別な存在のはずである。
そう考えると、カインこそ偽物の勇者に違いないのだ。
「ルカ様、私この者の言い分に腹が立ちました! ここは私に相手させてください」
「わかった。でも気をつけて、カインは性格こそあれだけど強いから……」
ぼくが後ろに下がると、カインは挑発してきた。
「おいおい、俺はルカに用事があるんだぜ? 雑魚は下がってろよ!」
「黙れ! 【セイントスラッシュ】」
【セイントスラッシュ】は、アベルが一番得意とする魔法だ。
これをくらえば、流石のカインもタダでは済まないはずだが──。
「へん! スットロイな! スキル【回避】」
「なに!」
ぼく達は、カインがスキルを使ったことに驚いた。
スキルは、ぼくの知る限り爺ちゃんとぼくそしてシアンしか使えないはずだ。
それがどうしてカインがスキルを使えるのか?
わけがわからず混乱した。
「どうした? 俺がスキルを使えることに驚いたか? 俺はな、スキルの【勇者】だったんだよ!」
「お前がスキルの【勇者】……?」
「そうさ、そしてお前は魔法の【勇者】だよ、そしてもう一人魔術の【勇者】がいる。とりあえず魔法の【勇者】、お前だけでも倒せれば魔王様は喜んでいただける」
「クソッ! なんで同じ【勇者】なのに戦う必要があるんだ。一緒に魔王を討伐すればいいだろ!」
「黙れ! これ以上無駄口を叩くな、くらえ【ファイアパンチ】」
カインはアベルに向かって灼熱の拳を放った。
急な攻撃を受け、思わず回避が遅れるアベル。
「ゲホッ! ゴホッ! ゴホッ!」
攻撃をモロに受けてしまい、焦げ臭いが周囲に充満した。
「へん、所詮魔法の【勇者】なんてこんな程度のもんだぜ。さあ雑魚は片付けた、来いよルカ」
「分かった、これ以上仲間を傷つけるやつは許さない」
ぼくはアベルの仇討ちと復讐のためたちあがった。
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