騎乗
ぼく達は、魔族領を進む前に隠れることのできる場所へと身を潜めた。
これからの方針と、アベルの魔力を回復させるためだ。
幸いこの魔族領では、魔力が満ち溢れているためすぐ魔力が回復する。
問題は、次どういう風に行動するかだ。
「皆、さっきの戦闘で傷ついてなーい?」
「大丈夫だよ、マゼンタ。それよりもシアンまでが【聖女】だったなんて」
「えへへ、なんかそうみたいだね」
「それと、【ドラゴンライダー】達が言っていた魔王から受けた命令って一体……?」
「さあ、私にはわかりません。ただ、向こうがその気なら我々も真っ向から戦う。それまでです」
ぼく達は、カインを倒すついでに魔王までとやりあうこととなってしまった。
だけれども、魔王城に行くには徒歩ではあまりに敵と遭遇しすぎるし、距離も遠い。
何か騎乗できるモンスターがいればいいのだけれど……。
そう考えてぼく達があたりを見渡した。
すると、ちょうど【ドラゴンライダー】の乗っていた【ドラゴン】が辛うじて生きていた。
「マゼンタ、この【ドラゴン】を回復させて手懐ければ魔王城まで一直線だよ」
「わかったは、私の出番ね!【回復】」
マゼンタが【回復】を唱えると、【ドラゴン】達はみるみる元気を取り戻した。
「グオッー!」
ドラゴン達は、鳴き声をあげまるで「乗れ」と言っているかのようだ。
「これ乗っても大丈夫なんだよね……?」
「たぶん? いや、ここは乗るしかないだろ!」
そう言ってアベルは、乗ることに賛成した。
「シアンとマゼンタは?」
「私は、ご主人様についていきます」
「私もルカが行くなら私もそれでいい」
よし。これで、ぼく達がやるべき事は決まった【ドラゴン】へと騎乗し一直線に魔王城へと行くことにしよう。
ぼく達は、【ドラゴン】へと跨ると彼らは魔王城へ向かって羽ばたきだした。
魔王領の地上には、魔物がウヨウヨと沸いているが空中は快適そのものであった。
「この調子なら、すぐ魔王城に辿り着けそうだな!」
「ちょっと、不穏なこと言わないでよ」
こういううまくいっている時にこそ、災難は降り掛かってくる。
──そして噂をすれば、敵が向こうからやって来た。
敵は、【ドラゴンウォーリアー】だった。
戦闘力は、【ドラゴンライダー】と大して変わらないが、一つだけ違うところがある。
それは知能が、【ドラゴンライダー】と比べて物凄く低いこと。つまりは馬鹿なのだ。
「おお、その特別な【ドラゴン】に跨ってらっしゃるということは、【ドラゴンライダー】殿ですな。任務ご苦労様です」
「やあ、【ドラゴンライダー】。君も任務頑張ってくれ」
「わかりました。ん? でもどうして【ドラゴンライダー】にそれぞれ片方ずつに女性も跨っているのですかな?」
ぼく達はギクリとした。いくら馬鹿な【ドラゴンウォーリアー】といえど不審な点はいくつもある。
「それは、私達新人【ドラゴンライダー】が先輩たちに騎乗の方法を教えてもらっているからです」
「おお、そうでしたか。なるほどなるほど」
(よかった……。この【ドラゴンウォーリアー】想像以上に馬鹿だ)
「それじゃあ、ぼく達はこれで」
「達者で! それでは私もこれで」
ぼく達は、シアンの機転によりなんとか戦闘をかわすことができた。
そして、あの【ドラゴンウォーリアー】と遭遇した後はとくに危険な目にあわず魔王城に辿り着くことができた。
魔王城へと辿り着くと、【ドラゴン】から降りて彼らをここへ待機させることにした。
帰り道に彼らがいないと、不安だからだ。
「ちゃんと、ここで待っているんだぞ?」
「グオー!」
【ドラゴン】達は低く、吠えた。わかったと言っているつもりなのだろう。
ぼく達は魔王城へと侵入した。
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