再会
ぼく達は、カインを追いかけるためこの街を去ることにした。
男の娘とお別れすることになった、アベルは別れ惜しそうだ。
「なあ、アベル。そろそろ元気取り戻せよ」
「いや……しかし」
アベルは涙を流して、駄々をこねはじめた。
「しかしですね……私からすればあの人が初恋だったんですよ」
「でも決して叶わない恋だったんだろ? 諦めなよ」
「もう頭の中では諦めてはいるんですが、心の整理がまだ……」
こじれた男心というものは案外めんどくさい。
こういった時は、大人ならばお酒を飲んでストレスを発散すると聞く。
ただぼくはお酒を飲めないので、どうしようもない。
しかし、彼は【勇者】だ。我慢してここを旅立ってもらうしかない。
「カイン、使命を全うできたらまた戻ってこれるんだからさ」
「わかりました。ルカ様、絶対に戻ってきましょう」
なんとかカインは、納得してくれたようだ。
早速魔王領に行こうとしたが、そこでシアンが止めた。
「あの、魔王領に行くには国王の許可が必要なのでは?」
「あ!」
そうだ、すっかり忘れていた。早速ぼくは、また国王陛下のもとへ戻ることにした。
★
「おお、ルカ殿よく着たな。歓迎するぞ」
「ありがとうございます。国王陛下」
王城へと行くと、わざわざ国王陛下が迎えてくれた。
そして王城へキタということはだ。
「ルカ様! よく着て下さいましたわね!」
「やあシャロ、久しぶりだね」
そうあの王女シャロもいるということだ。
「予後の調子はどうだい?」
「大丈夫ですわ! それよりもせっかくいらっしゃたのですからおもてなしをしたいのですが……」
「え、おもてなしですか? それは一体どんな?」
「そうですわね、まずは私が作ったケーキやクッキーと一緒にお茶を飲んで、談笑でも楽しみましょう」
「え、本当? それは楽しみだなぁ」
ぼくがシャロからのおもてなしの提案にうつつを抜かしていると、後ろから圧を感じた。
「ちょっと、ルカ! 何くつろごうとしているのよ。今日は用事があって来たんでしょ?」
「あ、そうだった。魅力的な提案だったからつい……」
ぼくはシアンから怒られて、現実に戻されてしまう。
その様子を見て、シャロがクスリと微笑する。
「あらあら、まあ。お二方はとても仲がよいのですね」
「いやーそんなことは。そうだよな、シアン」
ぼくがシアンに同意を求めるが、彼女はプイとそっぽを向く。
「あらまあルカ様は女性の気持ちをあまり知らないようですわね。ところで、今日は何をしにここへ来たのでしょう?」
「あ、えーと。魔王領への侵入を許可して貰おうとここへ参りました」
ぼくがそう答えるとあたりは少しざわついた。
「魔王領への侵入! ついにルカ殿が魔王討伐に乗り出すつもりですかな?」
国王陛下はたいそう驚かれた。
「場合によってはそうなるかもしれません。実は先日話した偽勇者が魔王領に逃げ込んだとの情報を得まして討伐しにいかねばらなぬと思いまして」
「なんじゃと! それはけしからん。わかったシャロの恩人ということもある。魔王領への侵入を許そう」
「ありがとうございます」
これによって、ぼく達は晴れて魔王領へ攻め込むことができるようになった。
★
「ルカ様……すぐに行ってしまいましたわね」
「なあシャロ、なぜ行くのを止めなかった? それにシアンという娘に嫉妬はしなかったのか?」
「私にルカ様の行末を止める権利なんてありませんわ。それにルカ様とシアンさんの仲を裂こうという気は……少しはありますけど、嫉妬するほどではありません。なぜなら私は、ルカ様のことを好きではありますがどちらかというと応援したいという気持ちが強いのです。ですので、私ルカ様とシアンさんの恋路をこのまま見守ろうかなと思っています」
「な、なるほどな。お前の熱い気持ちよく伝わった」
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