洗脳
「そうだ、最後にお前に聞きたいことがある」
ぼくは、タンクに振り向いて言った。
「な、なんでしょうか?」
「お前の他にまだ隠れている勇者パーティのメンバーがいるはずだ。話せ」
「マゼンタなら、この街のはずれの隠家にいます! 本当です」
「わかった。じゃあカインはどこにいる? 話せ」
「カインは知りません、本当です。もう許してください」
【タンク】はすっかり怯えた様子で、すべてを話してくれた。
この様子だと本当にカインの位置は知らないのだろう。
ぼくは、とりあえずマゼンタに復讐するため隠家へ向かうことにした。
★
「ったく、【タンク】のやつはなにしてんのよ。食料を買い込むっていったきり戻ってこないし」
「やあ、マゼンタ。【タンク】なら戻ってこないよ」
「な、ルカ! どうしてここに! それに【タンク】が戻ってこないってどういうこと?」
「それはぼくが【タンク】に復讐したからさ。そして次は君ってわけ」
ぼくはニヤりと笑った。
しかし、それに対してマゼンタは余裕の表情だ。
「はぁ……ほんと馬鹿もここに極めリね。【タンク】はマグレで倒せたかもしれないけど私は【聖女】よ? お前ごときが
どうにかなる相手じゃないの」
そう言ってマゼンタは、余裕たっぷりな表情だ。
──よし、これはぼくにとって好都合だ。
このままマゼンタにも復讐をしてしまおう。
「マゼンタ覚悟しろ! くらえ【ツボ押し】」
ぼくは、マゼンタの腋目掛けてスキルを発動した。
──これはぼくが使えるスキルの中でもかなり痛い部類に入る攻撃だ。
少女であるマゼンタが、これに耐えられるとは思えない、これで決まったと思った時であった。
「はぁ? なに触ってきてんの? キモッ」
(な! 馬鹿な。ぼくのスキルがきかないなんて!」
「はぁ、スキル? 何言ってのかしらこのオタンコナスは」
(は! もしかして、シアンとは逆で彼女にはスキルがきかない体なのかもしれない)
そんな時、遅れてアベルとシアンがやって来た。
「ルカ様、どうやら苦戦しているようですね。やはりここは私が助太刀を……!」
「大丈夫だ! これはぼくの復讐だから、なんとか自分一人で切り抜けて見せる!」
「ルカ……」
どうやら、二人ともぼくのことを心配しているようだがそれには及ばない。
なぜならば、ぼくには秘策があったからだ。
「スキルが利かないなら……! 魔法だ! くらえ【洗脳】」
「はぁ……だからあなたごときの魔法が【聖女】である私に通じるわけ……」
マゼンタがそういいかけた時であった。
彼女の体の動きが急にとまった。魔法がきいている証拠だ。
そう。彼女のいうとおり【聖女】とぼくとでは魔法量が違いすぎて魔法が通じるわけがない。
しかしだ! ぼくにはスキルで一時的にだが、魔法量を増大させるというバフをかけることができる。
これによって、彼女の膨大な魔法量を上回りぼくの魔法【洗脳】が彼女に効いたのだ。
──しかし、安心はできない。彼女はぼくを一度騙してきた女だ。
演技の可能性もある。だからここは一度本当に効いてるのか確かめるため試練を課すことにした。
「なあ、マゼンタ。ぼくの言うことならなんでも聞いてくれるかい?」
「はい、なんでも聞きます!」
「じゃあこんな私でよければ一夜をともに過ごしてくださいって土下座してみて?」
「ちょっとルカ! なに勝手なことを言ってるのよ」
「もちろん冗談だよ。覚悟を試すためにこう言ってるだけだから」
気の強い彼女がこんなことを言えるはずがない。
──しかし。
「こんな私でよければ一夜をともに過ごしてください」
彼女は土下座しながら、ぼくに言ってきた。
(これはぼくの【洗脳】がちゃんときいている証拠だ!)
ぼくは勝ちを確信した。
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