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拷問

「は? ルカが復讐だ? 面白いこと抜かしてくれるじゃねえか」


 男の娘を口説くのに邪魔が入った【タンク】は、ぼくの挑発に乗ってきた。


 【タンク】はぼくが【回復術師】でなく【施術師】になったことを知らないようだ。


「ルカ様ここは私がそいつを倒します」

「アベル、大丈夫。これはぼくの復讐だから一人でやらせて」


 そうだ。これはあくまでぼくの復讐だからなるべく他人を巻き込みたくない。


 それに【タンク】は、ぼくを追放しただけでなく陥れようとしてきた。


 【メイジ】よりも重い罰を、ぼく自身で与えてやりたいのだ。


「なんだ、仲間がいたのか。でもまあ一人で戦うって言うなら都合がいい」

「お前ごときぼく一人で十分だ」

「威勢がいいな! 【シールドアップ】」


 【タンク】は、盾を武器へと変化させる魔法でぼくを攻撃してきた。


「ふん、【回避】」

「なに!?」


 ぼくは、スキル【施術】を自分の体に対して使っていた。


 【施術】には大きくわけて三つの使い方がある。


 一つは、あらゆる呪いや病気の治癒。


 二つ目は、身体能力の大幅な強化。


 そして三つ目は──。


「逃げてるだけじゃ、俺をいつまで経っても倒せねえぞ!」

「誰が逃げてるだけだと言った! くらえ、【ツボ押し】」

「ギャアアアアッ!」


 三つ目の使い方それは、相手に激痛を与えることだ。


「クソッ! ここは一旦体勢を立直さねえと……【守護】」


 【タンク】はいつもの如く、魔法で薄い膜を作りぼくの攻撃を防ごうとした。


 この盾がある間は、しばらく安全だ。


「そんなもの意味ないッ! くらえ【連続ツボ押し】」


 ぼくは、魔法の膜を貫通する勢いで何度も攻撃をしかけた。


「なに!? 魔法にはキャストタイムがあるのではいのか!?」

「魔法じゃないッ! スキルだッ!」


 魔法には通常、唱えたら再詠唱するまでの時間キャストタイムというものが存在する。


 しかし、スキルにはそれが存在しない! ゆえに、彼の保護膜などただの時間稼ぎにしかならない。


 ぼくが執念深く何度も押していると、膜が剥がれてしまった。


「十五秒だ、十五秒だけ待ってくれ! その間に土下座して謝るから!」


 十五秒という数字は、あと十五秒経てばまたもう一度【守護】が使えるようになる時間だ。


 一緒に冒険していたから、そのことはよく覚えている。


「ダメだ、十秒だ。十秒で倒す」

「ひ、ひいいいい」


 ぼくは当然十五秒も待つわけはなく、十秒間激痛の走る【ツボ押し】を【タンク】に向かって放った。


「ギャアアアアッ! イタッ、イタイイタイイタイ」


 そりゃあ痛いだろうな。痛覚がむき出しになるようにした上でとびきり激痛の走る【ツボ押し】をしたのだから。


「アッアッアッアッ」


 【タンク】は気が狂ったかのような声をあげた。それほどまでにぼくの【ツボ押し】恐ろしい激痛を走らせるのだ。


「どうした? 持ち前の守備力をぼくに見せてくれよ」

「ご、ごめんなさい。許してください、なんでもしますから」


 ぼくは考えた。このまま息をするたびに激痛が走るような体にかえってやってもいいのだが──。


 後ろを振り向くと、シアンとアベルそして男の娘がいた。


 【タンク】をもっと拷問にかけることは簡単だ。


 しかし、それではぼくの評判が落ちてしまう。


 こんな小物ごときにそんなことになるのは勿体ない。


「わかった、許してやろう」

「本当ですか?」


 そう言ってぼくは、彼の頭のツボを押した。


「ひ、ひい。何をしたんですか?」

「今後ぼくに近づいたら体が爆発するツボを押した。わかったら去れ」

「は、はいい」


 当然そんなツボはない。嘘だ。だけれどもこれで奴はもうぼくを襲ってこないだろう。


「いやーすっかとした! いい復讐を見せてもらったよ」

「いや、まだだ! まだぼくには復讐すべき相手が二人いる」


 そうぼくにはまだ復讐すべき相手、マゼンタとカインだ。


 この二人に復讐が終えるまで、ぼくに安息は訪れない。

数ある小説の中からこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます!


良ければ、ブクマと★をいれて頂ければ幸いです

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