推し
「ルカよ、よくぞ我が娘の病気を治してくれた」
「いえ、とんでもありません。娘さんは、精神的な病気でした。しばらく休めば完治するかと思います」
「ふむ……そうか。それはよいことが聞けた」
陛下は、そう一言呟いて何かを考えている様子だ。
しばらく時間が空いて、陛下は口を開いた。
「いや、わからんな。そなたに何か褒美を遣わそうと考えていたのじゃが、何がほしいのか全くわからん」
「いえ、そんなご褒美だなんて……」
「そういう態度が余計に何かあげたくさせるのじゃ、何でもいいからなにか言ってみい」
(ぼくの欲しいものか……、ぼくのやりたいこと。うーん、やっぱり冒険かなあ? となると──)
「ぼくが欲しい物は──」
「なんと!」
ぼくの答えを聞いた陛下は、一瞬驚いた後急に笑い出した。
「ハッハッハッハ、流石じゃ、そなたの考えはどこまでも自由で読めん。で、領地はどうするつもりじゃ?」
「領地の統治は信頼できる人物に任せます。ぼくはちょっと因縁のある相手がいるので──」
「ふむ、そうか。許そう、自由にするがいい」
「ありがとうございます」
そうだ、ぼくには復讐しないといけない相手がまだ三人いる。
勇者カイン、マゼンタ、【タンク】だ。
地獄の釜の底に叩きつけなければ、ぼくは気がすまない。
★
「シャロ、中に入っていいか?」
「いいですわ、お父様」
「気分はどうじゃ? また体調が悪いことはないか?」
「体調はとてもよいです。ですが気分の方は……」
「なんじゃ? あのルカという青年に何か悪いことでもされたか?」
「いえ、逆です。私、ルカ様のことがとても気に入りましたの」
「ほう、それは興味深い聞かせてくれぬか? ルカ殿の魅力について」
「長くなりますわよ?」
「よいよい」
「まずルカ様について語る際にかかせないのは、あの声ですわ。まだ声変わりして間もなくなど思うんですけれど、あの少年と青年が混ざりあったかのようなあの微妙な
中性的な声! それを耳元で精一杯大人ぶって囁いてくるなんて反則すぎますわ! あの声を繰り返し思い出すだけでも、もう精神的な疲れなんて一瞬で吹っ飛びます!
おっと声だけでちょっと長々と語りすぎましたわね。次は容姿について語りたいと思います。あの茶色い栗毛の髪に、ブラウンの瞳がまるでやんちゃ盛りの少年かのようで
いて、彼は暗い過去を背負っている。そして今若い青年領主として、不慣れながらも奮闘している。その姿には興味が事欠きません。そして一番私が気に入ったところは
ルカ様の一番のアピールポイントであるあの美しい手ですわ! あのピアニストを思わせるような長くてスラりとした手から繰り出される滑らかでかつ繊細なあの指さばき! そ
れに意外に思われるかもしれませんが手はゴツゴツとしていて、ちゃんと男らしい無骨さを感じさせます。あの手技を受けたらもうメロメロになって忘れることなど一生
できませんは。そしてそれに──」
「わ、分かった。お前は、ルカ殿のことが好きなんじゃな?」
「いえ、違います! 好きというよりも応援したい! ただそれだけです」
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