王女
「うぐぐぐ……くっ……くっく、くっあっ」
王女は声をあげて悶え苦しんでいる。
ぼくは早速、魔力の流れを確かめてみる。
すると不思議なことに、彼女の体には魔力の滞りが見えない。
だけれど、彼女が仮病で苦しそうにしているとは思えない。
(一体どういうことだ……とりあえず彼女に話しかけてみよう)
「すみません、王女様。ちょっと体を触らせていただけませんか?」
「あなた……どなたでしょう?」
「ぼくですか? ルカと言います。あなたのことを治療しにきました」
「私のことを? それは無理だと思いますわ、こんなに苦しいのに【回復術師】の方々は皆無理だと諦めてしまって……」
(まずいな……相当精神的に参ってしまっているみたいだ。早く治してあげないと)
「いいえ、ぼくが必ずあなたのことを治して見せます。ちょっと問診させていただきますね」
「はい……どうかお願いします。この苦しみから私を救ってください」
ぼくは、彼女の了承を得ると体に触った。
すると目で見た時にはわからなかった異常がわかった。
(体かった……! 全身がガチガチだ。これはもしかして、呪いとかじゃなくて精神的なものかもしれない)
ぼくの【施術】には、【回復術師】にできないことがある。
それは呪いや病気を治すだけではない、精神的な疲れすら癒やすことができるのだ!
彼女はおそらく、王女という立場上とても精神的に疲れることが多いのだろう。
もしかしたら、今回の発作もそれが原因で起こっているのかもしれない。
そう考えたぼくは、早速【施術】を始めることにした。
「それじゃあ今から【施術】を始めます。服を脱いでうつ伏せになってもらえますか?」
「服を……? わかりました」
王女はぼくのことを疑いながらも、素直に服を脱いでくれた。
当然服を脱いでいる間ぼくは、別の方向を向いて彼女の裸を見ないようにした。
「うつ伏せになりましたか?」
「は、はい」
それを聞いたぼくは、彼女の体に温かいタオルをかけた。
「ふわぁっ……」
「どうですか? 気持ちいいです?」
「はい、とっても温かくてなんだか癒やされます」
(発作が治まった。これはやっぱり精神的な疲れで苦しんでいたのかもしれない)
ぼくは、王女がなぜ発作に苦しんでいたのか理由を突き止めた。
あとはぼくの【施術】を彼女にしてあげれば、体調はよくなるはず……。
そう考えて、ぼくは背中のあたりをポンポンと叩いて緊張を和らげた。
「ほわあぁっ……」
ただ肩をポンポンと叩くだけだが、【回復術師】が無意味に【回復】をするよりも
よっぽど彼女にとって有効な治療法だったようだ。
ぼくは硬くなった肉を、ポンポンと叩くことで柔らかくする料理人のような【施術】を行った。
この時決して力を入れてはいけない、ただ優しく体を叩いてあげることが重要だ。
力を入れすぎてしまうと、体は余計に力が入ってかえって硬くなってしまう。
ぼくは体のこわばりがとれるまでしばらく体を叩き続けた。
(よーし、そろそろいいかな)
体がある程度柔らかくなってきたところで、ぼくはまたタオルを上半身にかけた。
「あら……もう終わりですの? せっかく気持ちよかったのに」
「いえ、むしろここからが本番です。今度は脚を揉みほぐして血流をよくします」
「血流を……?」
「はい。王女様、あなたの不調の原因がわかりました、それは精神的な疲れからです」
「精神的な疲れ……?」
「ぼくの【施術】は体の疲れや病気、呪いだけでなく精神的な疲れもとります。今発作が落ち着いているでしょう?」
「あ、本当ですわ!」
「ここから本格的な【施術】を行えばもっとよくなるはずです」
「わかりました、それでは続きをお願いしますわ」
どうやら王女の信頼を得ることができたようだ、ここから彼女の体を揉みほぐしていく。
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