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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第二章 翔ぶ鶴
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第4話 アテネの戦い

機巧暦2139年12月・バルカン半島ギリシャ・パトラ



「榊原少将!! 北畠少将の軍が到着なされました」



「おお、それは良かった。規模はどれくらいだ?」



「六個大隊《6千》だそうです」



「一個師団は欲しかったな~」



アテネに集結しているオスマン帝国軍1万を叩くために榊原軍は北畠軍の到着を待っていたのだ。榊原軍は二十個師団《40万》の兵力があったが連日連戦でオスマン帝国軍相手に敗北を続けていて半分の十個師団《20万》となっていた。





ーーーーパトラ・榊原陣営



「榊原少将、只今到着しました」



「救援ありがとうございます!」



「あいにく、たった六個大隊しか持ってこられなかった・・・・・・申し訳ない」



「いえ、お気になさらず・・・・・・援軍に来て頂いただけで感謝です」



北畠顕康はそう言うと榊原康介に頭を下げた。 



「想像以上に苦戦されているようで・・・・・・」



「アハハ民兵では職業軍人には敵わないようでしてね」



榊原は苦笑いしながらそう言う。



「それはそれは・・・・・さぁ私が持ってきた酒があるので一献どうです?」



「今は戦争中だ。酒は控えてるんだが・・・・・」



「決戦は明日ですから大丈夫ですよ」



「・・・・・・そ、そうか」





その後ーーーー



「・・・・・・この酒、酸っぱくないか?」



「いつもと違う酒が手に入ったので榊原少将の口に合うか分かりませんが・・・・・・」



「いや普通に美味しいよ。どこの酒なんだ?」



「馬乳酒と言って東方の騎馬民族が日常的に飲んでいた酒でして、いくら飲んでも酔わないとか言われています。栄養もあり病に効くらしいです」



「なるほど」



杯に入った酒をチビチビ飲みながら榊原はそう言う。馬乳酒の他に肉料理もだされていた。



「榊原少将、ここに来る途中に興味深い噂を聞いたのですが? 話しても良いですか?」



「ああ」



「久遠柚希が連合王国の者に暗殺されたとも重傷を負って明日も知れぬ状況だとか」



「ゆ、柚希が?」



榊原は信じられないという表情をする。



「死んだにしろ、生きていても動けぬ身ならば問題ないでしょう。まったく連合王国は上手くやってくれましたよ。これで新田中将のドイツ帝国侵攻の目処がたったということですよ」



「俺の手で殺してやろうと思ってたんだが・・・・・・・・」



「気持ちは分かりますが、榊原少将はバルカン半島の領主。亡くなられては困ります。新田中将は貴方を一流の魔術師に育て上げてから世に出すと話していたみたいですか。一流の魔術師にならずに死なれては新田中将が悲しみますから」



「・・・・・・・・そ、そうか」



翌日、パトラで合流した北畠軍と榊原軍は二手に分かれるとアテネに向かった。





そしてーーーー





「今だァァァァァァァ!!」





「進めェェェェェ!! これは負け戦にあらず! 勝ち戦だ!!」





「「「うぁァァァァァァ!!」」」





アテネに展開するオスマン帝国軍に左右から襲いかかった。オスマン軍もいつ敵が奇襲してもいいように街に防御陣地を形成していた。





その後、約3時間に渡って両軍は一進一退を続け・・・・・・




「丘だ!! 丘を占領しろ!! 北畠少将!! アテネは任せるぞ!!」





「おう!!」




アテネにいるオスマン軍の封じ込めを北畠に頼むと榊原は旗下の大軍をアテネの東にある丘に差し向けた。僅か1時間程でオスマン軍の少勢を蹴散らすと丘を占領した。



「榊原少将!! 砲撃の用意が終わりました!!」



「よし!! やれ!!」



「はっ!! 撃ち方始め!! てぇェェェェェ!!!!」



占領した丘に10門の大砲を持って来ると眼下に広がるアテネに向けて乱射し始める。あっという間にアテネは火炎で包まれオスマン軍は為す術もなく壊滅した。

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