第3話 飛び石作戦
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国キール
「これからどうしますか?」
「そんな事決まっているしょ? ブレーメン攻略に手を出すんだろ。なぁドルシア中将」
「言葉遣いには気をつけない。私はこれでも中将なのよ」
「こ、これは失礼・・・・・・・」
久遠柚希を倒したドルシアはキール軍港に戻ると部下らを集めて以後の行動計画を練るために会食を開いた。
「ブレーメン攻略はやらないわ。主要拠点は守りも堅いだろうし、私の部隊も限りがある。ブレーメン攻略に気を取られて帝国本隊の攻撃を受けては元も子もないわ☆」
「ブレーメンや西プロイセンを無視した場合、背後を突かれますぞ」
「東プロイセンとベルリンからの補給を遮断すればいいと思うのよね~ 補給さえなければ西プロイセンやブレーメンの連中も弱りきると思うわ」
「なるほど」
「私らが目指すのはあくまで帝都なのよ。他の都市に気を取られてはベルリン攻略なんか不可能なの」
ドルシアはそう言うとパンと肉を口に運んだ。
「・・・・・・・・言われることは分かりますが、ベルリン攻略中に他の都市から援軍が来ては困るんだが」
「・・・・・・・・確かに」
「そ、そこはキチンと考えているから安心しなさい。敵の防御が手薄な都市を断続的に攻撃するのよ。これを大規模かつ広範囲にやるの。さらに高速戦車部隊で補給線を寸断。ご飯が無けれぱ戦争なんか出来ないでしょう」
「線を点にしてしまおうってことですか・・・・・・・」
「そう。各地の都市を孤立化させてしまえば帝都に援軍なんか送れないでしょうね☆」
ドルシアは嬉しそうに話す。
「3か月もあればベルリンを攻略出来るかもしれませんね」
「1か月でベルリンを落とすわよ。オーストリア=ハンガリー帝国は革命騒ぎが起き、イタリア王国と未回収の領土を巡って戦争となり、オスマン帝国は新興国の大日本帝国・欧州本部と戦争という状況。ドイツ帝国は経済支援の無い状況で戦うのよ。それに比べて私たちは植民地からの支援やロシア=ソビエト連邦からの支援もあるわ。1か月でやれるわよ。それに帝国軍は補給線が脆弱と見てるのよ」
「?」
「・・・・・・・・・補給が弱点だと?」
「ドイツ=フランス戦争で帝国軍はモンスやルーアンで膠着状態になったのは補給の問題があったからよ。補給さえしっかりしていれば数だけで装備も士気も脆弱なフランス軍は壊滅していたはずなのよ。補給が伸びきり作戦が詰んでたのよ帝国軍は」
「な、なるほど・・・・・・・・」
「補給さえ壊滅させれば簡単よ。補給分断戦こと蛙飛び作戦で奴らの息の根を止めるわよ」
「わ、分かりました」
ドルシアはそう言うと冷めたステーキを平らげワインを一気飲みした。




