第31話 ミュンスター襲撃
機巧暦2139年12月・ブレーメン・別館
「助けにいく」
「え?」
「助けに行くと言ったんだ」
俺は寝間着を脱ぐといつもの白い軍装に着替えた。床の間に置いてあった二本の刀を左右の腰にそれぞれ差した。さらに2丁のリボルバー式拳銃をコートのベルトにさした。銃弾はもちろん魔弾だ。
「親父、今は夜だ。明日にでも助けに行けばいいだろう?」
「ならん。事態は一刻を争う。今行かなければ後悔するだろうな」
「・・・・・・・・親父、俺もお供します」
「いや、俺一人で十分だ。お前は屋敷を守ってくれ」
「親父に万が一あればヤバいので付いていきます!!」
「・・・・・・・わ、わかった」
俺の了承を得たリムはニッコリと笑った。リムは一度決めたことは中々撤回しない性格のため渋々許したのだ・・・・・・・
「よし!! 行くぞ!!」
「おう!」
ーーーーブレーメン・要塞地区裏門
「ユズキ少将!!」
「親父!!」
「レム、ラム・・・・・・お前らもか」
「行かせて下さい」
「今こそ恩を返すときなんです!!」
屋敷から要塞地区に行くとそこにはレムとラムが待っていた。既に戦う準備は出来ているようだった。
「よし! 位置廃墟といってもどれ程の規模かは分からない・・・・・万が一に備えて複葉機にて突入するぞ」
「うん」
「ああ」
要塞地区から鉄道を使って手紙にあるミュンスターまで行く事にした。
ーーーーミュンスター・廃墟群
「@*?♬&♬&♬!!」
「フッ、いくら暴れても叫んでも無駄よ~ 解放なんかしないわよ。なんせ貴方はユズキ=クオンを誘き出すための餌なんだからね~」
「・・・・・・・」
友那は肌襦袢を着たまま十字架に磔となっていた。胸や脚はガッチリとロープで括られている。
「これでは話も出来ないだろうから・・・・・・・」
「!?」
ドルシアはそう言うと友那の口に詰まっていた布の塊を引っこ抜いた。
「さてこれで話せるかな?」
「あ、アンタ何者か知らないけど私を攫ったら柚希が容赦しないわよ!!」
「開口一番のセリフがそれか? まあユズキが居なくなれば私の西プロイセンやブレーメンが楽々に進むわ。さらに帝国攻略も幾らか楽に出来る。ただそれだけのことよ」
「・・・・・・・柚希を殺す?」
「そうだよ。ああ申し遅れたね。私はイギリス連合王国・陸軍中将のアルフレート=フォン=ドルシア。以後お見知りおきを・・・・・・」
ドルシアはそう言うと軍服の裾を持って礼をする。
「連合王国は先のドイツ=フランス戦争講和交渉のまとめ役・・・・・・・・それが敵にまわったの?」
「さぁね」
「ちょっと答えなさいよ!!」
「どうやら貴方と話している時間は無いようだね・・・・・・機巧師団!! 配備に付きなさい!!」
ドルシアは何かを察知したらしく廃墟の天井を眺めながらそう叫ぶ。周りにいた8体余りの機械人形が反応する。ドルシアも右腕の銃剣をガチャリと鳴らす。
「何?」
「・・・・・・・・」
全員が、固唾を飲んで見守る中ーーーーー
ガシャーンッ!!
「はっ!?」
「アハハ、いよいよお出ましか!!」
廃墟の天井を大胆にもぶち壊して侵入してきたのはグレーのコートを羽織り手に拳銃を持った青年だ。魔術飛行してきたのか首元には魔術宝珠を身に着けている。
そしてーーーーー
「よくも俺の身内に手を出してくれたなぁ!! 覚悟は出来ているんだろうなぁ!?」
「フフッ」
「柚希!!」
とても正義の味方とは言えぬような紅黒いオーラを纏った久遠柚希その人だった・・・・・・・・
ーーーーミュンスター・廃墟群
「友那!! 逃げろ!!」
「あ、ありがとう」
天井をぶち壊してダイナミック侵入に成功した俺は後から来たリム、レム、ラムと共に銃撃戦であらかた敵の機巧人形を廃墟の外に追いやる。その後、友那を解放すると廃墟の走って外に出た。
ダダタッ!!!
ダダタッ!!
ダダタッ!!!
「親父!! 敵は散らばってる・・・・・・・・今が逃げ時だ!!」
「逃げて下さい!!」
「逃がすかァァァァァァァ!!」
「ゆ、柚希!! 後ろ!!」
「なっ!?」
銃撃戦で胸に柚希の魔弾を受け廃墟の外に吹き飛ばされたはずのドルシアが右腕の銃剣を振りかざして後ろから追いかけてくる。
ガッ!! ゴロッ!! ゴロッ!! ドサッ!!
「アハハ!! 捕まえた!!」
「グハッ!! ゆ、友那!! 隠れてろ!!」
「柚希!?」
逃げようと走ろうとした間際、ドルシアに間合いを詰められタックルされるように抱きつかれる。俺はドルシアと仲良く急斜面の山林に転げ落ちた・・・・・・・・・
友那をデカい切り株の影に隠れさせ俺は刀を構える。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・」
やっべえ 真面に格闘戦なんかやったことないから、あれだけで体がボロボロだ・・・・・・・
「もう限界かしら? ならこちらは本気を出させてもらうわ!! 守護天使の鎧!!」
「・・・・・・・・っ!?」
気付けばドルシアは鎧に覆われていた。右腕の機械式の銃剣は最初こそ違和感だったが、こうして鎧を纏った状態で改めて見るとしっくりくる。
「驚いたかしら? これも魔術の一種なのよ」
「知るか」
「冷たいわね~」
「俺はただ貴様をぶっ飛ばすだけだからな」
「アハハ、怖い怖い」
ドルシアはそう言うものの、その声色から微塵にも怖いなんて思っていない。むしろこれから始まる殺し合いにワクワクしているようだった・・・・・・・・




