第26話 親友さえも信用ならない
機巧暦2139年12月・ドイツ帝国ベルリン
「陛下、少しお耳に入れておきたいことがあります」
「ん? なんだ? 改まって・・・・・・・」
レイシアはイリアスにそう言う。
「連合王国が動き出したようです。キールの軍港を密かに調査させた結果、連合王国の者が紛れているとのことです。どうします?」
「・・・・・・・・・無視しても問題ない。気にすることは無いだろう」
「陛下・・・・・・いやイリアス、連合王国の者を始末しないと後々に面倒なことになるぞ。軍の機密や規模が知られてたらそれこそ戦争に不利になる」
「ならば・・・・・・・ブレーメンにいるユズキ=クオンにでも討伐させたらどうか?」
イリアスは面倒くさそうにそう言う。ブレーメン騒乱の後、イリアスは政治に関心を示さなくなっていた。なんせ自分が信じて送り出した家臣3人が赴任先のブレーメンや西プロイセンの領土で暴政を働き、レイシアの家臣・久遠柚希によって平定された。結果的にイリアスの評価が下がりレイシアの評価が上がったのだ。そのことがイリアスにとって面白くなかった・・・・・・・・・
「ユズキは心労で倒れて療養中だ。出撃は無理だぞ」
「な、何? 心労で倒れた?」
「慣れない政務とプレッシャーで倒れたんだよ。正義感や責任感が強いが故だろうな」
「・・・・・・・・・今は政務は誰がやっているのだ?」
「シャルロット王女がやっていると聞いているぞ。ユズキはアドバイザーにまわってシャルロット王女を支えているって噂を聞いているな」
「そうか・・・・・・レイシア、変な事を聞いても言いか?」
「な、何?」
イリアスはレイシアを見つめた。
「お前・・・・・・まさかとは思うが王位を狙っては無いだろうな? 元陸軍元帥だった参謀総長を父として持ち、久遠柚希という最強の魔術師を得ながら野心を抱かないのか?」
「野心? バカバカしい。私にその度胸はないぞ。イリアスが一番それを知っているはずだが?」
「ならいい・・・・・・・」
「信用出来なくなったのか?」
「・・・・・・・・当たり前だろ? 私が愛して信じたはずの家臣が私の意向を無視して・・・・・・・裏切り行為をしたんだ・・・・・・」
「イリアス、私はイリアスの味方だ。親友でもある」
「・・・・・・・・・」
イリアスは涙ながらそう言う。レイシアはただ黙って聞いていた。完全に猜疑心の虜となっていた。かつての親友さえも信用ならなかった・・・・・・・・・




